天才にからかわれる。
寮に住むのはそんなに困らないくらい部屋数が多く用意されているらしい。なんという素晴らしい福利厚生っぷり。
ミスクさんは、寮に当分住む!!と、申請したらすぐに許可が下りた。そうして素早く荷物を整理したら仕事場に来て実験を始めた・・。モーリスさんが心配して、「根詰めるなよ」って話していたけど・・。
「ミスクさん、夕飯食べにいきましょ」
「・・・・行きたくない・・」
「ちゃんと休まないとダメって言ったの、ミスクさんですよ〜?」
拗ねたような顔をしながら実験を止めないミスクさんに、ちょっと笑ってしまう。気持ちは分かるし、手を止めたくないよね。レイト君を、チラッと見ると・・ミスクさんの側に来て、設計図を指でさす。
「・・・ここの回線周り、明日手伝いますから、夕飯食べましょう」
おお!!レイト君が手伝うって言った!!
驚いて、レイト君を見ると、ミスクさんも驚いてレイト君を見た。
「・・・・・・レイト君、何かあった?」
思わず私がぎくっとして、顔が思いっきり強張った。
な、なんで、そういちいち鋭いの?!ミスクさん!!
レイト君は、小さく笑って「特には」って話すだけで・・、お、おい、随分とそっちは余裕だな?こっちは動揺しまくりなのに。ミスクさんは、少しため息を吐いて・・
「・・・分かった・・片付けて、書類出してから行くから、先に食堂行ってて〜」
「え?片付け、手伝うけど・・」
「あ〜、大丈夫!とりあえず、席取っておいてくれる?」
「・・うん、分かった」
それ以上は、なんというか踏み込まれるのは嫌なんだな・・、そう思ってレイト君と食堂に歩いていく。あ〜・・なんか上手くフォローできなくて・・へこむわ。思わず、はぁっとため息を吐いてしまう。
「・・別に落ち込む事じゃねーだろ」
「・・・・え〜〜、私、そんなに分かりやすい?」
「自覚してねーの?丸わかり。感情ダダ漏れ」
「マジか・・そんなに分かりやすいのか・・」
年下に、そんな風に言われてしまう年上・・。
くそ、さっきも思いっきり冷静な顔してたもんな・・、私なんて顔が赤くなってないかと心配してたのに。そんな事を思っていると、食堂についた。
「とりあえず、空いてる席に座っておこっか」
「だな」
お水だけ人数分もらって、席につく。
向かいに座ったレイト君が私を見ると、面白そうに笑っている・・。
「・・・な、何?」
「いや・・、警戒してんなーって」
くそ!!私の顔はそんなに分かりやすいのか!
パッと横を見て、目線から逃げるように周囲を見る。食べてる人もいれば、お話ししてる人もいる。あと、たまにレイト君をチラっと見ていく女の子達もいた。
う・・、なんか気付きたくなかったな・・、女子の視線。
思わずまたレイト君を見ると、頬杖をつきながらこっちを見てる。
「・・・・あの・・、あまりこっちを見ないで欲しいんですけど」
「なんでだよ」
「・・絶対、分かってて言ってるよね?」
悔しい・・年下のくせに。
私ばっかり翻弄されてないか?なんか癪だったので、持っていたカバンから紙を出して、ささっと折っていく。
「何作ってんだ?」
そう言われて、目の前で思いっきり振ってやった。
パン!!
紙鉄砲である。
レイト君は紙から大きな音がすると思わなかったのか、びっくりした顔になった。ふっふっふ、驚いたろ〜?
「・・・・子供か」
「な、なんでよ?!面白いじゃん、これ!」
「照れ隠しが、いちいち可愛いんだよ」
「・・!!」
一気に顔が赤くなって、手の中の紙鉄砲がへにゃって折り曲がった・・。ダメだ、今勝てる気がしない。完敗です。と、カツカツと聞き覚えのあるヒールの音がして、そちらを見るとミスクさんが歩いてきた。
ホッとして、声をかけようとすると・・
「りつ、可愛い」
って、レイト君が面白そうに笑ってボソリと言うから、またも顔が真っ赤になった。
ちょ!!!黙ってて!!!!




