凡人、気付く・・?
ミスクさんの家の玄関で待ってもらって、私は手早く荷物を出してまとめる。
服は大きめのバッグに入れて、小物を実験用のバッグにドンドン詰めていく。自分で作っておいてなんだけど・・軽い!!これは便利な物だぞ〜〜!レイト君から借りていた本も返さないとだな・・。それもバッグに詰めて、あとで寮に着いたら返そう。
あまり荷物はないので、大きなバッグ二つと実験用のカバンの二つで終わった。
「洗面用具は・・、あとで雑貨屋さんで買いに行けばいいか」
ひとまず、人が住んでいなかったように痕跡を消しておこうと思って・・綺麗にしてから急いで階段を駆け下りた。
「・・んな慌てなくていい・・」
「いやいや、待たせるの・・悪いし」
レイト君は少し笑って、私の持っていたバッグを持ってくれた。
「・・ごめんね、忙しいのに」
「別に・・・、ちょっと気晴らしも兼ねてだから」
気晴らしで、荷物持ちかい・・?
なんというか素直でないなぁ・・と思いつつも、不器用な優しさに嬉しくなった。お礼を言うと、「・・・別に」ってまた言われた。
二人で荷物を持って、仕事場へまた戻るべく坂道を歩いて行く。
行きはいいんだけど、帰りは辛い・・・。
夕日も大分落ちて少しずつ薄暗くなっていく空に、ちょっと寂しいな・・って思った。今朝までミスクさんと朝食を食べたり、お茶していたのなぁ・・。
レイト君が私の顔を見つめて、頭を撫でるけど・・なんか手つきが優しい。
「・・また戻れんだろ」
「あ、すみません・・落ち込んでみえました?」
「そりゃ、今日は泣いてたしなぁ・・」
う・・、其処はあえて言わないで頂けると・・。ちょっと目を逸らすと、レイト君は静かに笑った。
「・・・小さいくせに、我慢ばっかするな」
「小さい事は、関係ないです」
じろっと睨むと可笑しそうに笑った。
年下のくせに〜〜!小さいって言っちゃいけないんだぞ!?
負けてたまるものかと、先に歩いて行こうとすると、レイト君が私を抜かす。あ、この・・天才め!!コンパスが長いからって、調子に乗るなよ!?二人でむきになって、坂を駆け上がるように競歩した。
あ〜〜、これ明日、筋肉痛だろうな・・。
研究所に着いた時は、私は息が上がってたけど、レイト君は平然としていた・・。これが10代なの?それとも私の運動不足???悔しい気持ちだったが、なんか・・ちょっと気落ちせずにすんだ。
ミスクさんが玄関まで迎えに来てくれて、寮を突然だったけど過ごせるように用意してくれたので、荷物を運んでようやく一息ついた。
寂しいけど、確かにここらでミスクさんのお世話になりっぱなしも悪いから、離れていかないとだなぁ・・と、ちょっと思った。
女子寮は、男子寮の二階にあるけど、男性は入れないように魔法がかかってるらしい。便利だなー。男子寮は逆に何もないらしく、レイト君はちょっと不満らしい。まぁ、男女問わずシステムは作って欲しいよね。
レイト君とミスクさんが、食堂で夕飯を食べようと誘ってくれたので、階段を降りて急ぐ。
今日の夕飯、何かな〜。
ぴょんと階段を降りて、目の前にいたレイト君をみると、可笑しそうに笑った。
「子供か」
「年上です」
クシャって、髪をかき混ぜるかのように頭を撫でて私の顔を覗き込むので、思わずドキっとした。
「・・年上は、階段を飛び降りないと思うぞ」
「・・と、飛び降りる年上です」
そういって、玄関へ慌てて私は向かっていくと、レイト君が笑ってついてきた。
私は・・といえば、現在ドキドキしてるんですけど。あと、ちょっとこれ・・症状に、名前がある気がするんですけど・・。




