凡人、試される?
今日はお休みだけど、出かけるついでにレイト君の改良しているファックス・・ならぬ転送機を見に来たそうだ。
「ジルさんも、お仕事熱心ですね〜」
「りつにも会いたかったしね」
「・・・サラッと言いますね〜・・」
「あ、本気にしてないでしょ!」
・・いや、かなり内心動揺してますよ・・。
でも、私この通り・・男子に間違われる女子ですし、好きになるならどう考えたってミスクさんでしょ?もっと周りにいっぱいいるでしょ?そう思ってジルさんの顔をちょっと見る。
「・・・それだけ格好いいなら、選り取りみどりでしょうに」
「え〜、そうでもないよ!」
騎士団に勤めてる割に、顔立ちが柔らかくて格好いいもん。説得力がまるでない・・。
仕事場のドアを開こうとドアノブに手をかけると、ジルさんの手がそっと重なってきて驚いて振り返ると、ニコッと笑って私を見るので驚く。
「・・りつ、可愛い」
「あ、あの!!??」
ぶわっと顔が真っ赤になって、重ねられた手にドキドキしてしまうと、ドアが開いた!慌ててドアの方を見ると、レイト君が鬼の形相か?ってくらいジルさんを睨んでいる。
「・・・・お前は、うちの職員に手を出すな!」
そういうと、私の腕をぐいっと引っ張って、レイト君の背中に隠された。
ジルさんは、「あ〜あ」と残念そうに言いつつ笑っていた。・・・・真意が掴みにくい人だ・・。
「りつ、アイツの半径5mには近付くな」
「・・・それ、ほとんど離れてますけど・・」
私が思わずそういうと、ジルさんが面白そうに笑っていた。いや、原因はあなたなんですけど。
ミスクさんが、可笑しそうに笑いつつ手招きするのでそちらへとりあえず逃げた。安心地帯ミスクさん・・。
「ジル君はね〜、なんかああやって色々試すのよ」
「はぁ・・何を試してるんでしょうか?」
「何だろうね〜?」
ミスクさんは可笑しそうにクスクス笑って、実験をしている。
そうか・・なんか意味がある、からかい・・・なのか。
レイト君は、ブスッとしつつもジルさんに転送機の説明をして、新しく改良したものを手渡していた。そのまま持っていかせるの・・?私は、予備で作っておいたカバンを籠から出して、ジルさんの所へ持っていく。
「ジルさん、これ・・よかったら使ってください。ただ、これまだ試作段階なんで・・今度返してもらえると助かりますけど」
「え?いいの?ありがと〜!」
「りつ・・、そいつには何もしなくていい」
「・・いや、せっかく作った転送機を何も入れずに持っていかれると心配だし・・」
至極真っ当な事を言ったら、言葉に詰まった天才・・。
ジルさんは面白そうにレイト君と私を見た。
「このカバン、何か工夫してあるの?」
「あ、はい・・、今、特許の申請中なんですけど、軽くなるようにしてあるんです」
「え?!なにそれ、欲しい!!」
「商品化された際には、ぜひお買い求め下さい」
冷静に返すと、「確かに!」と笑っていた。
・・っていうか、商品化してくれる会社を探さないとだなぁ・・。特許が取れたら、モーリスさんに相談しよう。
カバンに転送機を入れたジルさんは、軽さに驚いていたのでなかなか嬉しい。
「りつは、よくこんなの思い付いたな!」
「レイト君が本を運んでくれた時、思い付いたんですよ」
レイト君を見ると、ちょっと照れ臭そうにする。
あの大量の本・・、その節はありがとうございました。ジルさんは、レイト君を面白そうに見ると、レイト君に「こっち見るな」と睨んでいた。・・仕事、仕事仲間・・だから。
ジルさんは、ちょっと眉を下げてレイト君を見る。
「今度、魔法省の役人が騎士団に来る」
「・・・ああ」
「二週間くらいは、こっちに来るなよ」
「・・・わかった」
なんだか声を潜めて話すので、何かあるのかな・・?
ちょっと心配になってレイト君を見ると、ジルさんが頭を撫でようとして、すかさずレイト君が手を払いのけて睨みつける・・。
えーとブレイク、ブレイク?




