凡人、作り始める。
カバンの生地を探そうという話になると、アル君がちょっと考えて・・
「布屋さんを見に行ってみましょうか?」
「布屋さん・・?」
「女性も、男性もあったら便利だと思うので・・、生地の質感も見たいし、折り畳むのであれば素材も色々見ておいた方がいいかなって・・。ここにも色々ありますけどね」
おお〜〜〜、アル君頼りになる!!
二つ返事で了承すると、早速中心街にある布屋さんをリサーチする為に、出かける準備をしているとレイト君と目が合うと・・
「・・・気をつけろよ」
「・・・ええと、私は成人女性だったはずなんですが・・」
私が、レイト君にそう答えるとミスクさんが思い切り吹き出していた・・。全く、私は大人ですからね!
中心街にある布屋さんはいくつかあるらしいけれど、一番大きい店をアル君が教えてくれた。
「色々なフロアに、小物なんかもあります。ボタンだけとか、リボンとか・・」
「詳しいんだね」
「母が好きで、小さい時買い物に付き合わされたんです・・」
ちょっと照れ臭そうに答えるアル君・・、可愛いなぁ。
リボンとか、ボタン・・確かにアクセントに使ってもいいかも・・、そう思いつつ布のコーナーを見る。
「どんなイメージの布がいいんですか?」
「本当は薄くて、こう・・コンパクトに畳めるといいけど、薄すぎても物で引っ掛けて破れちゃっても嫌だよね」
「そうすると・・こっちかな。あ、あと防水がいいですよね?」
「うん!さすが!!」
そんな風に、二人でいくつか良さそうな布を選んで買っていく。
リボンとかボタンは個人的に何に使うか決めてないけど、買ってしまった・・・。可愛いんだもん。
二人でどっさり布を買い込んで、仕事場へ戻ろうと歩いていると・・騎士団がパトロールしていて、その中にジルさんの姿が見えた。
「あ、りつじゃ〜ん!」
「こんにちは、お仕事お疲れ様です」
「今日は可愛い格好してるね、うん似合う!」
「・・・あ、ありがとうございます・・」
うう、ジルさんはためらう事なく、バンバン褒めてくるな・・。これは異世界ゆえか?隣のアル君は、ちょっと警戒顔である・・。
「レイトは?二人だけで出かけてたら、心配してるんじゃない?」
「レイト君は仕事ですけど・・、なんか危なっかしいですか?」
ああ、私が頼りなさそうだから心配はしてたな・・と、言ってて気付いた。
ジルさんは、眉を下げて笑ってたけど・・・違うの?
「ま、気を付けて帰ってね。あと近く、そっちに顔を出すってレイトに言っておいて〜」
「あ、はい!失礼します」
手を振って別れると、アル君が私を見る。
「・・どうかした?」
「・・・りつさん、あの人は気をつけて下さい」
「レイト君と同じ事、言うね・・」
「・・・なんか気に入らないので」
アル君がちょっとむくれた顔をするので、つい笑ってしまった・・・。そうか〜ジルさんは気を付けておいた方がいいか。
覚えておきますって言ったら、すっごく頷かれた。そんなにか。
仕事場に戻って、レイト君にジルさんからの言伝を伝えておくと、アル君がなんかレイト君とアイコンタクトしてたんだけど、いつの間に仲良くなったの・・?
布地を二人で確認して、カバンの形を決める。
そういえば・・私、家庭科2だった〜〜〜。
成型できるかな・・。
紙でカバンの形を作って、イメージをアル君に伝えるという面倒臭いやり方になっちゃうけど・・この方がやりやすいんだよね・・。アル君は笑って、
「やりやすいやり方でいいんですよ」
「アル君・・・、本当に好き・・、ありがとう!!」
感謝を伝えたら、隣の作業台にいたレイト君が思いっきり台の角に足をぶつけてた。
「だ、大丈夫??!」
声をかけたら、赤い顔のレイト君に睨まれた。
あ、すみません・・うるさくしちゃった??慌ててアル君を見ると、にっこり笑って「大丈夫ですよ」ってメガネの位置を直していた。そっか・・大丈夫か。




