凡人、データ取りに行く。
ちょっと顔を赤くしつつ、籠を持って用具庫から出て行こうとすると、レイト君がドアを開けてくれた。あ、すみません。
「今日、10時くらいに騎士団に行くけど大丈夫か?」
「あ、わかった。アル君に言っておく」
そうだ・・、今日は騎士団に行くんだ。
二人で。
二人かーーー・・・・。
うん、仕事・・仕事だ。頑張れ、踏ん張れ、私!!!
決意を新たに仕事場に戻ると、アル君が挨拶してくれて、ホッとする。
「おはよ〜、アル君。今日10時に騎士団にデータ取りに行ってくるんだけど、その前に次回作、話し合っておこっか」
「そうですね〜!あ、用具庫から持って来てくれたんですか?ありがとうございます!」
そう言って、私の手から籠をさっと受け取って作業台に置いてくれた。なんというスマート!!アル君、モテそうだな〜。
「アル君は、モテそうだね・・」
「え、ええ?!」
「いや、さり気なく色々してくれるから・・、凄いなって」
アル君は、ちょっと顔を赤くして眼鏡の位置を直していた。
うん、可愛いな・・。
ふと視線を感じて、そちらを見てるとレイト君がなんか難しい顔をしてこっちを見てる。ええ、な、何??目が合うと、すぐに逸らされて、また作業に移っていたけど。若人よ、言いたい事は主張してくれ。
アル君と、魔法があっても、なくても使えたら便利な物について話していたら、あっという間に10時になったので、カバンにメモと折り紙になる紙をいくつか入れて、出かける用意をしてレイト君に声を掛ける。
「準備できたよ〜、行こう〜」
「・・・・ああ」
レイト君もさっとカバンを持って、外へ行くので、慌てて付いていく。
今日は、街が何かイベントがあるのか、人通りが多い。
「・・今日、街で何かあるの?」
「ああ、今日はちょっとした祭りがあるからな・・、夜までこんな感じだ」
「だからかぁ・・」
そんな事を話していると、前から来た人に押されそうになって、慌てて避けるとレイト君がさっと私の手を握る。
「え、あの・・だ、大丈夫だよ?一人で・・」
「・・今、押されそうになった奴が何を言ってんだ・・。心配しなくても、騎士団の前で手は離す」
「あ、はい・・すみません・・」
色々と配慮して頂いてしまった・・。
確かに今日に限って、人でごった返しなので・・まぁ、これは仕方ないか。ベタベタしないように気を付けようと思ったのに・・、なかなか上手くいかないもんだ。
レイト君の手をちらっと見ると、大きい手だなぁって思う。
こんな大きい手で、よくあんな細かい作業できるよね・・。あの回線を作るのとか、すっごい面倒臭いのに・・。まじまじと手を見ちゃったよ。
「・・何、人の手を凝視してんだよ」
レイト君が、ちょっと照れ臭そうに私を見るので、私も思わず顔が赤くなる。
「い、いや・・、こんなおっきい手で、よく細かい作業するなって思って・・!」
「・・ああ、まぁ、慣れだ」
「慣れで、できるものなのか・・・・?」
思わず、目が遠くなる。
私は、あの紐を結ぶのでさえ苦戦していたというのに・・。
そんな私の顔を見て可笑しそうに笑うレイト君に、ちょっと気恥ずかしい気持ちなった。本当・・なんでこんなにドキドキするんだろう。
騎士団の玄関が見えると、ようやくレイト君は手を離してくれてホッとした。
中へ入って、前回行った部屋へ行くとジルさんが笑顔で挨拶してくれた。
ソファーを勧めてくれたので、早速座る。
「忙しいのに、わざわざ来てもらってごめんね〜!はい、りつ、こっちが真空袋に入ってたご飯のデータ!どれも滅茶苦茶美味しかった〜〜!!」
「あ、ありがとうございます」
「これさ、また食べたいなぁ〜」
ジルさんがニコニコ笑いながら、データ表を渡してくれた。美味しかったのかぁ〜良かったと思って、
「いつでも、また作りますよ〜」
そういうと、レイト君にジロッと睨まれた・・。いや、なんで・・・?




