天才現る。
そんなわけで???どんなわけで???
私は、今朝ミスクさんの職場へ行くことになった。
ミスクさんの弟の服は、しっくりくるくらいピッタリで、白いシャツと紺のパンツを履き、これまたお下がりのブーツを履くと、ショートヘアも相まって、あら素敵少年の出来上がり!!鏡の中の自分をみて、
「いや、似合いすぎだろ・・」
と、ツッコミを入れた。
まぁ、いいや・・。
部屋を出て、教えてもらった台所へ行くとミスクさんがもう朝食を作っている。
「おはようございます!何か手伝います!」
「あ、おはよ〜。ありがと〜、そこの棚からお皿二枚出してくれる?」
「あ、はい」
お皿を出すと、目玉焼きとウインナーが乗せられて、焼いたトーストも渡された。食事の内容がほぼ私の世界と似ていて嬉しい・・。昨夜も夕飯を頂いたけど、シチューが出てきて感動したもんね・・。食べ慣れているご飯の味で、心底安心したよ。
「・・美味しい〜〜!」
「あは!昨日も同じ事言ってたわね〜。開発部に入れれば、食堂を利用できるから便利よ。普段は私は夕食まで食べて行くの。りつもそうしましょ」
「あ、はぁ・・・」
なんかもう・・就職決定!みたいな口ぶりだなぁ・・と思って、思わず笑ってしまう。一緒にお皿を片付けて、いざミスクさんの職場へ向かう。
石畳の坂を登っていくと、大きな茶色のレンガの建物があって・・兵隊さんが入り口で二人立っている。ミスクさんは、私を「仕事関係の子よ」と兵隊さんに説明すると、通してくれた。
ここはあらゆる分野の研究所・・だそうだ。
大きな木の扉を開けると、長い廊下が続いていて、ミスクさんの後ろをついていくと、木の扉の上に表札のようなものがあって、「魔道具開発部」と書かれている。
「おっはよ〜」
ミスクさんが、元気に入っていくと中に何人かいて、挨拶を返す。
「おはようございます、あれ?ミスクさん・・その方は?」
中学生くらいのメガネをかけた男の子が私を見て、聞くと・・側で俯いて何かを作っていた二人の人も、顔を上げる。う、うう・・緊張する。
「私がスカウトしてきた、りつよ。りつ、しののめっていうの!すっごいんだから!!」
顔を上げた一人・・茶色の髪をした人は、ちょっと眠そうな顔をした男性で・・私を上から下まで見た。
「へぇ・・アルと同じくらいの坊主か」
「ちょっと!りつは、坊主じゃなくて・・」
「ま、まぁまぁ、ミスクさん・・大丈夫ですから・・」
思わずミスクさんを宥めた。職場になるなら、穏便な人間関係とっても大事。
もう一人の男性は、ちょっと柔らかい感じの男性でなかなかのイケメンだった。ほんわりと笑って、私をみる。
「初めまして、僕はパルクです。こっちの眠そうなのはモーリス。眼鏡の少年はアルだよ」
「は、初めまして・・」
眠そうなモーリスさんは、頭をガシガシとかきつつ、ミスクさんと私を見る。
「・・で、何がすごいんだ?」
「うふふ〜、りつ!昨日の作ってみてくれる?」
「は、はい・・」
貸してもらったカバンから、一枚紙を出すと、大きな作業台の上で手早く鶴を折る。
そうして、そっと羽を開くと鳥になった姿に、みんな驚いてくれた。
・・・これ、面白いな。
羽にそっと指をおいて、飛ぶように念じると空を飛び、みんなの頭の上を一周すると、今日は私の手の平の上に着地してくれた。
シン・・と、静まり返って、ちょっと焦る・・・。
「え、ええと・・・どうでしょう、か?」
眠そうなモーリスさんは、目をカッと見開いてミスクさんと私を見る。
「採用!!!」
「ほら〜〜!!!やった〜〜!!!」
ミスクさんが、私をぎゅっと抱きしめるので、驚きつつ甘い匂いにドキドキしてしまう。美人のハグはびっくりする。
「あ、ありがとうございます・・?」
「ミスク〜、じゃあ書類の方、頼むぞ〜!」
「わっかりましたー!!」
「え??書類・・?え?」
ミスクさんはにっこり笑って私を見る。
「魔道具開発部にようこそ!晴れて、就職決定したので、今から身分証明証とか作ってきちゃいましょう!」
就職・・決定・・・。
その言葉にじわじわ嬉しくなって、笑顔になる。
「は、はい!!!」
「じゃあ、今、書類持っていくから、廊下で待っててくれる?」
「はい」
廊下へ出ようとして、思いっきり壁にぶつかった・・。
こんな所に壁あった???
そろっと見上げると、濃紺の髪をした大きな男の人が私を見下ろしていて、私は体がビクッと跳ねた。
で、でっかい!!!山か?!!




