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ミツキとつきあいたい!  作者: 石戸谷紅陽
第1章 始まりのイースターエッグ。
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ミツキって呼んで。

チャイムが鳴った。

帰りのホームルームが終わりみんな放課後の予定を話し出す。

コーヒーショップ行こうとか、部活の準備とか、誰かの家に集合とか。

ミツキもよっしーとハラッチが一緒に帰ろうと誘ってくれた。

でもミツキにこのあと大切な予定があるの。

「ごめーんっ。これからサボリの件でお説教。だるー」

「やっばー!池上ちょー怒ってたもん。がんばー」

2人は帰って行った。

隣の席の泉野さんはもう帰っていた。

さっきひっぱたいてしまったお詫びをしたかったのだけれどそれは明日になりそうだ。

もっとも、泉野さんにミツキからかけられる言葉きっとないんだろうけれど。

ミツキは鞄を肩にかけて教室を後にした。


ミツキは校舎裏に足を運んだ。

大きな桜の木がある。

五分咲きくらいだろうか。

今年は少し寒く桜と遅咲きだったみたい。

まだひんやりとする風と暖かい西日が桜の影を揺らす。

今日はまた良太に呼び出された。

ここは昨日も呼び出された場所だ。

でも彼は恐らく来ない。

美月に言いたいこと全部言えたんだもんね。

鞄からエッグを取り出す。

良太からもらったエッグにはラインのQRコードが書かれている。

手書きでかけるものなの?

ミツキはスマホで読み込んでみた。

すると『りょうた』というアニメアイコンがでてきた。

読み取れた……それはそれで気持ち悪い。

少し笑ってしまった。

仮にも好きな人に見られるかもなんだから最初はアニメアイコンやめときなよ。

アニメアイコンを眺めながら、美月を恨めしく思う。

ミツキがID交換したかったなぁと。

鞄からもうひとつエッグを取り出した。

「6時間目にせこせこ描いてると思ったら…」

良太のエッグと似たピンクと黄色の点描があしらわれたエッグ。

美月の気持ちはわからないけれどこのエッグから美月の気持ちが少し伝わる。

今井くん、私も同じだよっていいたんいんだよね?

桜の木の根が少し隆起しているところに2つのエッグを並べる。

ミツキには泉野さんの気持ちがわからなかったように、良太の気持ちも美月にしかわからないのかな。


「感謝されてると思ってたんだけどなぁ…」

『みんなと帰りにハンバーガー食べたかった!』

ミツキはしてる。

『休みの日はカラオケしたかった!』

ミツキはしてる。

『駅ビルで買い物して、喫茶店でおしゃべりしたかった!』

ミツキは全部してきた。

美月がやりたかったこと全部とっちゃってたんだ、ミツキ。

きっと美月も恨めしく思っているに違いない。

でもね。

「ライン交換はミツキがしたかったよ。」

ミツキはいつか消えるから、今は譲ってよ。

全部やってたい。

やりたいことは全部やってみたいの。

あとは彼氏を作るくらいなの。

でもそれは美月もしてみたかったことなのかな?

ミツキのわがままなのかな。


「高岡さん?」

肩をぴくっとすくめ後ろを振り返ると良太が立っていた。

「もしかしたら来てるかもって思って」

ミツキは膝の土草を払い立ち上がる。

「もぉ、呼び出しておいて、遅いよ?」

もう話すことは保健室で全部聞いたと思うんだけど。

「池上に怒られてた。」

やばっミツキもだった。

「それでなんの用?昨日フったんだけれど。」

スマホの画面を今井くんに見せる。

「まずはラインでおしゃべりしてから…ね?」


良太は手を開いたり、ズボンを握ったりしている。

手が迷子になっている。

「その…あの…その事で。ちょっと。エッグ作戦はズルかったかなっと。」

良太は頭を下げた。

昨日も見た構図だ。

「高岡さんが好きです!もっと高岡さんを知りたい!おしゃべりしたいです。だから!」

「俺とID交換してください!」


遠くで部活の掛け声が聞こえる。

青臭い青春の音。

吹奏楽部の音も聞こえる。

澄んだトランペットの音。

そしてスマホの通知音が鳴った。

良太のスマホだ。

良太のスマホに通知が表示される。

猫さんが不機嫌そうによろしくといっているスタンプだ。


美月に譲るつもりも気を使うつもりもない。

ミツキはしたいことは全部やるのだ。


「高岡さんってのやめてよ。」


なにこれ、めっちゃ緊張する顔が熱い熱い。


「ミツキって呼びなさい。」


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