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ミツキとつきあいたい!  作者: 石戸谷紅陽
第1章 始まりのイースターエッグ。
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頑張んなさい。

今日は金曜日、いよいよ明日からゴールデンウィークだ。

いつもなら家で昼夜逆転のアニメ、ゲーム、アニメ、ゲームの日々だが今年の俺は違う。

男女混合の旅行というリア充計画が待っている。

俺はリア充今井良太だ。

もう朝から授業が耳に入らないくらいには舞い上がっている。

月曜日と火曜日の一泊2日の温泉旅。

月曜日の朝に吉川さんのお兄さんがみんなを迎えに回るらしい。

吉川さんのお兄さんなのだからきっとゴリゴリのヤンキーに違いない。

吉川さんとは4つ離れていて22歳の社会人らしい。

8人乗りの大きな車を所有しているらしい。

でも貧乏くじでしかないこの企画に運転手として名乗りを挙げてくれるのだからきっといい人なのだろう。

そんな事を考えているうちにあっという間に午前の授業が終わった。

お昼休み、俺はさっさと弁当を食べお昼寝に洒落混むのだ。

俺が弁当を鞄から取り出した前の席に女子がドカッと腰を掛けた。

俺のノミの心臓と反比例ででかくなるパーソナルスペースに踏み入れてきたのは吉川さんだった。

「ここ、いい?」

不機嫌そうな感じで俺の机に指を指した。

この席を譲れということだろう。

俺は笑顔でいいよと答え席を立った。

これは爽やか男子である。

「一緒にお昼食べようっていってんの」

俺の脳内はパニックを引き起こした。

なぜ?

昨日からなぜそんなに俺を輪に入れてくるの?

絶対住む世界が違うじゃん。

「今日、ミツキとハラッチ休みだから1人でお昼過ごしたくないの。これで満足?」

今日は安原さんの弟さんが熱を出した為に安原さんがおやすみ。

ミツキさんも体調不良なようだった。

俺は席に着きお弁当を食べるために席についたのだった。

吉川さんはギャルっぽい見た目をしているものの、おしゃれで髪が艶々しており、ボディーラインが完璧な非のうちどころのない美人である。

しかしその歯にもの着せぬものいいは敵こそつくらぬが嫌煙されがちであった。

俺も怖くて少し苦手ではある。

しかし今は違う緊張もある。

こんな美人と2人だけでお昼なんて、何を話せばいいのか、すごいいい匂い、顔絶対赤くなってる、汗がお腹と背中で吹き出しているのがわかる。

「今井さぁ…ミツキとつきあってんの?」

俺の米を摘まんだ箸は止まった。

「な…なんで?」

吉川さんは俺にスマホの画面を見せてきた。

画面には木の下に置かれた2つのエッグが置かれた写真が写し出されていた。

片方は俺のエッグのように見える。

「これ、ミツキのエッグなんだけどもう1つのは今井のだよね?」

なんで俺は問い詰められているんだ。

きっと彼女にその気はないにしても、口調にトゲがあるので尋問されている気分だ。

というかエッグを並べてくれたんだ。

すごく嬉しい。

吉川さんじゃなくても特別な意味を感じてしまう。

「もしもーし。聞いてる―?」

俺は我に帰った。

「ミツキに聞いたら付き合ってないとは言うけどさ、ホントのとこどーなのよ」

「付き合ってないよ。俺が告白してフラれたけれども」

「えっ?!なになに!今井コクったの?!」

吉川さんのテンションは爆上げだった。

泉野さんといい、女子はどうしてこうも恋バナが好きなのか。

「あんた意外と根性あんのな。それで最近身だしなみ気にしてんだ」

「あ、わかる?」

「まあそんだけ髪型変わればクラス中気づくでしょ」

じゃあなぜ誰も触れないんだ。

初日ドキドキして登校したのに。

「でもフラれたのにこのエッグはどういう事?」

俺はやっとわかった気がする。

ミツキが言っていたことが。

「俺…諦めてないから。…まだ変われるから。」

ふーんと吉川さんは見下ろすように微笑んだ。

「今井ってそんな顔もするんだ。知らなかった。」

吉川さんはスマホをしまいながら話を続けた。

「予想とは違ったけど今井誘って正解だったわ」

吉川さんは屈託のない絵柄で俺の肩を軽くはたいた。

「がんばんな!応援してるから」

今まで見た吉川さんとは違う綺麗な姿だった。

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