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Blue Ridge Saga —クリスタニアの過去  作者: おーがすてぃーぬ


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お前はいらない― ひとりぼっちの船 ―

誰にも理解してもらえない。

誰にも愛してもらえない。


そんな時間を過ごしていた船がありました。

本編はこちらからどうぞ。

https://ncode.syosetu.com/n1503lw/



それでも、その船は海に在り続けます。

白く美しい大型クルーズ船、ブルーリッジ・サガ。


ブルーリッジ・クルーズが鳴物入りで就航させた大型船だ。



しかし、既存のクルーでは扱い切れなかった

ドックに入れても異常は見つからない。

それでもシステムエラーが度々発生し、使いものにならなかった。


「この気性難め!何がそんなに気に入らないんだ!」


造船会社でさえも、原因を突き止められないまま、デビューから2年が経とうとしていた。


「お前がこのままだと、俺たちもどうなることやら…」


就航させたものの運用率を上げることが出来ない状態でも、多額の維持費は当然かかる。


痺れを切らした執行部は、遂にブルーリッジ・サガの売却を決定した。



「使いものにならないなら、我が社には不要だ。

手間賃が回収出来ればいい。売り払え!」


しかし、就航から2年ほどでの売却を不審に思い、どのクルーズ会社も手を挙げることはなかった。





その頃、旗艦レジェンディアの老朽化に伴い、新たな船の導入計画を進めていたBMMは、新造船として一から建造するか、ハイブリッド船を導入するかで悩んでいた。


東京晴海のBMM本社。




売却船リストをチェックする日々の中、クルーズ部門


「ねぇ、見て。ブルーリッジ・サガが売りに出されてる!何かあったのかなぁ。」


女性社員の1人がコーヒーを飲みながら、マウスを操作する。


「何なに?あ、ホントだ!まだデビューしたばかりなのにね。」


もう1人がモニターを覗き込む。


「異常はないって書いてあるんだけどなぁ…しかも4億ドルって……」


「ブルーリッジにはいらないってことか…。」


「私社長に報告行ってくるから、日向キャプテンに共有してくれる?」


「オッケーぃ。」






報告を受けた社長の富士崎は、ブルーリッジクルーズの社長ハリス・ブライトマンに、すぐ連絡を入れた。


「ハリス社長、あなたの白馬を、わたくしにお譲りいただけませんか?」


「富士崎社長、名馬とは言い難いですよ。あれはとんでもない気性難です。異常もないのにシステムエラーが頻発する。お陰で建造費も回収できない有様です。」


「まぁ。そんなことが。見せていただいてもよろしいかしら?」


「もちろんです。お気に召すとは思いませんがね。」


「嬉しいですわ。では、一月後にクルーたちを連れてニューヨークに向かいますわね。」


「分かりました。お会い出来るのを楽しみにしていますよ。」




「やれやれ。BMMがあの暴れ馬を欲しいと言ってきた。乗りこなせるはずがなかろうに、もの好きなことだ。売却手続きの準備を進めろ。」


ハリスはそう指示を出す。


ブルーリッジ・サガは、僚船たちが華々しく出港していく中、一隻だけ無人のまま係留されていた。


それを見た子供が、ぽつりと呟く。


「ママ、あの船、とっても寂しそうだよ。」


ブルーリッジ・サガのデッキに、一羽の鷲が舞い降りた。

「大丈夫。お友だちがいるわ。見てごらん。」


母親は、子供がよく見えるように抱き上げた。


「わぁ!スゴイや!大きな鳥が何羽もいる!」


ゲストを乗せるわけでもない。

誰かに賞賛されるわけでもない。


側にいるのは、クルーではなく鳥たちだけだった。


母親は、その船の様子を見つめながら

「あなたを愛してくれる人は、きっといるわ。だから諦めちゃダメよ。」


そっと呟いた。


すべての船には、出会うべき相手がいます。


理解されなかった過去も、

やがて意味を持つ日が来る。


いつもありがとうございます♡

ブクマ&評価いただきますと、ないて喜びます


これは、クリスタニアになる前の、ひとつの記憶です。

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