( 18 )スポンサーが欲しい
スザンヌは、実家で朝ごはんを食べながら考え込む。この状態では、早く商売を始めてお金を稼がないと。
またまた、父親+商売=失敗する。×借金=無限!!
プルプル~~~。
「スザンヌ、スプーンを噛まないの。そんなに、お腹が減ってたの?私のスープをあげるから。」
見かねた母親が、ガジガジとスプーンに噛みついている娘に自分のスープ皿を譲ってきた。
「いいの、いいの。ちょっと、腹が立っただけだから。」
これ以上、母親に心配をかけられない。自分で何とかしなくちゃ。アグアニエベを呼んでエレンの屋敷へ飛ぶ。
アグアニエベは、次からの移動を拒否してきた。
「今回で、私はお休みします。忙しいんです、天使のお仕事が。天使のお手伝いをする悪魔ですから、エッヘン!」
「ええー、困る!何でえー?」
「だから、天使のお仕事。」
「お仕事って、召集て言ってた事?」
「そうそう、久しぶりに大物が現れるんです。私の活躍の場所、見せ場なんだから。死人が、うーんと出る。」
「死人?怖っー!」
詳しい話は、してくれなかった(知らないみたいだったけど)。何か、大悪人が暴れるよな感じだった。無事に済めばいいけど。
エレンの屋敷に着いて、その事を話すと力を貸してくれた。
「アグアニエベさんが使えないのですか?まあ、大変!じゃ、パトリシアさんに頼んでみたら。」
いとも簡単に問題を解決くれたのでした。アグアニエベは、必要ないですね。
知らなかった事実。エレンの屋敷には、パトリシアが設置した移動ドアが有るのだ。エレンはスザンヌを連れてドアへ入った。
「こんにちは、パトリシアさん。スザンヌを連れて参りました。お願いがあるそうなんです。」
「ドルウとパトリシア」という共同経営の商店。その事務所で帳簿を見ていたパトリシアが、顔を上げて2人を見る。
「こんにちは、エレン。やあ、スザンヌ。私で出来る事なら、やらせてもらうよ。」
ふーと笑った口元が、少女には不似合いなセクシーさ。転生前モードのようです。エレンは、頬を染める。それを、スザンヌは気がつかなかった。
「こんにちは、パトリシアさん。アグアニエベが天使の召集で忙しいて言うんです。私に移動ドアを使わせてくれないって!」
「召集とは、大事だな。何だろう。」
「自分の見せ時だからって。」
「へー、張り切ってるな。」
「私、借金が増えちゃったから商売を始めたくて。」
「ああ、商売をしたいと言ってたね。」
話をしている時に、事務所に乱入して来た1人の男。デップリした中年の赤ら顔。
「おい、パトリシア。俺は、金が必要なんだ!」
ドラ声で怒鳴る。エレンは、スザンヌの腕を引くと部屋の隅へ。この男が誰なのかを知っているらしい。パトリシアは、見上げる程に大きな相手を見据えた。
「お父さん、これ以上は渡せないと言ったはずですが。」
何と、この男はパトリシアの父親だったのだ。
「無い金を出せと言ってるんじゃないぞ。お前の共同経営者のドルウ・ゴメスを切って何もこも売っちまえ。都が空になる時に商売なんか出来るか!」
「確かに都から人が流出してますが、本拠地は必要です。私の会社は、ここから移しません。」
「父親が移せと言ってるんだ。お前なんか、何処かの爺に嫁に出して俺がやってやる!」
「はいはい、昼寝してろ!」
イラッとしたらしいパトリシアが片眉を上げて命じた。すると、父親は動かなくなる。そしてら後ろ向きに歩き出した。
パトリシアが、呟く。
「違うだろ、前を向け!」
ギギギギ、ギクシャク、ギゴギゴー。
ぎこちない動きの男は、方向転換して出て行った。スザンヌは、吹き出す。
「な、何、あれ?クックッククク!」
「スザンヌさん、パトリシアさんの魔法ですわ。」
スザンヌは、驚く。魔法は、あんな事も出来るんだ。じゃ、パトリシアのお父さんは命令どおりに昼寝するの?
愛人の館に戻って来たパトリシアの父親は、床に転がって寝てしまったのでした。
何時もの事なので、愛人は優しく寝かせておきました。起きてると煩いので。




