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変化する世界を貴方と  作者: 黒煉
5・迷宮を攻略せよ
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黒騎士と剣姫・隠者

短め。理由の説明とお知らせがありますのであとがきをご覧ください。

ゴスペル&サリィ



ゴスペルとサリィ。


2人は夫婦ということもあり、まさにその戦いは息ぴったり‥‥‥‥‥かと思われたが。



 「ははっ!! 遅いよゴスペル!! やっぱり戦いは速度、だからね!!」



サリィがそんなことを言いながらも手に握った刀で魔物を斬り伏せていく。

そしてその本数は1本ではなく、両手に1本ずつ、計2本であった。


1本はサリィがもっとも扱いなれている愛刀、獣牙(ケモノノキバ)狼刀(ロウトウ)だ。

そして2本目はそれに酷似しているが刃がのこぎり状になっている刀、鮫牙(サメノキバ)である。


狼刀が斬ることに特化した刀であるとするなら、鮫牙は引き裂くことに長けた刀であると言えよう。


迷宮に現れる魔物は一種類ではない。

甲殻を纏う魔物もいれば鱗を纏う魔物もいる。

そしてそういった魔物を相手取るには、残念ながら狼刀は不向きだ。そんなときの為に用いる刀こそこの鮫牙である。


鮫牙はその凹凸でまさにのこぎりで切るかの如く固い部位を引きはがし、柔らかい部分を露出させることに長けたつくりになっている。

なので固い部位を持つ魔物を相手にするときには鮫牙でそれを破壊し、狼牙でとどめを刺す。


それがサリィの固い魔物を相手にするときの戦闘スタイルである。



今サリィが相手にするのはロックバード。

その名の通り、石のように固い羽毛を持つ鳥型の魔物だ。


最も全身灰色でぎょろめの鶏といった感じの見た目をしているため、お世辞にも可愛らしいとは言えないが。

その魔物を、サリィは鮫牙で羽毛を抜き取り、あらわになった柔らかい部分を狼牙で切り裂き、とどめを刺していく。



対するゴスペルはと言えば。


「はっ!! 速さだけがすべてとは言わないぜ? 正確に、一撃一撃で仕留める!! これが俺にはあってる、のさ!!」


その腕力に物を言わせ、魔剣で魔物たちを一刀両断していく。

サリィに比べればその速度は圧倒的に遅いが、それでも確実性で言えばどちらが上かは一目瞭然である。


しかもその威圧的な風貌も合わせて、魔物たちも知らずのうちに引き気味になっており、完全に狩る側、狩られる側の関係が確立してしまっていた。

それはゴスペルの狩りを、より簡単なものへと変えるのだ。


圧倒的力でねじ伏せる。


それがゴスペルの戦闘スタイルだ。

脳筋と言ってしまえばそれまでだが、堅実な戦い方であることは間違いないだろう。



そしてそんな2人が競い合うかのように魔物を次々とねじ伏せていくその様子は、最早蹂躙劇でしかない。


サリィが群れの数を減らし、生き残りをゴスペルが確実に処理をする。

しかもゴスペルは相手に恐怖心をも植え付けるため、やがて数を減らされた魔物たちは2人に背を向けて逃げ出す。2人は好き勝手自分のやり方で戦っているだけだが、それがうまくかみ合うことで結果、魔物たちを触れさせることすらなく倒すことを可能としていた。



だが競うように魔物を殲滅しにかかっている2人の勢いは収まることはない。



 「ゴスペル!! お先!!」

 「くっ!? 俺の分も残しとけよ!!」


 「あはは、それは気分次第~!!」

 「あ、こら待て!! くそっ!!」



そんなやり取りをしながら2人は駆けていく。

その様子はとても仲の良い男女の姿そのままであり、それだけを聞けば実にほのぼのとしたものだ。



しかし後に残るのは両断されたか、原形さえもとどめずミンチと化した魔物の物言わぬ骸だけであった。





オーギュスト&リカン




この2人が、おそらく戦力的には最も劣っているだろう。


なぜなら実質戦えるのはオーギュストだけだ。リカンは非戦闘員であり、戦力とはいいがたいだろう。

だがそれでも、今回の勝負において不平等であるとは少なくともオーギュストは思わなかった。


なぜならば今回の勝負事は何も魔物を倒す数を競っているわけではない。セフィリアの元にたどり着く速さを競っているのだから。

であれば非戦闘員であるリカンにもやりようはある。



  「オーギュスト殿、こっちだ」

 「ああ、分かった」



なぜか目を閉じたままのリカンの誘導にオーギュストは素直に従いその後をついてゆく。



リカンは時折長い耳をぴくぴくと耳を動かしながら、しきりに周囲を確認していた。

そう。リカンは今、周辺の状況を完全に把握しているのだ。



これが本人が大したものではないと卑下していた魔法の1つ、”索敵魔法”。


だがオーギュストは確かに派手だったり、攻撃性が高いわけではないが、それでも大したことが無いどころかとんでもない魔法であるとすぐに気づかされた。



なぜなら2人は今まで一度として魔物と遭遇していないからだ。


そして前の階層でリカンは一度も罠に引っかかっていないのだが、それも偶然ではない。

リカンは正確に罠の位置を把握していたのだ。

最もそれを伝える必要はないと知っていたのでいちいち知らせなかったというだけで。


オーギュストは確実に他の一団よりも圧倒的に速くゴールに近づいていることを実感していた。

何せ戦闘をしないのだ。それにより短縮できる時間は大きい。


しかもリカンはイアに教えた魔法”ハイディング”も駆使することによって仮に魔物と遭遇した場合でもそれを戦うことなく素通りしていくのだ。


オーギュストは内心でこれはイアちゃんが習得すればとんでもない事になるな、などと考え、苦笑いを浮かべていた。







そしてその各々が好き勝手暴れまわっている一部始終を、実は見ていた人物が1人。



 「よしよし、いい具合にそれぞれの実力を把握できたな」



そんなことを呟くのは、この競争のゴール地点役であるセフィリアだった。


実はセフィリアはリカンの魔法を口頭ではあるものの知り、早速自己流で再現していたのだ。


今使っているのは索敵魔法の改造版。”千里眼”である。


索敵魔法は原理としてはソナーに近い。

自分から魔力の波を発することで周囲の状況を把握するというのがその仕組みだ。



そしてセフィリアの千里眼の仕組みは単純にその魔力の波が強くなっているだけだ。

しかしそのおかげで得る情報量は圧倒的に増し、セフィリアはより鮮明な状況を把握することを可能としていた。

つまり、映像として見ることが可能にしていたのだ。

それをセフィリアは使い、各々の様子をしっかりと確認していたのである。



相変わらずの規格外っぷりを十全に発揮するセフィリアであった。






これより作者が多忙な時期に入ります。その為不定期投稿になることをお知らせします。

期間としては5月中旬ごろまでを予定しています。

不定期とは言いましたが、少なくとも1週間に最低でも1話は投稿します。

読者の方々にはお詫びを。申し訳ありません。



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