精霊の心-15-
まずはお詫びを。
予定からずれにずれ、大幅にお待たせしてしまったことにお詫び申し上げます。
本当にすいませんでした!!!!
遅れた理由についてはひとえに努力不足です。予定していた日付とも字数ともだいぶ離れてはしまいますが、なんとか平成最後の日に投稿することが叶いました……4か月も経ってしまいましたよ(´・ω・`)
はい! まじめな話はここらへんにしておいて、ここからは明るく行きます!
さて、今回のお話なんですが、時間がだいぶ空いてしまいましたので、ぜひ1話から見返してください!
いやあ忘れていることが多かったですね(汗)
では1話から読み返していただいた人からお楽しみください!(笑)
*人と精霊2
結那と胡桃が受けた一コマ目の授業は、一般教養だ。そのため語学などをどの程度学んでいるのかわからない胡桃は、一旦別の教室へ移動してもらってからテストを受けることになった。一方、結那は仙王学園と学ぶ内容がほぼ変わらず、元々成績も優秀なためそのまま授業を受けた。
胡桃が別教室から戻ってきて、二限目のも終わり三限目が始まったくらいのこと。教室のドアをノックしてから開けて、二人ほど教室に入ってくる。
「どうも、仙王学園から来た神祠柚斗です。ホームルームには間に合わなかったんですけど、先に来ている結那と胡桃共々よろしくお願いします……と、舞雪も自己紹介しなきゃ……な?」
舞雪は柚斗の目を見て頷く。
「あの、精霊の舞雪です……よろしくお願いします」
舞雪が自己紹介を終えると、大きな拍手が教室内に響き渡る。
「二人とも大変だったってな!」
「体の方はもういいの?」
「精霊だってー! 向こうにもいるんだね!」
目の前で広がる光景にあ然とする柚斗と舞雪。席に座っている結那と胡桃に視線を送ると「知ってるみたいよ?」と読み取れる結那の口の動きを見た柚斗は、余計に訳がわからなかった。
(なんで知ってる? てか舞雪と似た雰囲気のやつが何人もいるぞ……)
結那と胡桃の時の反応と同じような反応をする柚斗と舞雪を見て、クスッと笑う宵。宵は補足説明をする。
「細かい説明は省きますが、このクラスの半分の生徒は人間ではなく精霊です。そのため精霊狩りのことはクラスのみんな知ってるんですよ」
納得する柚斗と舞雪。生徒に精霊がいるなら学園側で情報を知らせていてもおかしくはない。それにしても、と柚斗は考える。それは結那がホームルームで考えたこと、衝撃を受けたことと同じ内容だった。
(人間と精霊が一緒に授業、ね)
舞雪を見ると、アットホームな雰囲気にすっかり馴染んだのか、舞雪の近くの席にいる生徒と話し始めている。
まあいっか、と柚斗は考えるのをやめ、宵に近づき頭を下げる。
「先生、俺たちのことよろしくお願いします」
宵はにっこりと笑い、右手を曲げて力こぶを作るようなポーズを取った。
「もっちろん。先生にまかせなさーい!」
宵の柔らかい雰囲気に飲まれ、柚斗も自然と笑顔になる。
(しばらくライハラムで勉強するのも悪くないかな……)
四人とも上手くクラスに馴染めそうな、良いクラスメイトに巡り会えた。教室の外で様子を覗いていた理事長のロノフォも小さく息を吐き、鼻歌を歌いながら理事長室へ戻っていった。
*教え子
朝日が差し込む部屋。革のイスに座る仙王学園中等部の制服を来た女の子が座っていた。綺麗な白い長髪を今は結び直し、右にサイドテールを作っている。
「ねえ岡、こいつが言っていたことは本当かしら?」
中等部に在籍する生徒でありながら理事長の仙王月詠は、客人用の席に座る岡に声を掛けた。
「神祠柚斗を狙っている、か。まあ実際に変な動きを見せたわけだし合ってるんじゃないか?」
同じく客人用の席に座っていた女教師ルートは、床でのびている男を見ながら質問する。
「この男、どうします? 当然教職はクビだと思いますけど」
月詠はひらひらと手を振りながら適当に答える。
「もうそいつはどうでもいいです。なんで狙っているのか聞く前にのびてしまったのはすっごく残念ですけど……」
月詠の言葉に冷や汗が滲むルート。拷問……ではなく尋問を行ったのは彼女で、やり過ぎたのも彼女であった。岡が細めた目でルートを見てくるので、誰に求められるわけでもなくつい弁明する。
「だってこの男、結構口が固いんですよぉ~……それはお二人とも同じ部屋に居たんだから知ってますよね!?」
「知らんな」
「ルート先生、見苦しいですよ」
と言ってそっぽを向く岡と月詠。二人の態度にルートは思わずため息をつき、弁明を諦めた。この二人には何を言ってもダメそうだと頭を抱える。
突然岡は「あっ」と発して携帯端末を取り出す。
「岡先生、どうかしました?」
月詠が質問をすると、携帯端末軽く振ってアピールする。
「ライハラム学園から留守電が入ってたのすっかり忘れていたんだ……」
「もう……重要な話だったらどうするんですか? ちゃんと気を付けてくださいよ岡先生」
「悪い悪い」
岡の適当な返事を聞いて、月詠はため息をついた。そして高野の言葉をもう一度思い返してみる。
(神祠柚斗を狙っている、ね……原因はどっちかしら)
「……そうか、分かった」
岡が携帯端末から耳を話してポケットにしまう。
「で、なんだったの?」
月詠の質問に岡は少し険しい表情をした。
「柚斗……神祠柚斗が襲われたらしい。精霊殺しとか言う異名まで付いた手練だとかって話だ」
ルートは瞼を閉じ、大きな溜め息をつく。それを見て、岡はルートを軽く睨んだ。
「なんだよそのリアクション、自分の勤める学園の生徒に危険が迫っていたって言うのに……随分と冷たいじゃねえか」
ルートはじっと岡を見つめる。その意図が分からない彼は困った表情をしていた。
「な、なんだよ」
「いえ、ただ不器用だなーって思っただけです」
岡は表情を変えルートを見つめる。何やら岡とルートの間に何か意味のこもったやり取りがあったようだ。が、月詠にはまるで伝わらない。なのであえて気付かないふりをする事にした。
「お二人とも、どうされました?」
「……何でもねえよ」
岡が言葉と共に視線をルートから外し、やり取りは終わりを迎える。月詠にとって、岡とルートの間に過去何があったかなんてことはどうでもよかった。
月詠は仙王学園の理事長であり、中等部の生徒だ。重要なのは生徒が襲われたという事実。
仙王学園の事件とライハラム学園の事件。共通するのは神祠柚斗という生徒がターゲットだったということだ。
「ルート先生」
「……はい、何ですか?」
突然呼ばれたルートはまだどこか不機嫌そうだが、月詠はお構いなく続ける。
「そこで伸びている元教師を起こして下さい」
「はい……え?」
反射的に返事をしたルートだったが、少しして先程と逆のことを言っていることに気が付き、動揺してしまう。
月詠はさして気にしない様子で元教師を起こす理由を述べる。
「その人に聞かなければいけないことを思い出しました」
岡は目を閉じ、無言で腕を組んで客人用の席に座っていた。
その表情は、どこか焦りや後悔のような何かを感じさせるものだった。
*ロノフォの取り決め
ライハラム学園内の街に活気が溢れ始める放課後。柚斗達は、ロノフォに呼び出されて理事長室へと足を運んだ。
理事長室を前にお互いの顔を見合わせる。それは誰がドアをノックするかという意思表示に他ならなかった。
柚斗がサッと自分を指差し、軽く頷く。その動きの意味を理解した結那と胡桃も頷いた。
「こんこんっ」と年季の入った木の扉を叩く音が辺りに鳴り響く。
「どうぞ~」
中から聞こえてきたロノフォの声は少し上機嫌に感じられた。
柚斗が扉を開けて、3人は理事長室へ入る。中は思ったより広く、豪華な……というよりは部屋の奥にある、これまた年季の入った立派な机のせいかモダンな空間になっていた。断じて質素とは思っていない。断じて……。
ロノフォはその机に伏せていた。机とロノフォの間には何かしらの書類が挟まれている。少し端にボロが見える辺り、それなりに古い書類なのではないだろうか。
「あの、理事長それ枕にしてもいいんですか?」
柚斗が指摘をすると、ロノフォは勢いよく顔を上げる。その顔はがっかりといった表情だ。
「昨日から思っていたんだけど柚斗くん」
「は、はい」
「私のことは理事長じゃなくてロノフォさんって呼びなさい」
「は、はあ……」
急なことに苦笑いしつつ曖昧な返事で流した柚斗だったのだが、本人以上に反応を返す人物がいた。
「き、急に何を言い出すんですか理事長!」
突然結那が大声で反応する。隣にいた柚斗と胡桃もそうだが、正面にいたロノフォは、ある意味2人以上に驚きがあった。その理由はロノフォの顔にも出ている。
「あら、どうしたの暁さん?」
ロノフォはニヤニヤが止まらないといった様子だった。
結那は顔を少し赤くしながら小声で「……なんでもありません」と言って俯いてしまう。
ちなみに大体察しはつく柚斗だったが、はたから見ると、いい年こいた大人が女子高生をいびっているようにしか見えない……いや、その通りなのだが。
「まあそれは置いといて、貴方達を呼んだ理由はちゃんとあるわ」
そう言うとロノフォは、つい先程まで自身の枕にしていた古そうな書類の一つをつまみ、3人に見せる。そこには読んだことのない文字が書かれていた。
「これから仙王学園に帰るまでの間、私が新しい魔法を教えてあげる!」
柚斗は首を傾げる。
「というと?」
ロノフォは紙を置いて、椅子の背もたれに寄りかかる。
「貴方達の学園からお願いされてるのよ。異の門が安全に使えるまでの間、いい感じの魔法を教えろって……柚斗君と暁さんは選抜組なんでしょ?」
「ええ」
結那が軽く頷いた。
高等部の選抜組というのは、高等部に入る前から魔法や魔術を学んでいる生徒の中から優秀な者を選りすぐる枠のことだ。柚斗は扱える魔力の上限量がとても高く、結那は代々、顕現魔法を研究する家系に生まれ、魔術、魔法共に高水準な上、ある特殊な顕現魔法を扱える数少ない人間だ。
「そういえば、舞雪さんはいないの?」
「友達が出来たみたいでどっかで遊んでると思います」
結那が答えるとロノフォはあごに手を当てて考え込む。
「困ったわね、あの子にも参加してもらいたいのに……」
ロノフォの反応を見て、柚斗は1つ疑問が浮かぶ。
「ロノフォさん、俺と結那はいいですけど、胡桃も参加するんですか?」
「そのつもりよ」
急に自分の名前が出てきてオドオドとする胡桃。
ロノフォは急に手を合わせて音を出す。3人は思わずロノフォの方を見ると、ロノフォは勢いよく立ち上がる。
「とりあえず、舞雪さんを探しに行きましょっか!」
*精霊たち
舞雪は、柚斗達が留学生として編入したクラスの生徒であるマニンという精霊の女の子に学校を案内してもらっていた。
「まゆっちー、ここが保健室……って朝運ばれたって言ってたから知ってるよね~あははっ!」
まゆっち? と突然出てきたあだ名に驚く間もなく、舞雪はマニンに手を引かれ次の場所に移動してしまう。
マニンの髪は赤く、火の精霊らしいので、陽気な性格と合わせて正しくイメージ通りという感じなのだが、それはマニンがたまたまそれっぽいだけで、実際は特に容姿や性格と精霊としての属性は関係ないらしい。考えてみれば舞雪自身、髪は真っ白なものの、性格はマニンほど分かりやすいものでもなく、人らしく(自称)実に区別しにくい曖昧なものだ。
なんにせよ、だ。舞雪にとって初めて出来た精霊の友達がマニンだった。それは紛れもなく舞雪にとっての『特別』だ。そんな友達との出会いを心の中で感謝している舞雪と、その気持ちを知ってか知らずかグイグイと手を引っ張っていくマニン。
「まゆっちは今どこに住んでるんだっけ?」
「えっと……街からはちょっと離れたところで、周りに家とかがたくさんあったかな?」
マニンはしばらく間を置いて笑顔で言葉を返す。
「じゃあ、今度遊びに行くね!」
「う、うん!」
舞雪は今までで一番元気よく頷いたかもしれない。マニンの勢いに負けないよう、舞雪はマニンの手を少し強く握って追いかけていった。
いやはや、どうしていつも前書きと後書きはすらすら書けてしまうのでしょうか……。
次回は柚斗たちが舞雪を捜索して、ルート先生たちのごうもry……尋問がまたまた始まります!
次回は……今回よりは早く投稿します!(鼻ほじ)




