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異世界転生アンチーレム  作者: MUR
第2部 帝都到達編
28/53

第26話(2-14) スパルタ式防衛戦 その一

 敵の包囲線から約二週間。

 ソルティドギィの街、宿屋にて。


「なぁ、そろそろ次の街へ向かってもいいんじゃないか」


 ベルがあくびを噛み殺しながら聞いてくる。

 時刻は夜更け、そろそろ眠くなってきたのだろう。


「残念ながらそう簡単にも参りません。次の街まではかなり距離がございますので」


 ヤシマの発言を受けて、俺は聞き返した。


「どれぐらいはなれているんだ」


「倍以上でございます」


 マジかよ。

 ポートスの街からソルティドギィまで一カ月かかったのに、その倍とは。

 徒歩で移動するにはキツイ距離だ。


「レギのごはん途中で無くなっちゃうよ」

「きゅ~」


 アンリが不安がり、レギが不満の鳴き声を上げる。

 飛竜の子、レギは絶賛成長期だ。

 エサの確保だけでも頭が痛くなる。


「明日、領主オーガスタス・ド・ゴールのとこに行ってみるか」

 

 俺の提案にみんな納得したようだ。

 明日領主の館を訪ねることになった。



 ……。



 翌日、ソルティドギィ領主オーガスタス・ド・ゴールの館にて。


「すぐに出発というのは難しいですな」


 ド・ゴールは難しい顔で答えた。


「やっぱりですか」


 予想通りの答えにがっかりする。


「あなたがたにはこの街を救って頂いた恩義があります。出来る限りの便宜を図りたいのですが、今は時期が悪いのです」


「どういうことです?」


 俺の疑問にヤシマが横から答える。


「あと一か月もすれば本格的な冬になります。馬での移動も難しくなります。徒歩などもってのほかです。」


 それをド・ゴールが受ける。


「加えて、いま都合出来る馬が一頭もいないのです。前回の包囲線で少なくない被害を受けているので、少しでも街の防衛に回したいところなのです」


「ふむ」


「ひと冬この街で過ごす、というのはいかがでしょう。春になれば街の軍備も立て直しのめどが立ちますし、最悪、私が顔の利く行商人に都合をつけますので」


 まぁ、常識的な判断である。

 帝都を目指すのは少し遅れてしまうが仕方ない。


「それでいいのか?」


 俺は一応、旅の仲間に確認した。


「いいよー」

 

 何も考えてないアンリ。


「よし、街の工房を見学するか」


 研究熱心な鍛冶屋のベル。


「キリヤ様のお決めになった通りに」


 メイドのお手本のようなヤシマ。


 三者三様ではあるが、みんな異論はないようだ。


「決まりのようですな。それでは春までここソルティドギィに滞在されるということで。そうなればいつまでも宿屋では不便でしょう。手ごろな空家を手配しましょう」


「いや、流石にそこまでは……」


 俺はド・ゴールの申し出を断ろうとした。


「いやいやキリヤ殿はこの街の救世主ですから。遠慮は無用というものです」


 ……そこまで言われると断りづらい。


「お心遣い痛み入ります」


「それでは二~三日中に宿へ使いの者をやります。それまでお待ちください。あと一つだけよろしいですかな?」


「?」


「先ほどの話題にもありましたが、現在街の守備を再構築中でございます。誠に身勝手ですがキリヤ殿にもぜひご協力頂きたいのですが」


 やられた。

 最初からこれが目的だったのではなかろうか。


 相手の好意を既に受け入れている以上、これは断りにくい。


「…分かりました。何をすればいい?」


「引き受けて頂けますか! ではさっそく、こちらが城壁の修復状況なのですが」


 ド・ゴールが机に図面を広げようとした、そのとき。



「緊急報告でございます!!!」



 扉がバンッと開け放たれ、ひどく動転した伝令が走り込んできた。


「なんたる無礼な! お客人の前で恥知らずなことをするとは!」


 無作法な振舞いにド・ゴールは真っ赤に怒っている。


「申し訳ありません。どんな処罰でもお受けします! 最重要事項です!」


 伝令の鬼気せまる表情にド・ゴールが押された。


「なんのようだ」


「峡谷の向こうからオーガの大軍が接近中! その数、二万以上!」



 ……。



「え?」

「え?」

「へ?」

「……」

「オーガってなに?」

「きゅう?」


 ド・ゴールの顔は真っ青に青ざめていた。


スパルタ式防衛戦の続きを必死に書いてます。

次回投稿は23時を目安にしてます。

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