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Si-Lence  作者: 蒼真
3/3

イレギュラー

「でさぁ、ムカついちゃって・・・」


俺は学校に着くと早々に、友達に今朝の出来事を話した。

カササギ 渡流ワタル

小学校からの腐れ縁で、何かとおせっかい極まりない奴だ。

鵲はふぅん、と言ってから、面白そうなことだな、とでも言いたげに目を輝かせた。


「・・・・なんだよ」

「え?だってさ、あの特別クラス(イレギュラー)だぜ?

あのクラスって、何か近寄りたくないっつーか、話しかけづらい雰囲気があるっつーか・・・・・

なのに話せちゃったとかどんな勇者だよ?しかも相手は美少女!」

「・・・・・話してもいいことないぞ。傷つくだけだ」

「えーいいじゃん!美少女ちゃんと話せたなんてうっらやましー!!命まで助けられちゃって!」

「イライラしてたせいで完全に忘れてたけど、お前馬鹿だったな」


もうあの美少女ちゃんとは出会うこともないだろう。

そもそも特別クラス(イレギュラー)のエリートと普通科の凡才じゃ接点なんてものさえ、最初からないのだ。

今日、あの場所で会えたのはたまたま。

そう、偶然でしかない。

この世界に必然なんてものは何一つとない。

そうやって、偶然が繋がることで、世界というのは今日も成り立っているのだから。




そう―――――・・・・思っていた







「探したわよ。宮城雅」



嫌な予感。

ぎこちない動作で後ろを振り向けば、今朝会ったばかりの美少女ちゃんが。

周りの生徒が一瞬でざわつく。

圧倒的な存在感と威圧感。

エリートだとか、特別クラス(イレギュラー)だとかいうレッテルを引き剥がしても、ただそこにいるだけで、人々は彼女の周りから遠ざかる。

今現在も、俺の机の周りだけぽっかりと穴が空いているように、人が彼女を避けている。

最も、俺と鵲は除くが。


「探したって・・・・・・はぁ?」

「とりあえず、あんたの意思は無視するわ。

私急いでるの。

委員長命令だしね」

「え、ちょ・・・・っ」


手首をがしっと掴まれ、俺の声さえ無視してずるずると引きずっていく。

あぁ、周りの視線が痛い・・・・・。

こんな目立ち方するとは・・・目立つことなく有意義に過ごそうと思っていた俺のプランが、早くも台無しだ。

どうしてくれるんだ、この女、などと頭の中でグチグチと相手への不満を募らせる。

しばらく引きずられて、ある教室の前でピタっと止まる。

プレートを見ると、やたら重々しい色の上に、赤色でAlphabet(アルファベット)、と英語で書かれていた。

アルファベットって委員会のー・・・・!?

ていうか何でここのドアだけ豪華な装飾で、なおかつ電子式のドアなんだよ。


「な、何で俺をこんなとこにー・・・」

「言ったでしょ、委員長命令だって。

私が委員長に、あなたを連れてくるよう頼まれたの。

全く・・・5秒でつれて来いとか言うし、会ってみれば今朝助けたつまらない顔だし、散々だわ」


またつまらない顔って言った・・・・!!!

妙にイライラを募らせて美少女ちゃんを睨みつけるが、ソッコー無視された。

ふぅ、と息を吐いて、美少女ちゃんはポケットから生徒手帳を取り出した。

後ろの方に載っている黒いページを、ドアの横にあるカードリーダーに読み込ませ、その後手を押し付けると、認証シマシタ、と電子音が流れ、ガコンとドアが開いた。


「・・・すごいセキュリティーだな」

「当たり前よ。勝手に一般の生徒がここへ入ったら、大変なのよ」

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