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13 入学式

2026年 4月26日 第2稿として大幅リライト

 これから、いよいよ入学式。体育館に全校生徒が集まっています。

 壇上では学園長の挨拶が始まりました。昨日の笑顔とは打って変わって深刻な面持ちです。聖騎士の使命であるとか、迫り来る試練のこととか、強い口調で説いています。

 ――どうやら、北の山に“闇の大穴”と呼ばれる、魔族が沸いてくる底なし沼があって、そこを封印してる聖剣を差し替えないと、たくさんの魔族が襲ってくるらしいです。けれど、聖剣は聖騎士にしか扱えないので、学園は早急に聖騎士を見出さなければなりません。


(大変なときに入学しちゃったのか……)


 リーゼにしてみれば、毎日かわいい制服を着て、時々放課後にアイスクリームを食べられればいいのですが、そうもいかないようです。


 ここは10歳から15歳までの生徒が学ぶ学園です。体育館に集められた新入生は20人ほどで、新入生の後ろには100人ほどの在校生が並んでいます。校舎や施設が大きくて立派なのに、生徒の数がとても少ないのは、それだけ公国が学園に期待しているということでしょう。

 学園長のあとは、剣技指導長ランドリックが壇上に上がりました。拳を振るいながら、剣への情熱を熱く語ります。アメリアは不安になって、隣のリーゼにそっと話しかけました。


「どうしよう……ついていけるかな?」


 リーゼはすぐに返事が出来ませんでした。大人しいアメリアが剣を持つ姿を想像できないのです。


「ん~、聖魔法使いのアメリアに、厳しく剣を教えるってないと思うけど?」

「そ、そうだよね? 私……運動神経よくないし、剣を振るなんて向いてないもん……」


 続いて壇上に上がったのは、なんとディツィアーノでした。


「天聖教会の司祭、ディツィアーノと申します。皆さんに聖魔法を伝授しに来ました」


 リーゼは天聖教会にいい印象がありません。オーデンで聖天使教会をいじめていたヒドい人たちです。プイッとそっぽを向きました。


「新入生には、聖魔法が使える聖少女様がいらっしゃるとか。期待していますよ」


 ディツィアーノの言葉に、アメリアが身をすくめました。


「今のって、アメリアのこと?」

「う、うん……村じゃそう呼ばれてて……。けど、聖少女だなんて、困ってるの。魔法……少ししか使えないのに……」


 縮こまるアメリアを見て、仕方ないかも――とリーゼは思いました。聖少女なんて見たことありませんが、いたとしたらアメリアみたいな見た目なんだろうって思います。キラキラした金色の髪がふわっとしてますし、長いまつげの青い瞳がうるうるしてます。


「それでは最後に、在校生を代表して、ユーリィ王太子殿下のご息女であらせられるシャルミナ様より、新入生の皆さんに励ましのお言葉があります」


 お世話係のキャナリーの紹介で、壇上に立ったのはアメリアと同じ金髪に青い瞳の女の子でした。

 リーゼから思わず声が漏れました。


「きれいな人だね」

「うん……聖騎士に一番近いっていわれてる人だよ」

「そうなんだ?」

「ほら、耳が少し尖ってるでしょう? エルフのクォーターなの」

「そっか。聖騎士の適正種族はエルフだもんね」

「うん……」


 なぜか浮かない顔のアメリアが気になりますが、あまり私語をするわけにもいかないので、リーゼは尋ねずにおきました。

 壇上では、シャルミナが聖騎士を目指す者の心構えとか、意気込みを朗々と語っています。高飛車な物言いで、いかにもお姫様といった感じです。しかも、なぜか時々、見下すような視線をリーゼとアメリアに投げかけてくるのです。


(なんか、にらまれてる気がする)


 その理由をまだ、リーゼは知る由もありませんでした。



  ◆  ◆  ◆



 リーゼたちが学ぶ教室は扇の形をしていて、並ぶ机が列ごとに階段状になっていました。机は100席ほどあって、生徒はどこでも好きなところへ座っていいようです。

 リーゼとアメリアは迷わず後ろの席に座りました。2人とも目立ちたくないので、いいコンビなのです。

 算術や言語の勉強はとても楽しいものでした。お爺ちゃんの先生がとても丁寧に教えてくれて、わかりやすかったのです。


(やっぱり、学校っていいな。また、こうして通えるなんて……)


 午後になりました。騒々しく扉を開け放つと、ランドリックが入ってきました。


「さぁ、剣技の授業だ! 全員、防具を付けて体育館へ集まれ!」


 まるで、この時間を待ちかねてたかのような勢いです。

 アメリアが迫力に押されて、ビクッとしました。


「アメリア、大丈夫。あの先生が目を付けてるのって、私だから」

「え?」

「だって、ずっとこっち見てるもん」


 そうなんです。ランドリックは他の生徒には目もくれず、まっすぐリーゼを見据えています。頬が高揚していて、まるで昨日の再戦を挑むかのようです。

 リーゼは大きなため息をつきました。――剣技なんてどうでもいいのに、放っておいてはくれないようです。

【大切なお願い】

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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