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新メンバー

今日も狩りをする。スライムは俺が、オークはユーリが倒すことが多くなってきた。午前中の狩りを終え、昼食をとっているとき、ユーリに聞きたかったことを思い出した。



「最近といってもここ2、3日なんだけど、結構金手に入れてるじゃん?その使い方を話したいなと思ってたんだ」


「僕は特に使いたいことは無いよ。武器もこれが慣れてるから。

それよりも、ルイスの実家は大丈夫なの? ルイスの武器とかも新しくした方が良さそうって話だったし……」


「うん。僕は新しい武器を手に入れたいなって思ってる。金貨2枚必要らしいから、それに使ってもいいかな?」


「もちろん、それを最優先にしよう。で、僕らが生活する分を残してあとはルイスの実家に送るってのでいいよ」


「魔法の付与とか、そういうのはいいの?」


「うーん、したいはしたいんだけど、僕がしたいことをしようとすると金貨10枚から20枚必要って言われてさ……相手に出血を続けさせるっていう効果なんだけど」


(結構えぐいな……強いだろうけど)



「はい! じゃあ俺やってもいいっすか?」



「「わっ!」」


突然後ろから声をかけられた。赤で短めの髪、猫のような金色の縦長の瞳の少年が立っていた。



「俺、ルトリっていいます。ルトって呼んで欲しいっす。14歳で、職業はネクロマンサーだけどかなりマイナー職らしいっす。一ヶ月前ぐらいに冒険者になってから1人でやってました。相手にダメージを与え続けるとか、そういう『でばふ』効果を付与することもできるし、死体を動かしたり、普通の攻撃魔法もある程度使えたりするっす。


で、昨日エルダーブラックスライムを狩った剣士と熊を両断した剣士がパーティ組んでるって聞いて、ずっと探してたんすよ〜。


パーティに加えてくれません?」



パーティに加えて欲しいとのことだった。メンバーが2人だと何かあったときに大変だと思ったので、喜んで承諾した。



「じゃあ、早速付与しまーす。……『付与 出血続行』」



ユーリの刀が赤黒い靄に覆われていく。どれぐらい時間が経っただろう。いきなりその靄が消えた。



「付与完了っす。相手に敵意を持って斬りつけた場合、自分が止めたいと思うまではずっと出血するっす。えーーっと、もう1人の方は……」



「俺はルイス。さっき刀に付与したのは、ユリウスだ」


「ユリウスです。ユーリって呼んでください」


「ユーリさんっすね。よろしく。それで、ルイスさんは付与します?」


「俺は要らない。そろそろ新しい武器を買う予定だからな」


「へえー、ま、なんか有ったら言うといいっす。無料で付与するから」


「じゃ、そのときはよろしく」




かなり勢いのある人なようだ。ユーリとは真逆な雰囲気がある。



「じゃ、ユーリとルト、また狩を続けようと思うけど、いい?」


「もちろんっす」「うん、いいよ」




急に新メンバーが加わった状態で、狩りを再開することにした。




「あ、100メートル先にキングスライム発見したっす」



さらっと重要なことを言ってきた。


「ありがとう。一旦ストップりじゃあ、役割分担しよう」


「俺は支援でいいと思うっす」


「じゃあ僕は体力を削ることにするから、ルイスが急所を刺して殺してくれる?」


「オッケー。じゃ、あと30メートルまで近づいたら、2人は攻撃を開始してくれ」


「はーい」「わかったよ」


「あと50メートル」



「あと30メートルにきたっす。攻撃はじめていいっすか?」


「よろしく、俺の姿が見えなくなるかもしれないけど、気にせず攻撃して」


「はーい」「気をつけてね?」



俺は2人と別れ、脇に逸れる。あとは2人がスライムの木を引き付けている隙に、剣で急所を刺すだけだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「じゃあユーリさん、剣で攻撃よろしくっす。氷魔法をメインに使って攻撃しますから」


「わかったよ。僕に当てないでね?」


「もちろんっす。じゃ、行きますか……」


ルトが笑う。まるで肉食獣のようだ。ユーリも似たような笑みを浮かべている。



「『フリーズボール』」


「『鎌鼬』」


ルトが魔法を放ち、一拍おいてユーリが剣圧で作った斬撃を放つ。魔法が直撃し、少し凍ったところにユーリの斬撃が突き刺さる。


『グォォォォォォォ!!』


キングスライムが鳴き叫ぶ。少し急所に刺さったらしい。


キングスライムが2人の方を向き、触手を伸ばす。


「『クリスタルウォール』」


ルトが作り出した壁がキングスライムの腕を弾く。


「『サンドフィールド』」


砂が発生し、スライムの周りを覆う。


「『痛覚鈍化』『スロウ』『マイクログラビティ』『ショットガンオブマジックバレット』『フリーズランス』」


5つの魔法の詠唱が聞こえてきた。

組合で調べたところによると、連続で魔法を使用すると体力をかなり消耗するらしい。膝をガックリとついたルトが一瞬見えた。




「……『旋風』からの『八重三日月』!」


ユーリの声が聞こえてくる。


確かこの2つは、一回撃つだけで腕を痛める剣技だったはずだ。つまり、ユーリたちは全力で体力を削りにかかっているということ。キングスライムは2人に気を取られていて、隙だらけになっている。




「ありがとう……『首刈り』2連」


隙が二箇所以上無いと撃てない必殺技を放つ。手応えあった。と同時に、腕に激痛が走った。



『グルゥゥ……』



断末魔のような呻き声をあげて、キングスライムが崩れ落ちた。金色のスライムボールが出てきたので、腕に力は入らないけれど、急いで拾いながら2人の元へ向かう。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「『トリプレット・ヒール』」



先ほどの戦いから少し経った、森の木陰。ルトが作り出した「ヒーラースケルトンメイジ」が傷を癒してくれた。魔力切れなのか、ヒーラースケルトンメイジはすぐに消えてしまった。



「「「ありがとう」」」



俺ら3人の口から、同時に同じ言葉が出てきた。共に戦った仲間との絆は一気に深まると聞いたことがあるが、本当にその通りだと思う。



全員がかなり疲れているようなので、今日の狩りは一旦終わりにして、組合にスライムボールを売りにいくことにした。








「えぇええぇぇえ〜〜!!?」


アリスさんの絶叫が響き渡る。


「えっと、金貨10枚です……普通駆け出し冒険者はゾンビの群れを倒して英雄って呼ばれるものなんですけど……なんでキングスライム倒せるんですかね……」


金貨10枚を手に入れた。流石にこれを持ち歩くのはハイリスクなので、銀行の口座を作って中に入れることにする。


金貨2枚を持って、武器屋に向かい、新しいナイフを買った。古い剣は、また次の武器を作るのに使うからといって受け取ってくれた。買ったナイフは、改めてよく見ると怪しげな光を放っている気がする。





他の2人は別々に行動したらしい。今日は屋台で買い食いをし、それを夕飯にした。

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