傭兵の始まり
王都までユーリたちと一緒に行き、そこで別れる。俺は傭兵を募集している人を探しに行き、ユーリたちは冒険者組合の王都本部に向かった。
王都はとても賑やかだ。トルストの街もかなり賑やかだったが、それを超えている。人がとても多い。
「すみません、傭兵を募集している人ってどうやったら見つけられますか?」
すれ違ったおじさんに聞いてみる。
「お前、傭兵か。なかなか見ない顔だが……新入りか?」
「はい。王都に来たばかりなので、どこに何があるかとかも全く分からない状態なんです」
「そうか。じゃあついて来い、案内してやるよ」
おじさんについて行く。裏道に入って、しばらく歩く。
黒い線が、後ろから俺の頭に向かって伸びてきた。素早く体を移動させる。さっきまで頭のあった場所を、棍棒が通り過ぎた。
「避けられたぞ」「力づくで捕まえろ!」
男たちが5人ほど、路地を塞ぐような形で並んでいた。
棍棒やハンマーを振り回して攻撃してくる。全て躱しながら、急所に拳を叩き込む。あっという間に全滅した。
色々と聞きたいことがあるので、男たちの1人を叩き起こす。
「おーい、どうして俺のことを襲おうとした?」
「ハッ、言うかよ」
「言わないんだったら殺してあげるよ?殺されたくないなら、俺の質問に全て答えて」
男の首に手を添えて言う。いつでも首を折れるぞという意味だ。どうやらそのことに気づいたらしく、顔がどんどん青くなっていく。
「分かった分かった、言います言います。奴隷として売ろうとしてました。傭兵になろうとするガキのほとんどは身寄りがないので、売っても構わないと思い、捕まえて売ろうとしてました」
「分かった。じゃあ、もう一つ質問。傭兵を募集している人はどこで知ることができる?」
「この路地をまっすぐいった突き当たりを左に曲がってください。そうしたら、ちょっと立派な門の建物があると思います。そこが傭兵ギルドのある場所です。傭兵ギルドで、傭兵仕事を探せます」
「ありがとう」
素早く首筋に手刀を打ち込み気絶させてから、言われた通りに進んでみる。
黒っぽい木の扉に、真鍮の取手がついた建物だった。中に入ってみる。
パッと見たところは、冒険者組合の建物に似ていた。食堂はついていないけれど。
受付のところにおばさんがいた。かなりマッチョだ。早速質問をする。
「傭兵の仕事を探してるんですけど、何かいいものありませんか?」
「あんた、どれだけ戦える?」
「キングスライム1匹相手なら、どうにか勝てるくらいです」
「本当だね?」
「はい、本当です」
かなりおっかない顔をしている。
「じゃあこの仕事とかやればいい」
乱暴に紙を渡される。『ニクス商会の馬車の護衛』と書いてある。
「ニクス商会っていうでかい商会があるけどよ、そこの馬車が隣の街までちょいと出かけるらしい。そこら辺は盗賊が多いから、護衛をしてくれっていう依頼だよ。仕事時間は往復で二泊三日くらい」
「受けます」
「よし、じゃあ渡した紙を持ってこの場所に行きな」
地図を渡される。そこには赤い印と青い印が付けられており、赤い印には『ニクス商会』、青い印には『傭兵ギルド本部』と書いてあった。2つはそこまで離れてはいない。
「ありがとうございました」
そう言って外へ出る。歩いてニクス商会に向かった。
とても豪華な建物が、ニクス商会のあるところだった。白塗りの壁、黒いドア、そして真鍮らしい取手と飾りが付いている。
「こんにちはー」
中に入った。かなりがっしりとした青年がやってきた。
「傭兵なのかな?」
「ええ。ここに行けと言われたので」
「そうか。一応戦闘力の試験をしたい、こっちに来てくれ」
そういって奥へ通される。少し奥へ行くと、広い庭のようなところに出る。
「ここで模擬戦だよ。僕と戦ってもらって、僕が強いと思った相手だけ傭兵になってもらってる」
「そうですか」
「じゃあ、始めようか」
提案されたので、一気に戦闘に入る。ナイフを抜き、斬りかかる。ギリギリで防がれる。
「……おいっ! 開始とかって言ってないだろ!」
かなり慌てているようだ。少し距離を取る。
「戦闘って、開始の合図はありませんから」
追撃に入る。素早く青年も剣を抜き、斬りかかってきた。
だけど、遅い。余裕で躱す。そのまま首に斬りかかる……ふりをして、ナイフを取り換え、そのまま背後を取る。首筋にナイフの刃を当てる。少し刃を動かせば、すぐに首を切ることができる位置だ。
「……参った。君を傭兵として雇おう」
「ありがとうございます」
ナイフを仕舞う。
「早速出かけようとしているんだけど、準備は?」
「いいですよ」
「分かった、じゃあ早速出かけよう……みんな、護衛を雇えた。出発だよ」
護衛として雇われ、商人の人と一緒に行動する。馬車に乗ってくれと言われたので、乗ることにした。椅子にクッションが敷いてあり、とても驚いた。大商会は違うと実感する。
「ねえねえ、なんて名前なの?」
窓の外を眺めていたら、横の人から声をかけられた。確か、雇われている護衛たちのうちの1人だったと思う。
「ルイスです」
「へえ〜、私はネルって言うんだ。よろしくね」
「うん、よろしく」
「突然なんだけど……なんでルイス君ってそんなに強いの?」
「え?」
「模擬戦で相手をしてた人、今いる護衛の中でもかなり強い方の人なんだよ。その人相手に勝ってたから……」
「多分、不意打ちだったから勝てたんだと思うよ。ほら、戦う時って『よーいどん』で戦うわけじゃないじゃん」
「でも、普通の人って『よーいどん』で戦うものだよ? 相手が気づいて、自分も気づいてから、攻撃しあうって言うのが1番一般的なんだけど……」
「俺の職業がちょっと特殊だから、不意打ち特化なんだよね」
「職業? あー、元冒険者かぁ」
「うん」
「何て職業? 私はファイターみたいな感じだけど」
「俺はアサシン。よく分かんないけど、マイナーらしい」
「そっか。そうだ、みんなには教えてないけど、一個教えてあげる。驚いても声出さないでね」
耳に口を近づけてくる。
「私、人間じゃないんだよ」
「……え?」
「私、吸血鬼なんだ。血を操って戦うの」
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