その後の計画
「冒険者から、傭兵になろうと思うんだけどどうだろう?」
2人の調子がだいぶ良くなってきたので、早速話を始める。
「冒険者のまま傭兵になることはできるっすよ。冒険者はいわゆる本職。でも、働き方は自由だから副業とかはいくらでもできるっす。その副業として傭兵に入るって人は、冒険者の中にもちょいちょいいるらしいっすよ」
「傭兵と冒険者って何が違うの?」
「結構似てるっすけど、傭兵は『依頼を行っている間のみ、ほとんどの罪が許される』って特徴があるっす。まあ、責任は全部依頼主が背負うっすけどね。あと、大量殺戮とかしたら流石にアウトっす。あくまで依頼の範囲内で仕方なく行う罪は無罪ってだけで」
なるほど。結構自由だが、リスクは高そうだ。
「傭兵になるにはどうしたらいい?」
「誰でもなれるっす。というか、俺らは今傭兵の1人っすよ」
「ん?」
「商人たちに雇われてるっす」
なるほど、雇われて汚れ仕事や護衛などをすれば「傭兵」なのだろう。
「あ、そうなんだ。じゃあ何でもないよ」
「何でもないって言われると気になるよ?」
「じゃあ話すよ」
ユーリたちに、悪魔と戦ったこと、一方的にボコボコにされて母さんたちを殺されたこと、剣聖が来て助けてくれ、そして村の状態を元どおりにしてくれたことを話した。
「悪魔と戦ったところまでは覚えてたけど……そんなことがあったんだ……」
「それで、『強くなりたい』って剣聖様に話したら『傭兵になれば?』って言われたから、傭兵について色々聞いていたってわけ」
「それなら傭兵メインの冒険者やったらいいんじゃないすか?」
「確かに。じゃあ、俺は傭兵メインで冒険者をすることにする。2人は?」
傭兵になることは、俺の中で決定事項だ。さっきの戦いで、弱者は強者に踏みつけられるということをはっきりと思い知ったため、強くなる必要があると考えたからだ。
「傭兵……ってことは、人斬りもすることがあるのか……じゃあ、僕は別行動をとることにする。魔物は斬ってて楽しいけど、人はちょっと……」
「俺もそうっすね……ルイスとは傭兵の仕事の時だけ別行動で。冒険者としては一緒にやりたいっす」
「なるほど……じゃあ、王都までは一緒に行かない? そのあとは別行動でいいから」
「「もちろん」」
ユーリたちとは、俺が傭兵仕事をするときは別行動をとるということになった。少し1人になりたいと言って、2人から離れたところに移動する。
(人殺し、か)
正直考えても恐怖は感じない上、罪悪感もない。
「昔は魔物を狩るとかってだけで少し怖かったのにね……」
考え方の変わり様に驚く。
「今までと変わらない。生き物は単純だ、急所を斬れば死ぬだけだ」
口から滑り出た言葉を聴く者は誰もいなかった。
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ここは王国のはるか北。そこには人が入ることは絶対に叶わない、堅固な守りの城がある。見るからに恐ろしい、真っ黒い外壁だ。その中の部屋の一つにアルケールはいた。目の前には毒々しい紫色の球体が浮かんでいる。
『復活の準備はどれほど進んだ?』
「約8割終わっております。あとは魔王様を蘇らせるだけの魔力を持った者と、魔王様の体の土台となる者さえ揃えば……」
『そうか。ところで、ギルバルドはどこへ行った?いつもはお前の隣にいるだろう』
「ギルバルドは死にました。剣聖に敗れ去ったとのこと」
『ほう……なかなか剣聖というのも厄介かもしれんな。私を封印したあの男が剣を使っていたからかもしれん』
「復活まではまだ時間がかかります。申し訳ございませんが、今しばらくお待ち頂くことになりましょう」
『この身を取り戻せればそれで良い。焦らずとも良い、確実にまた世界を征服できるようにせよ』
「はっ!」
魔王の復活が迫っていた。




