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始まりを告げるは猫の声
不意に聞こえた猫の声。
本来、ここには居ないはずの
黒猫は全てを知っているとも
言いたげな顔で私に告げる。
…そこで気づくべきだった。
『普通の猫は人間のように喋らない』と。
でも、尊敬する先生が。…大好きな先生が。
私の目の前で川に落ちようとしている。
そんな状況の中で
【先生を助ける方法教えてあげる?】なんて。
言われてしまったら。
例えそれが絶対に会いたくないと思っていた
《彼ら》と再会する原因となったとしても。
後に大きな決断をしなくちゃいけないのだとしても。
私はきっと結果を知っていても
同じ事をしただろう。
私の大事な先生を助けられるのなら。
だから私は彼に手を伸ばし叫ぶ。
「お願い…!先生を助けて…!!」
言いながら川に落下していく私達。
水の感触を感じながら最後に見たのは。
【分かった。契約成立だよ。】と
いつの間にか同い年くらいの男の子になった黒猫…
スズが微笑んでいる光景だった。




