↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Fortune-teller  作者: marimo
浅木さんの話
PR
98/266

浅木さんの話3

「元気がなくなって、みんなが心配していたの。突然、真珠ちゃんからプロキオンの占い師に変更を申し出て、ほぼ全員が反対した。真珠ちゃんのほうがいいからと」

「プロの女性のほうがいいじゃないですか」

「あら、学園祭だもの。その辺は手作り感が出たほうが面白いでしょ。出来上がったプロの女性より女子高生のほうがかわいいし」

「そういうことを言われても」

「でも、尚毅は様子が変だった。落ち込んでいて、ため息ばかり。挙句がリハーサルのときに突然、『やめる』と言い出して、みんなが驚いたけれど、あの尚毅が、『どうしてもできない』と、頭を下げていたわ」

「そう言われても」

「あなたのことが頭から離れない限り無理でしょうね」

「どういう意味ですか?」

「尚毅は恋をしてるのよ」と言われて、飲もうとして取り上げたカップを慌てておいた。こぼしそうだったからだ。

「あの男が恋? 『自分に』じゃないですか?」あいつは『自分が一番、自分大好き』タイプだから、他の女性を自分以上に好きになれるとは思えなくて、つい、そう言ってしまった。

「確かにナルシスト気味だとは思うけれど、尚毅は本気で誰とも付き合ったことがないかもしれないわね。どこか冷めていると言うか、本気になれないというか」

「知りませんよ。女性と楽しそうに一緒にいるのしか見てないし」

「短期ばかりよ。それほど長くないみたいね。相手が本気になる前で止めているのかも」

「インスピレーションが減ったから」

「ああ、それは言っていたみたいね。そういう女性を探していると」

「失礼ですよね」

「そう? それはあると思うわよ。そこの部分に惹かれるのは占い師なのだから、気になるのは当然でしょうね」

「そうですか? 見た目とか性格が二の次なんて、ひどすぎるでしょう?」

「違うと思うわ。そういうのが合わない人はある程度でやめておくみたいだし。真珠ちゃんとは長く続くだろうなと思っていたから」

「遊びの女性と同じにされたくないし」

「あなたには本気だと思うけれど」

「インスピレーションだけと言うのは、困ります」

「そうね。確かにそれだけならちょっと面白くないかもしれないわね。ただ、それ以外の部分でも惹かれているのよ。自分でも気づいてなかったんでしょうね」

「惹かれていませんよ」

「ため息をついたことのない人が、ああいう顔をするって言うのは、そういうことだと思うけれど」

「そう言われても」

「尚毅は不器用なのかもしれないわね」

「器用に遊んでいるじゃないですか。多くの女性とデートして」

「デートの数は多いかもしれない。でも、本気になって付き合いたいと思ったことは一度もないのかもね。私のときも後腐れなかったみたいだし」

「そうですか? プライドが邪魔をして追いかけられなかっただけでしょう?」

「プライドが崩れてきているのかもね」と言われて、学校に何度も来ていたあいつを思い出した。

「怒っているかもしれないけれど、もう一度考え直してもらえないかしら。せめて、学園祭は楽しいものにしたいから。このままだと企画が壊れるわ。お守りも売れなくなると困るしね」

「それがありましたね」

「だから、お願い」と頭を下げられて、私もため息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。