相談の数々5
「私って、安定感がないからな」
「高校生なら当たり前でしょ。楽しいことも多いし、怒られることもあるし、落ち込むことだってあるしね。恋愛してたら、もっとあるでしょうけど」東条さんが言っていたことを思い出した。
「恋愛って、占いを駄目にするの?」
「見えなくなる人もいるわよ。そこばかりに気が行ってしまって、占いに集中できないらしいわね」
「お母さんはどうだった?」
「それは、まあ、それなりに」と言った。
「うらやましい」
「真珠はモテないの?」
「怜奈ちゃんみたいに、街を歩けば声を掛けられるってことは少ないよ」
「それなりにはあるでしょ」
「大根とネギを買い物袋に入れて歩いていたら、さすがにない」と言ったら、
「ごめん、そうだったわね」と謝ってきた。買い物は私が学校の帰りに買ってくる。クリーニングなども私が行ったりしていて、母はそういうものをあまりしていない。
「お客さんに言われるのよね。真珠にばかりにやらせているから、縁遠くなるって」
「それが関係あるの?」
「あるわよ。輝子がそうでしょ」と言い切られて、笑うしかなかった。
「そういうのってあるのかな?」
「後でメッキがはがれちゃうんでしょうね。見えてない男も多いけど、それだと輝子が物足りないのよ。お金持ちの世間知らずのお坊ちゃまと結婚するしかないわね。気が強くても許してくれるような寛容だけれど鈍感な人」
「お母さん」とさすがに呆れたら、
「意外と男って口に出さないだけでしっかり見てる人もいるのよね。後でけんかしたときなどにそれを出されると、『そのときに言ってよ』と怒れるし」
「みんながお母さんみたいに言えないよ」
「そうね、だから、小さい喧嘩をしておいて、程よく息抜きしないとね。そういう部分を見せ合えるような仲じゃないと長続きしないわ。取り繕うような相手だと肩凝るし」
「恋愛してみたい」
「やめておきなさい。真珠が恋愛すると霊感が減るわよ。下手したら、一生戻らないかも」
「霊感?」
「勘が鈍るってことよ。真珠は感受性が鋭いところがあるから、それで占いができるのだからね。それで食べていきたいのなら、恋愛は程々に」
「のめり込まない程度にすればいいんじゃないの?」
「コントロールって、できないものよ。意外とね。私もモテたから、それなりにできると思ってたのよね。でも、自分が好きになったときはできなかったわ。相手を独り占めしたくて、いつも一緒にいたかったから。それで、駄目になりそうになったこともあったわ」
「その恋はどーなったの?」と聞いたら、思いっきり怒り出して、
「あいつだけは許さない……ということね」と言われて聞くんじゃなかったなとため息をついた。




