相談の数々4
夕食のときに、母に苦情処理のことについて注意を受けた。占いたくないタイプが来たら、他の人がいなければ、用事があるとごまかしたり、色々な方法を使って断るらしい。
「そう」
「苦情はこういう仕事をしているといくつかあるわ。でも、こちらが謝らなくてもいい場合は、きっぱり言ってしまったほうがいい場合もあるから、気をつけて。さっきの中学生の場合は、あの子だけじゃなく、他の子も連れてきて、その子達も『タダで』と言い出しかねないし」
「そこまで図々しいの?」
「時々いるわよ。おばちゃんに値切られて、その友達も連れてきてくれるのはいいけれど値切ってくるのよね。それを自慢げに言いふらすタイプだから、知り合いに聞かれて困っちゃったし」
「そう。それは困るね」
「こちらとしては最初に価格を教えてあるのだから、それに不満があるのなら、最初にお断りしてくださいと言っているわね。占った後で、難癖つけて値切ろうとしたり、タダにしてもらおうとするような人って、いい顧客にはならないの。二回目はないわ」
「え、そう?」
「そうよ。長い付き合いの人はそういう部分でけじめがあるものよ。『知り合いに紹介するから安くしてくれ』、『友達を連れてくるから』連れてきたことも紹介してくれたことも一度もないわね。紹介してくれる人は正規料金をちゃんと払ってくれるし、態度もそこまで馴れ馴れしくないわよ。時間もちゃんと守ってくれるしね」
「そういう人を大事にしないといけないんだね」
「さっきの中学生みたいな人は割合から言うと少ないけれど、印象に残るから後で占う人に、少しだけ待ってもらって気持ちを落ち着けないといけないからね」人によっては、気持ちを落ち着けるために、お香をたいたり、アロマセラピーを取り入れたり、水晶やパワーストーンを置いていたりする。音楽をかける人もいるけれど、ここでは小さな音で聞こえるか聞こえないか程度のものしか掛けていない。相談者によっては体力も気力も消耗してしまう人もいる。そのために切り替える時間がいる。
「波長が悪い人って、時々いるの?」
「そうね、真珠は日によって違うんでしょ?」と聞かれた。私は母のように安定した気分を保てない。占いをするには気分が安定していないとちゃんと占えないので、体調管理をするように秋さんに注意されている。睡眠時間を減らしたり、偏った食事をすると注意される。人によってはジャンクフードも食べない時期を設けるらしい。野菜だけの食事にしたり、断食をする人もいると聞いている。