頼む子6
東条さんから電話をもらって、謝ったら、笑っていた。
「いいよ。お前がかわいいかどうかを自分で確かめろと言った時点で、それほどじゃないだろうと予想したから、それなりレベルの男にしておいたし。相手はめげないタイプだから大丈夫だよ。気にしてないから」
「ごめん、かなり失礼なことをしたんじゃないかと思って」
「気にしなくてもいいさ。時々、そういう子も混じるからね。合コンのときに持ち物検査してるし」
「はあ?」
「お前は疎そうだ。慣れている同士だと、話もスムーズで何度か席替えもするし、それなりに楽しめるけど、値踏み系はちょっと困るから。動きが自分勝手でね。その子が文句言ったら、俺のせいにしておいてくれ。紹介できなくて悪かったと」
「あなたのせいじゃないじゃない。私が余計なことを頼んだんだから。彼女の狙いが分かっていたら、頼まなかったのに、ごめん」
「いいよ」と軽く流してくれて気が楽になった。東条さんはこういう部分が付き合いやすいので、女性も気軽にデートするし、その後、会えなくなってもうらまれないのかもしれない。
「それより、お前、洋服を買っておけよ」
「お金ない」
「バイトしろよ。洋服にメイク道具、髪も切ってもらうし」
「嫌だ」
「困ったやつだなあ。学園祭、どうするんだよ?」
「出たくないんだけど」
「今更、言うなよ」
「だって、今、一番自信がないかもしれない」
「そうか? お前はいい線言ってると思う。それなりに順調」
「どういう意味?」
「ライバルとしても恋人候補としても育てている段階だし」
「育成ゲームじゃないんだからね」
「似たようなもんだろ」せっかく見直したのに、この言い草、ありえない男だ。人のことを何だと思っているんだか。
「あなたは多くの女性とシュミレーションゲームを楽しんだら」
「十分、楽しかったよ」とうれしそうに言ったので、言うんじゃなかったなとため息をついた。