頼む子5
「分かってるよ。お父さんが帰ってこないのは事情があるんだろうし、それを待つのはやめたほうがいいとお母さんも言ってるけど、でも、なんだか」
「雪人さんだったら、お父さんだって許してくれると思うよ。思い切って誘ってみたら」
「勉強の邪魔になりたくなくて」
「息抜きぐらいするでしょ」
「遅くまで明かりがついてる。きっと、勉強してると思う」
「真面目」
「そうだね。あいつと大違い。あの人は夜遊びがひどそうだ」
「東条さんって、どういう人か分かったの?」
「遊び人だってことしか分からないよ」
「意外と見かけと違うとか」
「見かけどおりの中身だったよ。うぬぼれが強かった。自分と付き合える女性は幸せだと言い切りそう」
「なるほど、じゃあ、ちょっと無理だね。それだと」
「そういうこと」
「じゃあ、神宮寺とデートしてみたら。夏休みにどこかに行けば楽しいって」
「そう言われてもねえ。お金を貯めたいし、修行しないとね。あいつに負けたくないし」
「ライバルなんだ?」
「違う。今のところ見下されてばかりだから、悔しいの。少しでも追いつきたい」
「そこまで腕は確かなの?」
「上手だったよ」
「そうじゃなくて、占い師として、色々あるでしょ。接客が上手なのは分かったけど、占い師って当るかどうかが一番重要でしょ。」
「さあ、そう言えば、当っているのかどうか。占い結果に苦情はなかったみたいだけど」
「見た目がいいから、その辺でだまされているとか」
「さあ、そう言われたらどうなんだろうね」
「真珠のは結構当ってると思うよ。何人かそう言っていたし。東条さんはどうなんだろうね」
「分からない、そこまで見てなかった」
「興味ないのね?」と聞かれて、
「そう言われても、振り回されてばかりいるから」
「そういう相性かもね。あの人は自分優先、真珠は周りのことも考えてしまうところがあるしね。それだと振り回されるほうが大変だ」
「そう言われたら、そうだったね。合わせるのをやめようかな」
「無理じゃないの。真珠とあの人だと、あの人のほうが強い気がする。パワーじゃなくて、振り回す力が」
「パワー?」
「自分で考えなさい」と言われてしまった。




