頼む子4
「もう、あれは無理」東条さんに頼んで紹介してもらった後に、女の子が私にぼやいてきて、困ったなあと思った。こういうのは苦手だった。相手が気に入らなくても、それなりに流してくれるような人のほうが楽だ。文句を言われても、その場限りの子なら別に流せるけど、
「絶対におかしい。宝陽って、もっといい人が多いと思う。相手、お金持ってないんだよ」とずっとぼやいていた。そんなことを私に言われても、と言いたいけど我慢した。
「ほっときな」怜奈ちゃんがみんながいなくなってから言ってくれたけれど、
「あの子、ほしいバックとアクセサリーがあるから、そのための彼氏を見つけたかったらしくて」
「それはちょっと困る。教えてくれていたら、東条さんには断ってくれるように言ったのに」
「あの子が今日、そうやってぼやいていたの。しかも、相手が全部奢ってくれなかったとか、ほしいバックを買ってくれそうかどうか、試したらしいよ。それで、相手は見てもいなかったらしくて、それで怒ってたみたい」
「自力で見つけてほしいね、それだったら」
「そうだね、知ってたら、教えられたけど。あれでは逃げられるだろうね。そういう部分のアピールが露骨だと嫌がられるだろうから」
「そうかもしれないね」
「神宮寺がうまくいかなかったのは聞いた?」
「それは聞いたけれど」
「やっぱり神宮寺とデートしたら? 占いするにも実体験がないと。それか、東条さんとするとか、もしくは雪人さん」
「無理だよ。雪人さんは勉強が忙しいし、卒業したら帰っちゃうみたい。間に合いそうもないな」
「なにが?」
「お父さんにちゃんと話してから、雪人さんとデートしたかったのに」
「でも、それは」と言って怜奈ちゃんが黙った。