見習い初日2
「適当に人の話を流している男子や女子がいるでしょ。調子のいいこと言っておいて、頼みごととかあっても『いいよ、いいよ』と言いながら聞いてないタイプ。後で覚えてなくて、『そうだったっけ?』と流す。それだと信用されなくなるから、付き合いが浅くなるだけ。明るい子が多いから話す数は多いけど、楽しい付き合いだけなら、それで十分だと思うけど、お互いに支えあうようなつながりにはならないだろうからねえ」
「言っている意味がなんとなくしか分からない。大勢友達がいる方が楽しいじゃない。それに助けてくれる人もいると思うけど」
「薄いつながりがあちこちにできるかもしれないし、遊びの誘いは多くなるかもしれないけど、自分が困ったときに手伝ってくれるような付き合いにはならないだろうって話。違うクラスの子がそれで怒ってたことがあるからね」
「え、なにを?」
「自分が頼んだのにみんなが助けてくれずに逃げたと。面倒になりそうなことを頼んだらしいの。友達と言うか一緒に遊ぶ子はかなりいるから、それで、かなりの人数に頼んだらしいの。日頃、仲良く話している子達にね。でも、誰一人助けなかったらしいから」
「何、頼んだんだろ?」
「お金とか絡んでたらしいからね。私も内容までは詳しく知らない。でも、そういう部分まで助けてもらおうとするなら、よほど仲良くないとね。そういうことが分かってなかったから、『白状だ』って怒ってた。でも、鴻上さんが言ってたらしいよ。反対の立場になったら、面倒だから彼女は逃げるだろうって」いかにも言いそうだ。
「デート相手が多いからって、相手とどこまで関わっているかで違っている気がするよ。どれだけ数を重ねても、学習しない高津のケースもあるからね」
「高津って、どうして懲りないんだろ。あれだけ、毎回みんなに怒られているのに」
「無理でしょ。面倒なことは流すタイプだもん。聞いてないのか分かってないのか、同じことを繰り返すだけだと思うよ。真珠も毎回占ってあげても無駄になるかもね」
「そうなのかなあ。どうも、恋愛関係は苦手でどう相手に伝えていいか迷って。東条さんなら迷いそうもないし」
「相手が言ってほしいことは思い浮かぶタイプかもね」と言われて、そうかもしれないなと考えていた。