表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Fortune-teller  作者: marimo
10.バイトの理由
40/266

バイトの理由2

 怜奈ちゃんに相談して、その後、占いを頼まれた子に事情を話した。

「うーん、しょうがないなあ。学園祭って、どういうことするの?」と聞かれて、

「さあねえ」としか言えなかった。クラスの子には父を探すとは言えず、学園祭に参加するために練習する必要があるし、お金も必要だからと教えておいた。

「頼りないなあ。面白そうだったら行くから、チケットお願いね」と言われてしまった。

「そう言われても、そこまで仲良くないし」仲良くしたいと思えない人が一部混じっている。東条さんのお友達と言う人も好きになれない。遊び人っぽい人はどうも苦手だった。

「じゃあ、お店に行くね」と何人かが言ってくれて、

「ご協力お願いします」と頭を下げた。


「大丈夫か?」神宮寺がクラスに来て聞いてきて、移動した。事情を話したら、

「あの男だけは関わらないほうがいいと思うけど」

「最近、お店にお客が減ってきて、やむを得ずだから」

「でも、あいつ、手が早そうだし強引だし」

「そこは気をつけるつもり」

「お前、考えてくれたか?」と聞かれて、どうしても考えられなかったとは言いづらかった。

「そういう顔をするなよ。俺としてはお前とちゃんと付き合いたいって思ってるし」

「勉強があるでしょ」神宮寺は大学進学を目指して勉強している。お兄さんも有名大学に通っているため、負けたくないらしい。

「分かってるよ。息抜きにお前とデートしたいだけ」

「そう言われても、私は」

「映画ぐらい付き合えよ」

「忙しくなるから、無理だよ」

「あいつとは行くなよ」

「分かってるよ。さすがにね。父に怒られそうだから」と言ったら神宮寺が黙った。

「でも、ちょっと許せないよな」神宮寺が話題を変えるように言い出して、

「なにが?」と聞いた。

「あいつ、何かやってるのか? 護身術か何か」

「さあ、どうして?」

「だって、俺、力では負けないと思うし、運動神経はいいからな。それなのに軽くやられて悔しいから、聞いておけよ」

「なんで?」

「負けたままじゃ面白くない」

「それは分かるけど、聞く必要があるの?」

「敵の力量を測る必要があるから」完全に敵になってるよ。

「ほっとけばいいよ。神宮寺と身長が違うだけだし」

「俺より高いのが気に入らない」神宮寺は割りと背は高いほうだけど、東条さんはそれより更に高かった。

「そう言えば、父親に似てるから、それでかもね」東条の父親は武道をやっているかもしれなくて、そう言った。

「俺は良く知らない。そういう方面は詳しくないし」

「男子って占いに興味示さない人がいるからね。神宮寺も同じだものね」

「俺が興味があるのは占いじゃなくてお前だけ」と言われてむせた。

「占いができようとできまいと俺はお前自身に興味があるからな。だから、あいつに近づくなよ。あいつはお前が占いができるから近づいてくるだけだから」

「やっぱりそう思う? 言葉の端々にそういうのは感じるんだよね。占いしてなかったら見向きもしないだろうね。あの人、乗ってる車はいいし、持ち物も高級そうだった。それに比べてうちはちょっとなあ。住む世界が違いすぎるし」

「バイトがんばれよ。真珠はそのままでかわいいと思うから」と言われて、思わず赤くなった気がした。友達だと思っていた男にいきなり言われて、ちょっと恥ずかしくなった。

「うぶだ」神宮寺が笑っていて、

「うるさいの」とにらんだけど、ずっと笑ったままだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ