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Fortune-teller  作者: marimo
7.勘違い
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勘違い3

「ひどすぎるよ。神宮寺が心配してるから」神宮寺はしばらく車を追いかけてきてくれたけれど、そのうち姿が遠くになってしまい、角を曲がって見えなくなってしまった。

「大丈夫だって」と言っていたら、携帯が鳴って、出たら、

「すぐに降りろ。大丈夫か?」と聞いてくれたけれど、

「えっと」と東条さんを見たら、笑っていて、

「笑い事じゃないわよ」と怒った。

「おい、大丈夫なのか?」神宮寺が心配してくれて、仕方なく、

「大丈夫だから、このおじさんと一緒に行かないと。結構、しつこいの、このおじさん」

「何度もおじさんと言うなよ」東条さんが怒っていたけど、

「後で電話しろよ。心配だから」と言ってくれて、後で説明すると告げてから電話を切った。

「訂正しろ。おじさんじゃないからな」

「クラスの男子が、『オッサン』と言ってたよ。大学生に彼女を取られた男子だけど」

「ふーん、悔しかったら取り返せばいいだろ」

「無理。その男子、『お金がないから振られた』って言い訳してたけど、素行があまり良くないらしいから」

「そうか。お前の学校ってそこまで荒れてないだろ」

「ごく普通だよ。それなりにお金持ちもいれば、それなりに貧乏もいるからね。うちみたいに」

「なるほどな」

「あなたとは住む世界が違うから分からないだろうけど」

「いや、話は聞いているよ。お客さんで来るからな」

「そう。女性専門でしょ」

「違うけど」

「だって、男性を見かけないよ」

「少ないだけだよ」

「先生のところと違うね。秋さんも男性が何人か混じるよ。お母さんは年配の男性も占ってるし。あそこは若い女性ばかりだから驚いたもの」

「客層の違いだけだろ」そうかなあ? と首をひねってたら、

「雑誌にテレビで紹介されたら、お前のところもそうなるさ」

「昔は来てた。女子高生がいっぱい来てたときもあるけど」

「なら、分かるだろ」と言われて、横を向いた。

「どうかしたのか?」

「東条さん、男性に嫌われるタイプなのかもね」

「嫌われてないよ。友達は何人かいるし」

「神宮寺には確実に嫌われたと思うけど」

「時間が掛かりそうだから撃退しただけ。ライバルなら当然だろ」

「ライバル?」

「彼女にしたいって思ってるだろうから、あいつも」

「『も』じゃない。あなたはコレクションの一人に加えたいだけ。彼女じゃない」

「ずっと探してたんだ」

「なにをよ?」

「彼女になりそうな子を」

「意味不明」

「そのうち教えるよ。お前は貴重だからな。今までより長く掛かってるし」

「今まで?」

「それより、あの男のほうがお前向きかもな」

「どういう意味?」

「雪人って男より、はるかに脈アリだろ」

「あれで? 神宮寺は友達だってば。それに、あなたから助けてくれようとしただけ」

「彼氏の振りをしてまでか?」

「いいじゃない。善意の行動よ」

「善意ね。あいつ、お前のことが好きだろうな」

「どうして?」

「『雪人さん』と違って、怒ってたから。だから、言っただろ。気がある相手ならああやって反応があるって。見事に出てたな」

「神宮寺は友達だから怒ってくれたの。失礼なおじさんから守るための嘘をついてくれただけでしょ」

「お前、かなり鈍いんだな。それで占い師見習いなのか?」

「うるさい。それより、私を連れて行く意味がわからない」

「着いたら分かるよ」とうれしそうに笑っていて、

「あなたの行動がつくづく分からない。変な人」と言ったらさらに笑っていた。

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