勘違い2
学校から帰る途中に嫌な車が止まっているのが見えて、
「げ、なんで」と思わず言った。近くにいた神宮寺が聞こえたらしく、
「なにかあったのか?」そばに寄ってきて、
「えっと」説明するのももどかしかったけど、あいつが車から降りてきて、近くに寄って来てしまい、
「迎えに来た。家に電話しても居留守使うだろ」と言われて東条さんをにらんだ。携帯番号を教えなかったら、ムーンフェイスのほうに電話をしてきて、「営業妨害」と言って電話を切った。その後は全部居留守にしておいた。エッグシェルで待ち伏せされても困るなと思ったけれど、そういうことはしなかったので安心していたのに、
「知り合いか?」と、神宮寺が気に入らなさそうな顔をしていた。
「ナンパ師」と答えたら、神宮寺が上から下まで見た後、
「なるほどな」と言ったので、
「誤解してるな。俺はナンパなんてしたことは一度もない」と東条さんが反論していたけれど、
「お店でしてるくせに」
「あれは営業」
「とにかく、行こうぜ。打ち合わせがあるし」と腕を持ってきて、
「絶対に嫌。係わり合いになりたくないから、二度と来ないで」と腕を払った。
「約束があるし、お前が何度も電話を拒否するから」
「あなたと関わりたくないの。二度と来ないで」
「そういうわけには」
「嫌がってるだろ」神宮寺が止めてくれて、
「君には関係ないよ」東条さんがそっけない態度だったので、
「俺の彼女にそういう態度しておいて、『関係ない』は、ないだろ」と神宮寺が言い出して、驚いたけど、
「『彼女』ねえ。『今だけ彼氏』に言われたくないな」東条さんがおかしそうに笑っていて、
「これからデートだよ。悪いけど、おじさん、帰ってくれよ」
「おじさんか。似た者同士だな。でも、約束があるから引き下がるわけに行かなくてね」無理やり腕を持ってきて、神宮寺がその腕を引き剥がしてくれたと思ったら、次の瞬間、神宮寺が反対に押さえ込まれていた。
「え、どうして?」としか言えなくて、
「彼氏の振りして逃げるのは無し。そういうのは分かるからね、俺。と言うわけで、俺の勝ち」と言いながら、東条さんが腕をつかんできて、その後、身体を抱え込むようにしてきて、歩かされて、
「ちょっと、大丈夫なの。神宮寺」うずくまってる神宮寺が心配で何度も振り返ろうとしても東条さんが無理やり強い力で押してきて、
「大丈夫。それなりに手加減したから」
「手加減って、神宮寺に何をしたのよ?」
「力で抑え込もうとしたから、返しただけ」
「ひどいじゃない」
「お前が素直に従っていたら、こうなってないだろ。あいつのことはほっとけ」
「冷たすぎる」東条さんは意外と力が強くて、無理やり車に乗せられてしまい、
「神宮寺が」と言ったけれど、
「言うことを聞けよ。あいつなら、ほら」と見たら立ち上がっていた。神宮寺が走ってきて、
「何するんだ、オッサン」と怒っていた。最初が「おじさん」だったのに、「オッサン」に格下げされていた。神宮寺は育ちは悪くないのでそういう言葉遣いはしないほうだけど、今は怒っているようで、
「ほら、逃げるぞ」いつの間にか、ドアを閉められていて、東条さんが運転席に座り込んでいて、神宮寺が追いついたときには車をスタートさせていた。




