魔法が3
「尚毅、お前の彼女、かわいくなったぞ」何人かが見に来てくれて、そう言い出して、「彼女じゃない」と訂正したかったけれど、それより鏡を何度も確かめてしまった。魔法が解けたらどうしようと、思ってしまうぐらいうれしかった。
「ん? 今、行くよ」と東条さんの声が聞こえた。
「あっちに移動して」と促されて、このまま鏡を見ていたかったけれど、移動した。
「この辺に立って」と言われて、机と椅子があるところから少し離れたところで待機させられたら、誰かがそばに来た。
「衣装が小さかった。足の長さが足りないんだよ」と東条さんが隣で言って、
「足が短いの?」と聞いたら、
「馬鹿、反対だよ。俺の足が長くて」と言った後に私を見て、驚いた顔をして、じっと見てきた。
「え、変?」
「いや、すごく……綺麗だ」と言ったので、
「この間と言っていることが逆でしょ」とにらんだ。
「せっかく、綺麗に仕上げてもらって態度も変えろよ。中身は同じじゃないか」
「あなたも言葉使いを変えてよ。少しおとなしくなったと思ったら、もう復活してるじゃない」
「かわいいのは顔だけなのか? でも、綺麗だ」としみじみと言っていた。
「はいはい、今更言われても、魅力がないもので」
「この間のは悪かったよ。綺麗だよ」と耳元で小声で言われて、
「今更、言われてもうれしくないし」と言いながら、ちょっとうれしかった。さっきまで、気まづくて、うまく話せなかったけれど、衣装に着替えてからは、また、何度か言い合いになった。立ち位置や移動方法とかを話し合って、公開占いなので、マイクを使って、どういう風に説明するかも、東条さんが提案していたけれど、私も何度か口を挟んだ。
「それだと面白くないだろ」
「見世物にしても限度があるの」
「あいかわらずだな、前途多難だよな。また、喧嘩するなよ」と注意を受けたけれど、椅子に座って、実際にやってみて、それでいくつか注意を受けた。お店でやるのとは勝手が違うので、戸惑ったけれど、
「実際に、二人で練習しておいて」と清水さんが別の場所の確認に移動してしまった。
「実際と言われても、誰か実験台」と東条さんが頼んでいて、
「ハーイ、お願い」と調子がよさそうな女子学生がすぐに手を挙げて、目の前の椅子に座ったけれど、
「ここは功労者だろ。メイクを仕上げた姫でいいよ」と言われて、何人かがうなずいていて、
「えー、占ってもらいたいの。この間、素敵な人を見つけて」と女の人がぼやいていたけれど、浅木さんのために場所をどかされていた。浅木さんが笑いながら、椅子に座らされていて、
「美人だからってひいきしすぎ」とさっきの女性がぼやいたら、
「お前、尚毅に何度、タダで占ってもらったんだよ」と男子学生に言われたら、途端に逃げ出していた。




