魔法が1
東条さんに呼び出されて、一緒に学校に行った。打ち合わせも大詰めで、怒鳴りあっている人たちもいたけれど、私は衣装合わせをされていた。浅木さんがメイクの色を決めていて、
「照明もあるから、色はこっちのほうが良さそうね」
「こっちのほうが合わないか?」
「髪は短いほうがかわいいでしょ」
「ロングヘアーのほうが神秘的だろ」勝手に色々と合わせてくる。髪もカットはせずに、かつらがいくつか用意してあって、
「安物だから、衣装と合わないかな?」と女性が浅木さんに聞いていた。衣装は結局、用意してくれるものを着ることになった。黒い物にレースがついていて、大人っぽいものだったけれど、スカートの丈を短くしようと言い出して、
「それ、着るんですか?」と思わず聞いてしまった。
「あら、かわいいと思うわ。若い女の子の感じを出すにはそのほうがいいわね。衣装をあてた後に、かつらは、色がついたものを合わせていたけれど、
「茶色と金髪とどっちがいいかな?」
「金髪だとコスプレっぽいから、茶髪にしておけよ」
「衣装が黒めだから、髪は明るめにしておきましょう」と浅木さんが言って、メイクを行うために、移動した。
「落ち着かないでしょ。毎年、これなのよ」
「大変そうですね。うちは予算も限られているし、盛り上がらないクラスだと、時間も掛からなくて」
「そう? うちはそれなりにがんばるわよ。楽しんでもらいたいからね」浅木さんがメイクの仕上げにつけまつげまでつけて、アイシャドウも濃いめにつけているみたいで、
「ちょっと、濃くないですか?」と驚いた。
「舞台に上がるから、これぐらいじゃないと目が開いてないように見えるからね」
「でも」
「大丈夫よ。お祭りだから、浮かないわよ」
「東条さんもやるんですか?」
「彼はタキシードぐらいでしょうね」
「タキシード? 占い師なのに?」