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続・夢の中だけ勇者さま?  作者: 菅原よしひろう
夢から夢へ
21/34

僕は夢を見た(77) フリージアの進軍

エリーから借りている屋敷の自室のベッドの上で目覚める僕。

頬に当たる感触を確かめる。


よしひろう:「あー…これは…、枕か…」


膝枕ではなかった事に意気消沈。

ため息をつきつつ寝返りをうつと、そこにはレギオナが寝ていた。


よしひろう:「か、顔、近っ!!」


レギオナの可愛さと、無防備さに胸が高鳴る。


よしひろう:「(落ち着けー、落ち着けー。)」


薄いピンク色の唇に目が釘付けになる。

何とも言えないムラムラした気分になる僕。

目を閉じ、ソォーっとレギオナの唇に顔を近づける。

もう少しかな?と目を開けてみると、レギオナも目を開けていた。


よしひろう:「うわあぉぉ!?」


ビックリして起き上がり、慌てて弁明をし始める情けない僕。


よしひろう:「ちちち違うんだ!」

よしひろう:「こここれは…」


そんな姿を見ぬふりをして、レギオナは僕の手を掴みベッドに押し倒す。

僕に馬乗りになるレギオナ。


レギオナ:「ウフフ」


レギオナの顔が段々と僕の顔に近づいて来る。


レギオナ:「今日はお洋服を買って下さるのでしょ?」


目を細めニヤリと悪戯っ子のような笑みを浮かべつつ唇を重ねてくるレギオナ。

甘い香りが僕の体を包む。

とても心地よい感覚に気が遠退いていく。


レギオナ:「主殿?」

よしひろう:「ん?」

レギオナ:「キスだけで満足なのですか?」


そう言いつつレギオナは僕の右手を自分の胸に押し当ててきた。


よしひろう:「……柔らかい。」


「ゴン!ゴン!」


ドアノッカーを強く打ち鳴らす音が階下から聞こえてきた。

その音に我に返る僕。


レギオナ:「あら、残念。ウフフ」


レギオナは僕の腕を引き上体を起こしてくれた。


よしひろう:「さぁ、今日も頑張ろう。」


身支度をし、玄関を開けるとエルマが待っていてくれた。


エルマ:「おはよう。」

よしひろう:「おはよう。」

エルマ:「…」


僕の顔をジーっと見つめるエルマ。


よしひろう:「な、なんだよ?」

エルマ:「顔が少し赤くない?」

よしひろう:「え!?」

エルマ:「ヤラシイ事してないわよね?」

よしひろう:「してない!してない!」

エルマ:「ふーん。ま、いいわ。」

エルマ:「さ、朝ご飯にしましょう。」


エルマの後に付いて行く。

エルマ家の朝食は質素だ。

パンとサラダ。たまにシチューがでるくらい。

食事を摂りながら今日の予定を話す。


よしひろう:「今日はエリーの所に行く前に服を買いたいんだけど。」

エルマ:「今着てるレンジャーっぽいのを止めるの?」

よしひろう:「いや、僕のじゃないんだ。」

エルマ:「え?じゃ、誰のよ?」

よしひろう:「レギオナの。」

エルマ:「あー…」

よしひろう:「女物の服って、よく知らないからさ。」

よしひろう:「エルマ、頼める?」

エルマ:「ええ、分かったわ!」

よしひろう:「エリーの前でも恥ずかしくないようなのを頼むよ。」

エルマ:「私が来ているドレスの様なものでいい?」

よしひろう:「うん。後、冒険をする為の服や装備も一揃え頼むよ。」

エルマ:「任せておいて!」


目をキラキラさせて拳をギュッと握りしめるエルマ。


エルマ:「で、予算は幾らくらい?」

よしひろう:「100万G以内くらい?」

エルマ:「そんなので足りる訳無いじゃない!」

エルマ:「ゼロが一つ足りないわよ。」

よしひろう:「マジか!?」


レギオナを見ると申し訳無さそうに肩をすぼめている。

僕はレギオナにはお金の心配はさせたくないと思い大きく出る事にした。


よしひろう:「じゃ、金額はエルマに任せる。」

エルマ:「え?いいの?」

よしひろう:「うん。エルマがエリーの所に行く時に着ているのと同じくらいで頼む。」

よしひろう:「冒険者の服も僕やエルマと一緒でも違和感が無いのがいいかな。」

エルマ:「うーん…」


エルマがレギオナをジーっと見つめていた。


エルマ:「なんかイメージが湧いてきたわ!早速行きましょう!」


屋敷を出て、エルマをお姫様抱っこして空へと舞い上がる僕。

レギオナも僕に付いて空へと飛翔する。

エルマは昨日の朝の寒さが堪えたらしく、今日は厚手のガウンを羽織っている。


よしひろう:「今日はどう?寒くない?」

エルマ:「大丈夫。これ着てるから。」


と、ガウンを指差す。

下を見下ろすと、何やら慌ただしい雰囲気がする。


よしひろう:「今日、なんか人が多くないか?」

エルマ:「んー、そんな気がするような、しないような…」


煮え切らない返事だ。


エルマ:「あ、そこの角を右に行って。」

よしひろう:「了解。」

エルマ:「ここで降ろして。」

よしひろう:「はーい。」


地面に降り立つと、洋服屋の前だった。

いかにも高級品を扱ってそうな面持ち。

思わず生唾を飲み込む僕。


エルマ:「じゃ、行ってくるから。」


と言いながらレギオナの手を引きながら店内へと入って行くエルマ。


よしひろう:「時間がかかってもいいから、似合うのを頼む。」


エルマは分かったと言わんばかりに手をグゥの字にした。


待つこと一時間…

何の動きも無い…

っていうか、寒くて小便に行きたくなってきた。

仕方ないな、路地裏で用を足すか…

と路地裏に行き、用を足そうとした瞬間、本能的にヤバイという事に気が付いた。


よしひろう:「ここで出したらヤバイ!!」


放尿しないよう、ギュッとお尻に力を入れる。

そして壁に向かって何度も頭を打ち付けた。


よしひろう:「起きろ!起きろ!起きろー!!」


目が覚めた…


周囲を確認する。

確かに自分の部屋だ。


よしひろう:「ヤバかった…」


そそくさとトイレに行き、用を足す僕。

危うく自尊心が破壊されるところだったぜ。


よしひろう:「ふぅ、すっきりした。」


再び布団に潜り込み睡眠に入る。


よしひろう:「…」


気がつくと高級洋服屋の裏手にある路地に立っていた。

店の入り口に戻り、両肘をついて、二人を待つ。

目の前を荷馬車や荷車、人々が行き交うのをボーっと眺める。


「勇者さま!」


という突然の声にビックリしてキョロキョロと周囲を見渡す僕。

目の前に止まった荷馬車から女性らしき人影が降りてきた。

僕の目の前に立つその女性は年頃は十代半ばといったところか。

緑色のキラキラした髪を後ろに縛りポニーテールにしていた。


少女:「勇者さま。」

よしひろう:「え~っと…どちら様でしたっけ?」


行商の父親らしき男が少女を嗜めるように言った。


行商の男:「シル、まずは自己紹介だろうが。」


少女は「あ、いっけいない。」と言いながら自分の額にゲンコツをしながら舌をちょろっと出す仕草をする。


少女 :「私の名は「シルフィード」って言います。」

シルフィード:「一ヶ月くらい前にエアリスと王城との間の峠道で山賊から助けて頂いた者です。」


言われればそんな事有ったような気もする。


よしひろう:「僕の名は…」


僕が自分の名を言おうとしたのをシルフィードが遮った。


シルフィード:「よしひろう様でしょ?」

よしひろう:「え?どうして知ってるの?」

シルフィード:「それは有名ですもの!」

シルフィード:「あの時は助けて頂いて本当に助かりました。」

シルフィード:「お礼と言っては何ですが、これをどうか受け取って下さい。」


そう言って親指大のペンダントを僕に差し出した。

金色の縁取りにシルフィードの髪の毛と同じ緑色に輝く四角い宝石が埋め込まれている。


よしひろう:「いや、こんな高価な物、受け取れないよ!」

シルフィード:「そこは是非に。」


と僕の掌にペンダントを置き、ギュッと握らせる。

本当に受け取ってよいのだろうかと悩む僕を知ってか知らないでかシルフィードが話を続ける。


シルフィード:「首から下げてみてくれませんか?」


言われるがままそのペンダントを首から下げる。


シルフィード:「良く似合ってますわ。」


と嬉しそうに笑顔を見せるシルフィード。


シルフィード:「そのペンダントは持ち主を守ると言われています。どうか肌身離さずお持ちになってください。」


よしひろう:「はい。こんな高価そうな物をありがとう。シルフィードさん。」

シルフィード:「「シル」とお呼びください、勇者さま。」

よしひろう:「ありがとう、シル。」


シルフィードの父親が「そろそろ行くぞ。」と声をかける。


シル:「それじゃあ、またね!ヒロ。」


と言い、荷馬車へと駆けって戻るシル。

シルが荷馬車に乗り込むと行商の隊列が進み始めた。


よしひろう:「え?今、「ヒロ」って言わなかったか??」


まあ、何て呼ばれようが気にはしないが…

シルの行商一行が見えなくなった頃に、高級洋服店の扉が開く音が後ろに聞こえた。

後ろを振り向くとエルマとレギオナが立っていた。


エルマ:「遅くなってごめん。」

よしひろう:「いや、それは別に構わないんだけどさ…レギオナの服、変わってないんじゃないか??」

エルマ:「当たり前でしょ。」

エルマ:「今日は生地を選んで、寸法を計って、装飾を決めただけだもの。」

よしひろう:「え?そうなの?」

エルマ:「そうよ。出来るのは一週間後。」

よしひろう:「へー…」

エルマ:「ちなみに支払い額は850万Gね。」

よしひろう:「ひゃ!?はっぴゃく!?」


僕が驚いてる様子をレギオナが申し訳無さそうな顔で見ているのに気づき、慌てて驚いていない振りをする僕。


よしひろう:「ま、まぁ、そんなもんだろう。(ヒクヒク)」


ため息を一つつく事で平静を取り戻した。

あらためてレギオナに話しかける。


よしひろう:「よかったなレギオナ。出来上がるのが楽しみだよ。」

レギオナ:「ありがとうございます、主殿。」

エルマ:「私が選んだんだもの、間違いないわよ。」


とウィンクして見せるエルマ。


次はレギオナの普段着というか冒険者風の服一式だ。


よしひろう:「エルマ、次は冒険者の衣装を頼む。」

エルマ:「分かったわ。任せて頂戴。」


エルマはレギオナの手を引き大通りを歩いて行く。

着いた所は先程の高級店から三軒隣の店だった。


看板を見ると、武器、防具店、レディース専用と書いてある。

店の中へと入っていくエルマとレギオナ。


僕は…さすがに…入れないな…

今回も入り口の階段に座り両肘を付いて只々大通りを行き交う人々を眺める。

レディース専門の店の前に男が一人座っているこの状況に少し焦り始める。

周囲の目が気になって仕方が無い…

これが自意識過剰ってヤツだろうか…

俯いて地面を眺めていると、周囲が騒がしくなってきた。

顔を上げると、馬上の騎士が王国旗を掲げながら移動していた。

騎士の一人が大声で「全たーい、止まれ!」と指示をする。

その騎士団の中心から馬に股り完全武装したジアが僕の方へとゆっくりと歩み出てきた。

馬を降り、兜を脱ぐジア。


よしひろう:「ジア?これは?」


ジアが僕の耳元で囁いた。


ジア:「敵の進軍速度が思ったより早くてな…」

ジア:「会敵時刻が早まったのだ。」

よしひろう:「ええ!?」

ジア:「こら、声が大きい。」

よしひろう:「す、すいません…」

ジア:「ヒロも参戦してくれるか?」

よしひろう:「もちろんです。」

よしひろう:「会敵予定はいつですか?」

ジア:「明後日の朝。場所はエアリスの西の草原。」

ジア:「エルマにも伝えておいて欲しい。」

よしひろう:「はい。」

ジア:「此度は大戦(おおいくさ)になるかもしれん。」

ジア:「残りの騎士、槍隊、弓隊、弩隊、魔法部隊を全て連れていく。」

よしひろう:「それだと王城の守りがガラ空きになってしまいませんか?」

ジア:「大丈夫。父様母様、エナ、エリーを守る為にレンジャーを三人残す。」

ジア:「それよりも心配なのが…」

よしひろう:「はい?」

ジア:「ヒロと同じ世界に住むというあの白い鎧の娘は来てくれるのだろうか?」

よしひろう:「洋子さんですか…それは僕にも分かりません。」

ジア:「そうか、ただ祈るのみだな。」

よしひろう:「はい…すいません…」

ジア:「おぉ!忘れるところだった。」


といいながら馬に乗せている荷袋の中から一振りのダガーを取り出すジア。


ジア:「これをヒロに託す。」

よしひろう:「はっ!ありがたき幸せ……え?どこかで見た事があるような…」

ジア:「どんな魔法をも切り裂くダガーらしいぞ。」

よしひろう:「それはスゴいですね!」

ジア:「だろ?こんな危ない物をサザーランドが持っていたとはな(苦笑)」

よしひろう:「あー!思い出した!!」

よしひろう:「っていうか、サザーランドはどうなったんですか?」

ジア:「知りたいか?(ニヤッ)」


ジアの笑みに背筋がゾクッとした僕。


よしひろう:「いえ、結構です!」

ジア:「まぁ、この世にはいないとだけ言っておこうか(笑)」


そう言いうと颯爽と馬へと跨がり、隊列の中心へと戻っていった。

兜を被ると右手を前に付きだし前進の指示を出す。


騎士の一人が「前しーーーん!」と号令を出す。

部隊全体が前進を始める。

ジアも前進しながら僕に向かって右手を左胸にポンオンと押し当て別れの挨拶をした。

僕も倣って同じように拳を胸に当てる。


よしひろう:「すげーな。姫様…」


というか、何故にこんな話になるんだ?

僕はもっと牧歌的なのんびりとした夢を見たいのに。

なんでこんな戦いばかりが起きるのだろうか…

病んでるのかな…俺…

などと考えながら腕を組み、右手を顎に当てて首を傾げる。

ジア達一行が見えなくなった頃にエルマとレギオナが店を出てきた。


エルマ:「お待たせ!」

よしひろう:「こちらこそ手間をかけさせてごめ…」


エルマの横に立つレギオナの姿に釘付けになってしまった。


黒い上下のアンダーウェア、山吹色のブーツ、同じく山吹色の指だし手袋に短パン、金色の縁取りのあるエメラルドグリーンの胸当て、肩当て。

腰にはレギオナのダガー。


レギオナ:「どうですか?主殿。」

よしひろう:「おー、なかなか良いんじゃない?とても似合ってるよ!」

よしひろう:「へぇー…こうも化けるとは…」


レギオナを眺めていると横からエルマが手を出してきた。


よしひろう:「え?何?」

エルマ:「12万3千G。」

よしひろう:「へ?」

エルマ:「服代に決まってるじゃない。」

よしひろう:「マジか!た、高っ!」


いや、まぁ、ドレスの850万Gよりはマシなんだけど…なんだかクラクラする。

金銭感覚が変になりそうだ。

財布からお金を取り出し、エルマに渡す僕。

エルマはそのお金を持って店内へと入り、支払いを済ます。


エルマ:「はい!これで一件落着~。」

よしひろう:「本当にありがとう、エルマ。」

エルマ:「どういたしまして。」

エルマ:「あ、ドレスは一週間後だから忘れないでね?」

よしひろう:「了解。」


ニッコリと笑うエルマとレギオナ。

喜ぶ二人の姿になんだかホッコリとした気分になる僕。

一緒になって笑っている内にジアの事を思い出した。

せっかくの楽しい雰囲気が台無しだが、伝えておかないと…


よしひろう:「あの…」

エルマ:「何?急に深刻そうな顔をして。似合わないわよ?」

よしひろう:「余計なお世話だ!(苦笑)」


と思わず突っ込みを入れてしまった。


よしひろう:「いや、そうじゃなくて~」

エルマ:「ん?」

よしひろう:「ジアが軍勢を引き連れて出発した。」

エルマ:「えぇ!?もう?」

よしひろう:「あぁ、敵の動きが早まったらしい。」

エルマ:「いつ頃なの?」

よしひろう:「会敵予定は明後日の朝。」

エルマ:「私たちの出発予定は?」

よしひろう:「明日の正午でどうかな?」

エルマ:「いいわ、それに間に合うよう私も準備する!」


事の重要性に気がつき、暫く沈黙が続く。


よしひろう:「…」

エルマ:「…」

レギオナ:「…」


その沈黙に堪えきれずに僕が口を開く。


よしひろう:「これからどうする?」

エルマ:「エリーに会いに行きましょう。」

エルマ:「きっと寂しい思いをしていると思うの。」

よしひろう:「了解。」


エルマを抱き上げ、レギオナと共に空へと舞い上がる。

大通りに沿って飛べばものの数分で王城に辿り着く。

そして衛兵に促され、エリーの部屋の待合室に通された。

エリーの部屋の前では扉をセナがしっかりと守っている。


よしひろう:「セナはエアリスには行かなかったんだ。」

セナ:「行きたいのは山々なんだけど…」

セナ:「私の使命はエリザベート様をお守りする事だから。」

よしひろう:「そっか…じゃ、セナの分も暴れてきてやるよ(笑)」

セナ:「ありがとっ(笑)」


そうこうしていると、エリーの部屋の扉が開き、エリー付きの召し使いが現れた。

部屋の中へどうぞという仕草をし、僕たち三人に移動を促す。

部屋に入ると、エリーは丸いテーブルに座り昼食を食べている最中だった。


エリー:「よく来てくれたのう。さ、座って、座って。」


と手招きするエリー。

見ると僕たちの分まで用意してくれていた。


エルマ:「食事中にお訪ねして申し訳ありませんでした。」

エリー:「エルマもヒロも昼食はまだであろう?」

よしひろう:「はい。」

エリー:「ならば一緒に食べましょう。」


言われるがまま席に座りエリーと昼食を共に頂く。


エリー:「ん!?レギオナの服が変わっておるの!」

よしひろう:「はい、あの以前の格好はあまりに刺激的だったので(苦笑)」

エリー:「まぁ、ヒロ好みの格好ではあったがな(笑)」

エリー:「それにしても、よく似合っているのじゃ。」

エリー:「私もそのような服を着てみたいのう。」


と、ソーセージにかぶり付きながら話をするエリー。


レギオナ:「お褒め頂きありがとうございます。」

レギオナ:「この服はエルマ様に選んで頂きました。」

エリー:「ほぉ!エルマが!」


エルマは「私が選んだんだもの。当然でしょ?」と言わんばかりに勝ち誇った顔をしている。


エリー:「私もレギオナのような服を着て冒険したいのう…」


と召し使いを見ながらぼやくが、召し使いは苦笑いをしながら顔を横に振るばがりだ。


エリー:「姉様達は国の為に戦っているのに私は城内でただ守られているだけ…」

エリー:「それに堪えられないのじゃ…」


見かねてエリー付きの召し使いが口を開く。


召し使い:「姫様も成人の儀が終わればどのような力をお持ちか分かります。」

召し使い:「それまではご自重下さいませ。」

エリー:「それで何の力も無かったらどうするのじゃ?」


少し涙目になるエリー。


よしひろう:「そう言えば…エナにはどんな力があるんだ?」

エリー:「エナ姉は魔法使いの能力。」

エリー:「この国ではエルマの次に強力な魔法を放つ事ができるのじゃ。」

よしひろう:「へ~~。知らなかったよ。」

エリー:「エナ姉も滅多に魔法は使わぬからのう。」

よしひろう:「エリーはどんな力が欲しいの?」

エリー:「ジア姉のように剣も使えてエナ姉のように魔法も使えるようになりたい(笑)」

よしひろう:「欲張りさんだね(笑)」

エルマ:「ウフフ。」


昼食も終わり、そのまま午後のお茶会に突入した。

そして日が陰り空がオレンジ色に輝き始める。


よしひろう:「そろそろ帰ろ…」


と言いかけるとエリーが僕の服の袖を掴んだ。


よしひろう:「………エリー…」


エリーがテーブルの上を見つめながら一言。


エリー:「姉様達の事、頼みます。」

よしひろう:「まかせろ!俺を誰だと思ってるんだ?」


エリーの顔が明るい笑顔に変わる。


エリー:「そうじゃの!ヒロは勇者じゃったの!!」


エリーのその言葉にエルマとレギオナが頷く。

僕はエリーの目を見ながら話した。


よしひろう:「明日、エルマと共に王都を立ちます。」


エリー:「はい。こ武運を…」

エリー:「あ、ちょっと耳をかしてください。」


僕は言われるがままエリーに顔を近づけてる。


エリー:「目を瞑って。」

よしひろう:「はい…」


目を瞑った瞬間、僕の唇に柔らかい何かが触れる。

「チュッ」

その柔らかい何かが離れた時、目を開けると正面間近にエリーの顔が。


エリー:「幸運があるかは分からないけれど、女神の祝福のキスだと思ってください。」

よしひろう:「ありがとう、エリー。」


別れが辛いのか、少し涙目なエリーを残し席を立つ僕とエルマとレギオナ。

テラスに出てエルマを抱き上げる。

エリーもテラスに出てきた。

エリーに向かって別れの挨拶をする僕たち。


エルマ:「必ず帰ってきます!」

エリー:「うん。」

レギオナ:「お任せください。」

エリー:「うん!」

よしひろう:「必ず勝って戻ります。」

エリー:「うん!!」


よしひろう:「では!」


空へと舞い上がり自宅へと向かって飛行を開始した。

後ろから「勇者さま~~!」と言う声が聞こえた。

振り向くとエリーが手を振っている。

それに応えるように手を振るエルマとレギオナ。

自宅に戻り、エルマと別れる。

屋敷に入り自室のベッドに横になる僕。


よしひろう:「レギオナ?」

レギオナ:「何でしょうか?」

よしひろう:「勝てるだろうか?」

レギオナ:「主殿がいるのですから、答えは決まっていますわ。」

よしひろう:「そうか…」


レギオナの言葉に安堵し、安らかな気分になる。

そして意識が遠退いていく。


レギオナ:「行ってらっしゃい…」


目が覚めた。

ここは現実世界。


最近、どうも調子がわるい。

産業医に相談すると、心療内科を数件紹介された。

今日は仕事を休んで病院に行くことに。

さて、何て言われるのだろうか…

スマホで執筆しいるのですが、データの半分が突然消えてしまい、もう一度各ハメに(苦笑)

こうなるとかなり凹みますね。

皆さんもおなじような経験、有りませんか?

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