表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テンキュウノアメ  作者: ルシア=A.E.
62/96

1.8.2 思い立って、手伝って

「~~~♪」サクサクサク


「シロお姉ちゃん!お芋さん洗ってきたよ?」トテテテテ


「ありがとうございましゅ、アカネちゃん。じゃぁ次はー……こっちのお鍋に、お水を汲んできてくだしゃい」


「うん!」トテテテテ


「……のう?アオよ。お主、試しに、目を瞑ってみよ」


「えぇ、アメさんが言いたいこと、は分かっています。あれは間違いなく……鶴の姿をした人間です。あと、人の子供もいるようですね……」


 朝食作りを進めるシロたちの姿を後ろから眺めながら、それぞれにそう口にするアメとアオ。そんな彼女たちには、シロとアカネの会話が、人間同士が交わすやり取りそのもののように聞こえていたようである。……ただし、その見た目を除いて。


 そんな姿かたちの異なる姉妹たちを眺めていたアオが、何を思ったのか、シロ鶴に向かってこんなことを言い始める。


「あのー、シロさん?私にもなにか手伝えることはありませんか?」


「珍しいでしゅね?アオしゃんが料理を手伝うなんて……」


「アカネちゃんの姿を見ていたら……ただ食べさせてもらうだけじゃなくて、シロさんのお手伝いをしなきゃ、って思ったんです」


「そうでしゅか……。じゃぁ、ぜひ手伝ってもらえましゅか?このお芋しゃんの皮を剥いてくだしゃい。はい、包丁でしゅ」


 そう言って、自身が持っているものとは別に用意してあった黒曜石のナイフを、芋と共に、アオへと手渡すシロ鶴。

 それを受け取ったアオは――


「まともにお料理をするなんて、何年ぶりかなー。母に止められてからというもの、かれこれ200年くらいしてない気がしますけれど……とりあえず頑張ってみますねー」


――と、不穏な発言を口にしてから、芋の表面に包丁を当てた。

 そして彼女は――


スパァァンッ!!


――と、皮を剥くどころか、芋ごと真っ二つに切断してしまう。それも、自分の指まで含めて……。


「やっぱり……不器用ですね……私……」しゅん


「ア、アオしゃん?!ゆ、指が……!」


「あー、これですか?」ピタッ「はい、治りました」


「完全に切れていたのに、そんなことで治るわけが……治ってましゅ……」がくぜん

 

「ちょっと変わった体質をしていまして、ケガをしてもすぐに治るんですよー」


 そう言って、何もなかったかのように、再び包丁を握ろうとするアオ。

 しかしさすがに、これ以上の凶行は無視できなかったのか、シロがすかさず止めに入る。


「いやいや、アオしゃん?無理しなくてもいいんでしゅ。別のお手伝いをお願いしましゅから!」


「えっ?いえ、無理なんてしていませんけれど……」


 と言いつつも、そこにあった木製の食器の中に、真っ二つになった芋と血まみれ(?)の包丁を置くアオ。さすがに、シロの心配を押しきってまで、刃物を握り続けるつもりは無かったようだ。

 

 それからシロは、アオに対し、新しい手伝いについて話し始めた。


「え、えっと……あ、そうでしゅ!火の準備をしてもらえましゅか?」


「お湯を沸かすんですね?それなら私にもできます」


 アオはそう口にすると、周囲に転がっていた枝を拾い集め始める。そして、それを一ヶ所に集めて積み上げると、何故かその場を離れ……。近くの川で汲んだ水をせっせと運んでいたアカネの所へと歩いていった。

 そして彼女に話しかける。


「アカネちゃん?すみませんが、そのお鍋に入ってるお水、もらっていいですか?」


「んとー……また汲めば良いだけだから、良いよ?」


「じゃぁ、お言葉に甘えて」


 そして、アオは、アカネから水入りの鍋を受けとると――


「……ふっ!」


カキィィィン!!


――"力"を使って、鍋の中に入っていた水を凍らせるという、一見、火起こしとは関係無さそうにも思える行動に出た。

 しかし、アオが何をしようとしているのか分からなかったアカネにとっては、それどころの話ではなかったようである。


「すごい……アオ様……!」


「アオお姉ちゃん、って呼んでもらっても良いのですよ?むしろ、呼んでください」


「…………」じぃっ


「……これ、気になります?」


「んと……うん……。これ、何?」


「もしかして……アカネちゃん、氷を見るのは初めてですか?」


「うん……。お水、固くなっちゃったの?」


「やっぱり初めてだったのですね……。これ、"氷"と言うのですが、お水は冷たくなるとこうなります。触ってみてもいいですよ?」


「んー」ぴたっ「ちめたっ?!」びくぅ


「ふふっ……氷ですから」


 アオがそう言っている間にも、嬉しそうに尻尾を振りながら、ピタピタと氷に触れるアカネ。

 その様子を、幸せそうな様子で観察しながら、アオは言葉を続けた。


「この氷って、ただ冷たいだけではないんですよ?」


「うん?」


「まぁ、見ていてください」


 そういうとアオは、鍋を逆さにして、その中から大きな氷を取り出すと、それを今度は湖の水に浸し、表面だけ軽く解かして……。その後で彼女は、まだ火のついていない焚き火に近づき、そこで氷を朝日にかざし始めた。

 その結果、朝日は、氷の中を屈折しながら透き通り、燃えやすい落ち葉の表面で一点に集束して……。それからまもなくして、まばゆい光を放っていた落ち葉の表面から――


モクモクモク……


――と、煙が立ち上ってくる。

 その様子を見て――

 

「「「?!」」」

「んま?」


――と、驚いた表情を浮かべる一同。そのうち、アカネとナツはともかくとして、アメ狐とシロ鶴も驚いていたのは、長く生きてきた彼女たちの人生の中でも、集光という現象を見たことがなかったためか。


 そうこうしているうちに、光によって温められていた枯れ葉の表面から――


ボッ……


――と、オレンジ色の炎が吹き出した。


「あとはフーフーするだけです」ふーっ


「そんな火の付け方、始めてみたでしゅ……」

「ぼくも……」

「なかなかに面白いことをするではないか?」

「…………」じぃっ


「火打ち石や、火きり棒を使って火をつける場合、周りが湿っていたりすると、なかなか火が付かなくて手が痛くなってきますし、火種を付けるための麻などが用意できない場合もありますので、太陽が出ているなら、こうして氷を使って火をつけるのがおすすめです」


 そう言って、アカネたちに対して笑みを向けるアオ。その際、アカネは「おー」と納得げに相槌を打ち、ナツも目を丸くしていたのだが……。アメとシロは、前者2人と異なる表情を浮かべていたようだ。

 すなわち――


「(そんなことをできるのは……)」

「(アオしゃんくらいのものでしゅ……)」


――と、言わんばかりの表情を。

 

前回投稿してから2週間。

サボっていたわけではないんです。

毎日、少しずつ書いていました。

……毎日、少しずつ消しながら。


読みにくい部分を、もっと読みやすく簡単に書く方法無いかなぁ……。

……無いか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ