クリスマスイブ PM4:00
就職も無事に決まった、後は働くだけである。しかし、俺に働く事が出来るのだろうか。
2014年12月24日 PM4:00
今日は真昼間から男友達とどんちゃん騒ぎをしていた。
勿論、一人身の悲しい大学最後のクリスマスを過ごす野郎の集まりである。
この場には男しか居ない。
居酒屋『源』でアルコールを摂取し続け、これから社会人となる俺達は
最後の集まりとばかりに、騒いでいた。
『ピピピピピッ』
俺の懐から俺だけにしか聞こえない着信音が鳴る。
この音が鳴った時は、必ず……
「すまねぇ、俺ここらで抜けさせてもらうわ」
ダチの不満の声を背に、俺は居酒屋『源』を後にする。
『これも世界の為だ』
俺はそっと、胸元のポケットにいれていたデバイスを起動させる。
『これが世界の現実なんだよな、ちくしょう』
デバイスには『エネミー』の文字。雪が降り注ぐ大地を蹴り、俺は
現場へと駆けた。
身長も170cm、筋肉質な体系だが決して脳筋というわけでもなく、服を着ると
着やせして見えるのか軟弱な外見となってしまう。
デバイスが表示する位置へ辿り着くと、そこには敵の存在があった。
敵は一人の男性を追い、後ろから刃物をちらつかせながら迫っていた。
正義のヒーローなんて実在しないと思っていたが、俺の手元にはそれを可能とする
デバイスが握られていた。
一昔前に流行ったポケベルみたいな物である。そのデバイスの中央にそっと触れる
と俺は現実から消失した。
『くそ、少し呑みすぎたか』
異空間へと移動が終わり、若干気持ち悪さが俺の意識を蝕む。
この空間に、本当の『敵』がいる。
刃物をちらつかせていた男の居た付近に、それは確かに存在していた。
『今回は悪魔か』
先ほどまでは一人の危険な男性しか俺の目には映っていなかったが、しっかりと
目の前には異物が映っている。
真っ黒な人のシルエットに、頭の部分に角が二本生えている。
「着装っ!」
誰もいない空間で、俺はデバイスを天に掲げる。
輝く光の中、俺は全身にゴツゴツした機械質な装備を身に纏う。
それまではラフな格好だったのが、一気に変身したのである。
黄金のそれは、機械質な音をカチカチカチとたてながら、シュゥという蒸気を発し
止まる。これがこれまで俺が生きてきて守り抜いてきた現実。
勝敗は一瞬だった、俺が大地を蹴ると刹那のタイミングで間合いが詰まり、そのまま
デバイスを相手にたたきつける。
『カース・インパクト』
悪魔と呼ばれるそれは、デバイスから発せられる光球に包み込まれ、そのまま収縮。
それはこの世界から消失していた。
俺の意識が一瞬遠のく程の精神力を消耗するも、無事『敵』は消滅させた。
敵の存在が消えた瞬間、この空間がパリンっという音と共に砕け散り、先ほどまで
立っていた場所に戻る。
背後に迫っていた刃物を持った男は、?マークを浮かべながら刃物を仕舞い、その
まま人ごみの中へと消え去っていった。
衝動的な行動というものは、何かに憑りつかれた様な状態に陥る事がある。
その正体は簡単である、裏側の世界の住民によるものだ。
悪魔も勿論、神様も、幽霊も、何だって裏の世界には存在している。
そして、人の心に憑りつき人を操ってしまうのだ。
そんな、考える力を全て奪い取り、感情のまま行動してしまう者を救うのが俺の
仕事である。
そんな俺とこのデバイスとの出会いはこの際割愛させていただく。
そして、デバイスを持つ資格として『契約』を行っている。
決して誰にも知られてはいけない、誰にも裏の世界から表の世界を支えている事を
ばらしてはいけないと。
俺はこの日、少し呑みすぎていた事と、連続して敵が出るとは予想していなかった
だけに、ほんの少し、ほんの少しの気が緩んでいたことにまだ気が付いてなかった。




