青天の霹靂。
シリアス回だよー!
昨日更新できなかったからちょっとテンションおかしく書き上げました←
活動報告にイラスト上げてます。
まぁ、イメージ崩れるとか関係ない人だけ見てみてね(´゜ェ゜`)
__…起きて。起きて、イオリ。
優しく揺さぶられて、伊織は目を覚ます。いつもの白い空間で、イレーネが伊織を揺さぶっている。
__イオリ、すぐに箱を開けなさい。
「…イレーネ、どうしたの?」
イレーネのいつもと違った様子に伊織が問い掛けると、イレーネは俯きがちにドレスを握る。その様子が普通じゃない事に伊織に不安感が走る。
伊織は起き上がってイレーネの手を握る。イレーネも伊織の手を握り返して、伊織を真剣な目でまっすぐ見てきた。
__伊織の記憶の封印が解けた様に…彼にも、変調が訪れたわ。
「…変調…?ヴィルさんに何かあったの…?」
イレーネが目を伏せて逡巡し、伊織の手をギュッと握って顔を上げる。伊織は不安気な表情を隠す余裕もなく、じっとイレーネを見詰めた。
__箱を開けるのです。そうすれば、きっと大丈夫だから…。
「ねえ、教えて!何があったの!?」
イレーネはそれだけ言って、光になって消える。伊織が必死に手を伸ばすが、意識は遠退いた。
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伊織が目を覚ますと、寝た時の体勢のままヴィルフリートの上で寝ていた。顔を上げてヴィルフリートを窺う。ヴィルフリートはまだ眠っていて、呼吸に胸が上下している。
いつもならこの時点で起きるのに、一向に起きる気配はない。伊織はヴィルフリートの頬に手を伸ばす。起きているのなら、目を開けるか、手を掴むはずなのに阻まれる事なく頬に触れた。
伊織はヴィルフリートの上から降り、胸に手を置いて揺する。
「…ヴィルさん?ねえ、起きて…ヴィルさん、起きてってば。…ヴィルさん!」
ヴィルフリートは反応がなく、呼吸をしているのに精巧な人形の様にピクリとも動かない。
伊織の声に気が付き、ギルベルトが控えの部屋からノックと共に入ってくる。眠るヴィルフリートと尋常じゃない様子の伊織に、ギルベルトが驚きで目を見開く。
「イオリ様、如何なされたのですか?陛下は、陛下はどうなされたのです」
「ヴィルさん!起きて!ねえ、起きてよっ!」
ギルベルトが錯乱状態の伊織の肩を掴み、ヴィルフリートから引きはがす。伊織の身体を反転させて自分の方に向け、一度肩を強く揺すった。
「イオリ様、しっかりして下さい。陛下はどうなされたのです?」
「…ヴィルさん…起きなくって…いつもなら、僕がちょっと動いただけでも起きるのに…どうして…?」
伊織が泣きそうに顔を歪ませて、誰に言うでもなく呟く。ギルベルトは伊織をソファに座らせ、目線を合わせた。
「しっかりなさいませ。私は人を呼んでまいります。陛下をこのままここに寝かしておく訳にもいきませんから。イオリ様はその間に落ち着いて下さい。解りましたね?」
ギルベルトが伊織に言い聞かせる様にゆっくり窘める。伊織は茫然としながら、頷いてヴィルフリートに視線を向ける。
ギルベルトが急いで部屋から出ていった。
(…そういえば、心臓の音…してなかった気がする…)
しばらく放心したままヴィルフリートを眺めていたが、ふと先程起きた時に感じた違和感の正体に気が付き、伊織はヴィルフリートに近付く。胸に耳を寄せてじっと耳を澄ませた。
ヴィルフリートの心臓からは心音が聞こえず、伊織はよろめきながら後退る。
(イレーネが言っていたのは…この事だった…?)
愕然と床に座り込む。
見上げたヴィルフリートの顔は変わらず人形の様に動かない。伊織の目からは壊れた様にただ涙が流れる。
(どうやって、箱の事を伝えればいいの?…イレーネは箱を開けろって言ってたけど…)
イレーネの事も伊織の前世の事も知っているのはヴィルフリートしかいない。ヴィルフリートは箱を調べると言っていたから、伊織はどうすれば箱を手元に戻すかも分からない。
ギルベルトとニコラウス、バルトロメウスとフランツィスカが部屋に入ってきて、座り込む伊織とヴィルフリートを見て蒼褪める。
フランツィスカがすぐに伊織を支え起こして、ソファに座らせた。
「…ヴィルさん、心臓の音が聞こえない…呼吸はしてるのに…どうして…?」
「間もなく、医師が参ります。きっと大丈夫ですから…」
そこにノックの音が部屋に響き、バルトロメウスが扉を開ける。
白衣に白髪の男性が部屋に入ってきて、ソファに眠るヴィルフリートのところまで来た。
「まだ動かさない様に、今から見ますので…」
「心音が聞こえないようです。呼吸はあるようですが…」
医者の男性が無言で聴診器を出し、ヴィルフリートの服を肌蹴て聴診器を当てる。脈を取り、口の前に手をかざしてから腕を組んで唸った。
「寝台に運んでいただいて構いません。」
「陛下は、如何なのでしょうか。」
「原因不明です。ですが、このままではいずれ…。とりあえず、寝台に運んで精密な検査をしましょう。」
医師の男性が首を振り、バルトロメウスとニコラウスがヴィルフリートを寝室に運ぶ。
伊織はその様子を茫然とついて歩き、差し出されるまま椅子に座り、ただヴィルフリートを眺めた。
(でも、このままじゃヴィルさんが…ヴィルさんがいなきゃ、ダメなのに…)
フランツィスカが冷やした布で伊織の目元を拭いてくれる。伊織はされるがままに考え続ける。
ヴィルフリートの服が下着以外すべて脱がされ、医師が身体の隅々まで検査しているのを茫然と見た。
(…僕が何かあった時、ヴィルさんはすぐに何かしてくれたよね…僕がしっかりしなきゃ…僕だけが対処できるんだから…)
伊織が立ち上がり、ふらふらと寝室を出て行こうと歩き出す。ギルベルトとフランツィスカが慌てて伊織を止める。
「イオリ様、如何なされたのです…どこに行かれるのですか。」
「箱、取りに…箱さえあれば、ヴィルさんは大丈夫って言ってたから…」
「…箱…?誰がそのような…」
とりあえず伊織は居室に移動してソファに座らせられる。フランツィスカが飲み物の入ったコップを伊織に差し出すが、伊織は首を振って拒否した。
「…僕が前に持ってきた、紅い錠の付いた箱…あの中に入ってるもので、ヴィルさんが助かるって、イレーネが言ってて…。」
「…イレーネとは誰なのです?本当にその者の言う事は信じられるのですか?」
ギルベルトが訝しげに伊織に問い掛ける。伊織はどう言うか迷い、俯いて口を閉ざす。
ニコラウスが伊織の隣に座り、背中を優しく撫でた。その手の感触とヴィルフリートの手の感触を比べ、違いにまた哀しくなる。
「まぁいいじゃねぇか。この間、ヴィル坊が研究所に持っていかせてた箱だろ?あれなら開く事も出来ない、何が入ってるかも不明って報告書に書いてあったが。何でもいいから持ってこい。」
ニコラウスがギルベルトに言い付け、伊織はほっと胸を撫で下ろす。ニコラウスがいてくれてよかった。
「だが、ギルベルトの言う事も一理ある。ヴィル坊はイオリの事をしゃべらねぇし、異世界から来たらしいが、それすら定かではない。」
ニコラウスの言葉に伊織が固まる。
伊織には不可解な事が多い。それはヴィルフリートが伊織に無理に聞かないからだし、聞いても他人には言わないからだ。
「ヴィル坊が起きたら、ちゃんと説明してもらうからな?」
ニコラウスが伊織の頭をぐしゃぐしゃと撫で、元気づける様に笑った。
伊織は笑う気にはなれず、曖昧に迷った末にこくんと頷く。
「とりあえず、研究所から箱を持ってこい。話はそれからだ。」
「畏まりました。」
ギルベルトが頭を下げて部屋を出ていき、寝室からは医師の男性とバルトロメウスが出てきた。
医師の男性は難しい顔をしていて、ヴィルフリートの様子が芳しくない事が窺える。
「原因が全くもって解りません。私は隣の部屋で控えておりますので、変化がありましたらお知らせ下さい。書などで、原因は出来る限りお調べいたしますので。」
「ああ。ご苦労。…イオリ、とりあえずヴィル坊のところに行こう」
起きないヴィルフリートさん。
なんか立て続けに事件過ぎて、時間軸おかしくなりそうな秋雨です←
これが終わったらちょっとだけ落ち着くかな?
時間軸的な意味で!
伊織ちゃんお披露目舞踏会も控えておりますし。




