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紫水晶の回帰  作者: 秋雨
紫水晶と石榴石
49/94

思ってたのと違う…!

サブタイトルに作者の気持ちも反映されております(笑)

あれ?お説教どこ行ったんだろ…?

またも話が…

伸・び・ま・し・た!←


おおう、このままじゃ超長編になっちゃうよ。

当初の20話予定どこ行った!(;・`д・´)

ソファの方が見れず、俯いたままソファに近付く。そのままがばっと頭を下げた。


「…ごめんなさい!…僕、ヴィルさんが嫌いになった訳じゃなくって…僕よりずっといい人がいると思って…」


頭を下げて暫く待つが一向にヴィルフリートの返事はなく、恐る恐る顔を上げる。そこにはヴィルフリートはおらず、頭を上げて部屋を見渡した。伊織は首を傾げて寝室の方を覗く。ヴィルフリートはおろか、ギルベルトの姿も見えない。


(…あれ?…誰もいない…)


伊織は首を傾げて部屋の中をうろうろと歩き回る。なかなか戻って来ないヴィルフリートに、伊織はだんだん不安になって廊下に顔を出してみた。扉の前にはカルラとクラウディアが立っていて、他に人影はない。


「イオリ様、どうなさいました?」


「…ヴィルさん、いないんだけど…。部屋に戻ってもいいのかなぁ?」


クラウディアが伊織に気が付き、声を掛けてきた。不安げな表情のまま問い掛け、所在無さ気に廊下に出る。


「…そういえば、心配掛けてごめんね。…僕がいなくなったらカルラやディアが大変なのに…そういえば、リタはどうしたの?アニーもいなかったよね。」


伊織の何気ない問い掛けにカルラとクラウディアの表情が一瞬硬くなった。伊織は通路から誰か来ないかを見ていたので、カルラとクラウディアの変化には気が付かない。

丁度ヴィルフリートが角を曲がってくるのが見え、途端に伊織の心臓が早く脈打つ。ヴィルフリートの後ろには初老の男性がおり、伊織の姿を見て顔を輝かせる。早足にヴィルフリートを抜かし、伊織の事を抱き上げて高く持ち上げた。


「うひゃあ!」


「我が娘よ!無事だったか!会いたかったぞおおおお!!」


くるりと一周回って伊織を下ろし、伊織の蟀谷(こめかみ)辺りに頬擦りする。微妙にじょりじょりと髭が痛い。ヴィルフリートが男性の額を持って勢いよく後ろに押し遣り、男性はバランスを崩して倒れそうになった。


「…やめぬか。イオリが驚いている。」


「ぬ!ヴィル坊が俺をイオリに会わせんのが悪い!イオリ、お前のパパだぞー」


「は、はぁ。宜しくお願いします?」


伊織は状況に付いていけずに目を白黒させて成り行きを見守り、急に話を振られて慌てて答える。男性が伊織に手を伸ばすのを、ヴィルフリートが間に立ち塞がり阻止した。


「ニコラウス、後にしろ。…それと、ヴィル坊とは呼ぶでない。」


「…ヴィルさん、この人もしかして…」


「ニコラウス・ディーゲルマン。お前のパパだぞ。パパと呼んでくれ!」


「…後にしろと言ったはずだ。」


ヴィルフリートが伊織を抱き上げ、ニコラウスに顎でしゃくって促す。ニコラウスが名残惜しげに伊織を見ているが、ヴィルフリートは伊織を抱き上げたまま歩き出した。どうやら執務室に向かう様で、ヴィルフリートの後ろにニコラウスも続く。


「…何かあるの?」


「イオリにも関係ある事だ。」


ヴィルフリートはそれ以上言うつもりがないらしく、口を噤んでしまう。執務室に着き、伊織がソファに座らされる。

ニコラウスの手前、ヴィルフリートの膝の上じゃない事にホッとしつつ、話が始まるのを待つ。どうやらカルラやクラウディア、フランツィスカにも関係のある話らしく、執務室の中にノックと共にギルベルトに連れられて入って来た。

ヴィルフリートと伊織、ニコラウスにギルベルトからお茶が出される。


「まず、イオリ。お前の養父のニコラウスだ。そして余の叔父でもある。」


「…初めまして、伊織です。…お義父様?」


「俺はパパと呼んでくれぃ!その方がかわ「ニコラウス、いい加減いい歳だと思わぬか。」


ヴィルフリートがニコラウスの言葉を遮り、呆れ顔で見た。ニコラウスが肩を落とす。その姿があまりにも哀愁を帯びていて、伊織は可哀想になってきた。ニコラウスにしてみれば失礼な話だ。


「…ぱ、ぱぱ…?」


伊織がその様子に耐え切れずに思わず、照れて目を伏せながら呼ぶ。ニコラウスの顔が瞬時に輝き、ヴィルフリートからは溜め息が聞こえてくる。


「…まあ良い。…次は、アニエッタ・ブルームとリタ・ブルクミュラーに関しでだが…」


「アニーとリタに何かあったの!?」


ヴィルフリートの声が幾分か低くなったのを聞き逃さず、伊織がヴィルフリートに詰め寄る。


(…僕、自分の事ばっかりで…あの男の人達がアニーとリタに変化してたの、すっかり忘れて…)


伊織が見る見る内に顔色をなくす。自分の所為で何かあったのではないかと言う不安に、手が白くなるほど握り込んだ。


「…イオリ、落ち着くが良い。…大丈夫だ、死んではいない。治療中だが…」


「傷が深かったからな、神殿にて毎日治癒を掛けているが…治癒術師はそもそも少ない。それに、魔力の限りがあるから、まだ治し切ってないんだ。」


ヴィルフリートの言葉をニコラウスが引継ぎ、伊織に教えてくれる。ヴィルフリートが難しい顔をしていて、伊織は不安感が払拭出来ない。


「…そこでだ。イオリが持ってきた果実を食べさせようと思うのだが、まだ食すだけの体力はない。果汁を飲ませても良いが、それでは効果が薄そうでな。」


「果実って…ああ、あれ?…あれ食べたら治るの?シアさんは美味しくて腐らない果実だとしか言ってなかったけど…」


「あの果実は生命の樹の果実だぞ。怪我どころか病もたちまち治す。…知らなかったのか?」


きょとんとしている伊織に、ニコラウスが説明する。伊織が一瞬固まってからヴィルフリートを見ると、ヴィルフリートが頷いた。


「…10個も持って帰って来るはずだよな…あれ1個で帝国の1年分の国家予算なんだぞ。」


「…でもシアさん、いつでも成ってるから何個でもくれるって言ってたよ?採っても次の日には成るって。」


伊織が慌てて言い募るが、ヴィルフリートとニコラウスは余計に頭を抱えてしまった。

ギルベルトが脱線した会話に空咳をして話を促し、ヴィルフリートが気を取り直すようにお茶を飲む。伊織もヴィルフリートとニコラウスをちらちらと見ながらお茶を飲んだ。


「…とにかく、食べるのなら果汁ではなく、もう少し回復してから丸ごと食した方がいいだろう。」


「問題は、そこまで治すのにまだ時間がかかるって事だな。」


(…治癒…僕でもできる…かな?)


馬を治癒した事を思い出し、決意を固めて手を握る。顔を上げてヴィルフリートをまっすぐ見た。


「…ヴィルさん、治癒なら僕がするのも問題ないよね!?」


伊織の突然の申し出にヴィルフリートの眉が寄る。ヴィルフリートは伊織が治癒を出来ると思っていないのかもしれない。


「…問題ない…が、しかし…」


「大丈夫だから!僕にさせて?」


「まあいいじゃねぇか。俺の娘がやりたいって言ってるんだぜ?」


ニコラウスからの援護を受けて、大きく頷く。伊織が身を乗り出してじっと見詰めていると、ヴィルフリートが溜め息を吐いた。


「…解った。だが、治癒は消費が激しい上、適性があっても魔力によって治癒力に大きな差が出る。無理だと思ったらすぐに止める事が条件だ。」


「うん!ヴィルさん、ありがと!」


伊織が喜びの勢いのままヴィルフリートに抱き付くと、向かいから咳払いが聞こえてくる。ニコラウスが渋い顔でこちらを見ていて、伊織は慌てて離れた。


「…パパの前で、男に抱き付くんじゃない。抱き付くならパパにしておくんだ。」


ニコラウスがパパ、の所を強く、伊織を叱る。ヴィルフリートが鼻で笑って、伊織を抱き寄せた。


「ぐぬぬ…ヴィル坊め、仮にも父親の前だぞ!」


「…また話が脱線していますよ。」


今まで黙っていたギルベルトが口を開き、ヴィルフリートとニコラウスを窘める。


「…治癒は後程掛けに行こう。もう一つ話す事がある。…ギルベルト。」


ヴィルフリートがギルベルトに何やら指示を出す。ギルベルトが扉を開け、執務室の中に男が2人とイグナーツが入ってきた。


「…あ…あの時の…!」








うーん。お説教は次の次くらいかなぁ…。

ちょっとだけいちゃいちゃ書けたので、まぁいいや。

アニエッタさんとリタさんどうなったの?と言う秋雨の心の声を聞いた結果です(๑ↀᆺↀ๑)


果物流石に高すぎだよね。って事で1年分の国家予算に修正です|・ω・*)

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