第1章1話 出会い
これは、4名の主人公達の物語――1人の物語から大勢の物語になるだろう。
どうやら、主人公の1人が目覚めたようだ。
天音「あれ…?もう朝!?」
この公園の木の上で、寝ている少女――
永遠天音が、大慌てで、木から滑り落ちる。
寝癖で、ボサボサになった水色髪を手で整え、駆け出す。
天音「あぁーもう!何で試験がある時に限って、寝坊しちゃうんだろ。」
天音は、月イチで開催される―――国防軍の隊員試験
天音は見事、書類審査は通過した。
残すは、実技試験のみ。
整備された道を、何とか国防軍本部に間に合うように、大急ぎで走る。
肩で風を切り、道行く人々の視線も気にせず、ギリギリで、間に合った。
本部の扉を勢いよく開け、受付の人に、話しかける。
天音「あのすみません!今日、実技試験を受けに来た永遠天音です。」
天音が、元気よく話しかけると、受付の女は、天音を待合室まで優しく案内をする。
無機質な廊下に、いくつもの防犯カメラが点々と光り、こちらを見ているように感じた。
そして、待合室と書かれた紙が貼り付けられた扉の前に立つ。緊張で高鳴る心臓を、何とか落ち着かせ、天音は、ゆっくりとドアノブに手をかける。
待合室に入ると、すでに、3人が椅子に座っていた。
一目みてみると、天音と年が近いように見えた。
天音「あっ!はじめまして、私、永遠天音って言います。」
3人とは、初対面だというのに、元気よく自己紹介しているようだ。天音の挨拶に、2人もここぞとばかりに、自己紹介し始める。
ひまり「私は、光月ひまりです。よろしくお願いしますね!天音さん。」
れん「俺は、三日月れん。いずれ隊長になる男だ。」
ひまり「まだ、隊員にすら、なってないのに?」
れん「い、痛いところ突くなよ…」
灰色髪の少年は、椅子に浅く腰かけながらも落ち着きがない。
橙色の髪の少女は、そんな彼を見て困ったように笑っている。
そして奥の青髪の少年は、話しかけるタイミングを探すように、こちらをちらちら見ていた。
天音は、こちらの方を見ていた少年に話しかける。
天音「えーと…貴方は…」
蒼「僕は、白銀蒼です。確か…天音さん?でしたよね。」
天音「さん付けしなくても、良いですよ。多分、私達年が近いと思うんですよ!そういう私は、18です。」
蒼「あー、僕も18ですね。」
天音達が、年齢を明かしていると、2人も気になったのか、楽しそうな様子で近付いてくる。
天音は、快く受け入れ、話しかける。
ひまり「混ざっても大丈夫ですか?」
天音「大丈夫ですよ。ひまりさんとれんさんも、じゃんじゃん話しかけて下さいよ。」
れん「よし!俺は、20で、ひまりが19だ。年も近いし、俺達、同期になるんだろ?敬語とかさん付けとか、いらなくね?」
ひまり「確かに!じゃあ、タメ口でも良いって事で、ちょっと〜!私のセリフ、取らないでよ!えっと…初めて会ったのに、馴れ馴れしくてごめんね。」
天音「全然、馴れ馴れしくないよ。だって、沢山話し掛けてくれた方が嬉しいし。」
天音の言葉を聞いて、ひまりは嬉しそうに笑う。
ひまり「良かった。」
蒼「光月って、僕が、知ってる光月家です…だよね。
もし、僕の言葉で、気分を悪くしたならごめんなさい。」
ひまり「大丈夫だよ、蒼の言った通り、私は…」
れん「いつもの決め台詞を言うつもりだろ、そう!私は光の一族の光月家よ!って。」
れんに、いつもの決め台詞を邪魔されたようで、ひまりは、明るい笑顔から、頬を膨らませ、ふくれっ面に変わる。
ひまり「もう!」
れん「ごめんごめん。」
蒼「えーと…皆さんは、何か能力は持ってるんですか?
僕、戦闘向けの能力ではなくて…」
ひまり「うーん、私も戦闘向けじゃないんだよね。治癒系統が多い。」
れん「それは、見てからのお楽しみにしておこうぜ。そんな事より、実技試験って何するんだ?」
れんのその言葉に、蒼はその場でずっこけかける。
蒼「し、知らないんだね…確か、持ち武器又は能力を使って的を当てる、その威力を確かめる為に、サンドバッグに攻撃するとかだね。前は…とある隊長を的にしてたんだけど、まぁ…少しお叱りを受けたみたいで、今の形式になったんだよね。」
天音「よ、良かった…もし隊長の方がサンドバッグだったら、少し刺しにくいから…」
ひまり「私も…」
れん「確かに…愚痴ってたな…あいつ。」
蒼「あいつ?」
天音達の雑談が盛り上がりかけた所で、扉が開く音が聞こえた。




