protocol 1 : 高レベル汚染区域内・調査記録
――記録は一部欠損しているが、
回収・復元できたものをここに保存する。
【聖典抄録 第1節】
この世界は、神より与えられしマナによって満たされている。
マナは万物に宿り、風を運び、火を灯し、水を従え、
人に恩寵を与える。
選ばれし者はその力を操り、
奇跡を現世に顕現させる。
その御業を、人は魔法と呼ぶ。
ゆえに魔法とは、神の御心に最も近き力である。
そして大陸の外には、
古より災いをもたらす魔神が棲むと伝えられている。
魔神は人の姿を取り、人の言葉を話し、
人の心に疑念を植えつける。
その囁きに耳を貸すことなかれ。
【聖浄教会・内部文書 第■■号】
死体の未処理放置を禁ずる。
エーテル不足環境下において、
遺体および重篤生体に対し以下の事象が確認されている。
・第一種異常:
体内マナ群の暴走による寄生的再構成。
宿主の身体を破壊し、人間大の虫状構造体として出現。
・第二種異常:
神経・筋組織への代替制御侵入。
被検体は死亡後も活動を再開し、
高い捕食性を示す。通称:グール。
・第三種異常:
全身構造の分解および再編。
原形質の保存性は低く、
元個体とは異なる異形生命体へ移行。
以上の理由により、
全ての遺体は教会の許可なく埋葬・保存してはならない。
確認次第、速やかに**浄化処理**を実施すること。
【市民向け生活規範 第7版】
マナは神の恵みであり、
また生活を支える貨幣でもある。
日々の食事、住居、移動、灯火、医療、そして魔法。
あらゆる営みは、マナに蓄えられた魔力によって支えられている。
しかし、無為な浪費は慎まねばならない。
マナを失った土地は痩せ、
死者は眠らず、
災いは形を持って這い出す。
ゆえに倹約は美徳であり、
節度は信仰である。
【機密指定文書/閲覧権限:クラスA】
魔法使いの高位個体において、
エーテル蓄積量と出力制御能の相関は顕著である。
一般個体に比し、
高適性個体はより大規模な物理干渉を実現可能とする。
医療・産業・軍事転用および都市制御の観点から、
当該個体群の選抜と囲い込みは最優先事項とする。
なお、当該高適性個体群については
便宜上、魔導士と呼称する。
※本項目は一般信徒および下級司祭への開示を禁ずる。
【断片化データ:復元率 12.4%】
PROJECT: ■■■■ ■■■■■■■
STATUS: ACTIVE
PROTOCOL: 0
地球環境におけるマナ汚染指数は、
人類の長期生存閾値を超過。
標準ヒト系統(Homo sapiens)は
マナから放出される高エネルギーエーテル粒子被爆に対し、
高確率で遺伝情報の破綻を示す。
対策として、
受精卵段階における遺伝子改変を適用。
マナ耐性およびエーテル蓄積能を実装した
新系統人類の設計を開始。
被験種呼称:■■■■ ■■■■■■■
【断片化データ:復元率 0.81%】
被験種 ■■■■ ■■■■■■■ は、
高エネルギーエーテル粒子を介したマナ間の通信により
高度なマナ制御能力を有する一方、
社会的自律性の確保が課題となる。
信仰、神話、死の管理、貨幣制度、
階級構造、外敵概念の導入によって、
文明維持の安定化を図る。
外部旧人類に対する認識名称は以下に統一:
“魔神”
【断片化データ:復元率 0.47%】
我々は神ではない。
だが彼らは、いずれ我々を神と呼ぶだろう。
それが恐怖の名であれ、
救済の名であれ。
【末尾不明データ】
人は、自ら作り出した後継種を
人類と呼べるのか。
そして彼らは、
我々を“人間”として認めるのか。
もしその日が来るなら――
その時、世界は二度目の誕生を迎える。
――記録終了。




