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【本編完結】灯火の誓い〜孤独を選んだ少年と、名を奪われた少女の逃避行ファンタジー  作者: 水瀬 莉音
第一幕 余火

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これまでの灯火(出立編あらすじ) ――ネタバレあり

 雪深い大陸イース。

 主人公リセルは幼い頃、その出自ゆえに襲撃を受け、両親を失った。

 さらにその後、自分を拾い共に暮らしていた兄のような存在――フィンも喪う。


「大切な人を置いて生き延びた」罪悪感から、孤独を選び、放浪と労働で日々を繋いできた。


 彼の望みは、東の大陸へ渡り、「自由の国」で生きること。


 ――しかし旅の途中、癒しの力を持つ少女エリシアと出会う。

 聖堂に「聖女候補」として囚われていた彼女は、あるきっかけで外へ出る。

 行き倒れていた彼女を、リセルは見捨てることができなかった。


 そこから、二人の逃亡が始まる。


 エリシアを追うのは、王直属の私兵――黒衛こくえい(別名:アシュガルド)。

 そしてその司令官、ラファス王国の将ヴァルデン。


 越境に失敗し、崖から転落した先で辿り着いたのは、エルカの郷。

 ラファス王国とヴェルナ(氏族連合の国)のはざまにある、逃れた者たちの隠れ郷だった。


 優しく迎え入れられながらも、そこは外へ出ることを許されない場所でもある。


 その地で、二人は自分の力と向き合うことになる。


 リセルは、火を操る民〈ユーファ〉の末裔として、内に宿る炎に怯えていた。

 いつか暴走し、自分のすべてを焼き尽くしてしまうのではないかと。


 エリシアもまた、癒しの力を持つ民〈エルナ〉として、

 自分の力の先にある“別の力”に気づき始めていた。


 それが、王に狙われる理由でもあった。


 そしてフェルディエルの語りによって、ひとつの事実が明かされる。


 火と癒し。

 ユーファとエルナの力は、かつては一つだった。


 それは“灯火の竜”と呼ばれた存在の力の名残であり、

 人にはあまりにも大きすぎるその力は、二つに分かれて受け継がれたと伝えられている。


〈誓い〉によって結ばれ、その力は命を守る光として保たれていたという。


 その起源とされる場所――黎火れいかさと


 リセルは力を制御するために。

 エリシアはその力を手放すために。


 同じ場所を目指しながら、その意味は違う。


 ――それでも、二人は進むことを選ぶ。


 エルカの郷を後に、二人は越境し、

 ついにヴェルナの地へと足を踏み入れた。


【ここまでに関わった人々】


◆ リセル・ヴォルカ(17)

火を操る民〈ユーファ〉の末裔。

オレンジがかった赤髪と、琥珀の瞳を持つ。

大切な人を喪い続け、孤独を選んできた。

内に宿る炎を恐れている。


◆ エリシア・フィオル(17)

癒しの力を持つ民〈エルナ〉の少女。

淡い白を混ぜた金髪、鳶色にわずかに紫を帯びた瞳。

聖堂に囚われていたが、リセルと出会い逃亡する。

自分の力の意味と向き合い始めている。


◆ フィン(享年29)

リセルと共に暮らしていた兄のような存在。

ヴァレン村の羊飼いとして生きていた。

襲撃からリセルを守り、命を落とした。

その喪失は、いまもリセルの選択に影を落としている。


◆ ヴァルデン・レオガルド(30代)

ラファス王国の将。黒衛の司令官。

力ではなく、“優しい檻”で人を支配する男。


◆ レヴィウス・ルヴェルク(28)

ラファスの若き王。

聖女制度を用い、力ある者を統制しようとしている。


◆ フェルディエル(70代)

エルカの郷の癒し手。〈エルナ〉の民。

かつて同じ力を持つ民と共に生きていた。


◆ 治癒師の親子 マルヤ(40代)/エルラン(20)

エルカの郷で暮らす癒し手の親子。

その在り方は、エリシアの選択にも影響を与えていく。





※世界観・用語の補足は活動報告にまとめています。

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