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第47話 駆除作戦!

前回までのあらすじ

 小人達と吸血ゲル退治に向かうリック達。

 小人の住居の奥で、女王ゲルと働きゲルを発見。

 リック達は戦いを挑む。

 俺達と吸血ゲルとの戦い。

 現状について説明しておこう。

 俺達がいる空間だが、奇遇にも野球グランドと大きさも形も同じである。なので、今後、位置関係はそれに例える。

 俺達が今いる場所は右翼(ライト)の辺り。

 吸血ゲルの集団は投手(ピッチャー)マウンドがある辺りにいる。

 吸血ゲルは500mlミリリットルのペットボトル程度の大きさの働きゲルがたくさんいて、その中心に女王ゲルがいる。

 女王ゲルはかなり大きい。

 (あり)(はち)も女王は働きよりも大きいが、吸血ゲルはその差が極端だ。

 熊ぐらいの大きさはある。

 シェリーから知識として教えてもらってはいたが、実際見るとかなりの迫力だ。

 俺はマーカスとオリーヴ義姉さんを見る。

 彼らは、女王ゲルに対して(ひる)んでいない。むしろ闘志で(あふ)れている。

 二人なら大丈夫だ。

 俺は右翼から二塁ベースの辺りへ向かって歩いていく。

 距離的には俺が最も吸血ゲルに近いが、警戒しているのか吸血ゲルは動かないで様子を見ている。

 ちなみに日本の野球では、投手マウンドから二塁ベースまでの距離は約16m~約20m。

 少しではあるが吸血ゲルとの間合いはある。

 これ以上は近づきたくないな。

 仕方がない、あれをやるか。

 俺はナイフを取り出す。ナイフと言ってもダガーナイフみたいに大きくはない。食事の時にフォークと一緒に出て来るナイフだ。

 俺はナイフで指先を傷つける。傷口から血が出る。

「俺の血は美味しいぞ」

 俺は傷ついた手を大きく振る。

 すると、働きゲルが俺の方へ飛ぶように向かってくる。

 その数、たくさん!

 シェリーから事前情報として、吸血ゲルは血の(にお)いを好むと聞いていたが、想像以上の飛びつきようだ。

 生理的嫌悪感を与えるゴキブリのような光沢は、はっきり言って気持ち悪い。

 この光景を見て卒倒(そっとう)する人がいてもおかしくないだろう。

 だが、俺は卒倒するわけにはいかない。それは死に直結するから。


 『超人』

 

 俺はここまで温存してきた『超人』の力を発動する。

 襲い掛かろうとする働きゲルが一匹一匹よく見える。

 俺は働きゲルの攻撃を()けていく。

 時折、血が出ている手を見せながら、俺は少しずつ後ずさりする。


「行きますぞ」

「ええ」

 マーカスとオリーヴ義姉さんが動いたのは、俺が二塁から左翼(レフト)の位置まで移動した時だ。

 俺の周りには血の匂いに引き寄せられた吸血ゲルがたくさんいる。

 一方、女王ゲルの周辺は数匹の働きゲルがいるだけだ。

 その程度の数の働きゲルは二人の敵ではない、瞬時にして抹殺される。

 マーカスとオリーヴ義姉さんは女王ゲルを挟み撃ちにする。

 この『クロクロテカテカ駆除作戦!』最大の目標は女王ゲルを倒す事だ。

 (はち)(あり)は巣の中で女王が仲間を次々と生んで増やしていくが、死んでしまうと生む術は無くなるので、寿命と共に数は減っていき、やがて巣は自然消滅する。

 ヒアリという亜熱帯に生息する強い毒を持つ蟻は巣の中に女王が複数いるので一匹死んでも巣は存続するが、シェリーの分析によると、吸血ゲルは一つの巣に女王は一匹らしい。

 まず俺が(おとり)になって働きゲルを引き寄せ、女王ゲルを孤立させる。

 これが作戦第一段階。

 そこへ最大戦力である二人を投入して女王ゲルを倒して、吸血ゲルがこれ以上増えないようにする。

 その後は働きゲルを各個撃破していく。これが俺達の考えた作戦である。

 

 ギギギギギギギギギギィ

 

 女王ゲルは()びた鉄扉を開ける音を連想させる声を出す。

 それを聞いて俺の周辺にいる働きゲルの多くが、それを聞いて女王ゲルの元へ戻ろうとする。

 働きゲルへ命令を出したらしい。

「させるか」

 俺は小人から借りた木の棒で戻ろうとする働きゲルを叩く。

 単なる木の棒だが『超人』の力の効果で、威力は増している。

 吸血ゲルを数匹倒すが、俺を襲っている働きゲルもいるので、追いかける事は出来ない。

 今度はマーカスとオリーヴ義姉さんが女王ゲルと働きゲルから(はさ)()ちに遭う危険がある。

 しかし、俺は(あせ)ってはいない。

「この先は行かせません」

 女王ゲルの元へ戻ろうとする働きゲルの前にエセルが立ちはだかる。

 彼女の他にシェリー、長老、アーちゃん、シーちゃんも一緒だ。

 位置は二塁ベースと三塁ベースの間、遊撃手(ショートストップ)の守備範囲の辺りだ。

 彼女達は吸血ゲルに対抗できる力はない。

 だが、働きゲルは進む事が出来ずに立ち止まる。

「怖いですか」

 エセルは両手にたいまつを持っている。もちろん燃えている。

 小人達から借りた木の棒にティム君の布おむつを巻き、それに小人から貰った油を()み込ませている。

 火種は小人達の魔法だ。彼らはマッチのように気軽に火をつける事が出来る魔法が使えるので、(あらかじ)め用意をしているたいまつに魔法を掛けて貰ったのだ。

「残念だったね」

 シェリーは小人達と手分けして小枝や残骸(ざんがい)を広範囲に並べ、焚火(たきび)のように燃やしている。

 見たか!リック流 炎 の 壁(ファイヤーウォール)!…………だいぶ貧相な壁ではあるが。

 それでも火が嫌いな働きゲルには十分な効果がある。

「あっちへ戻りなさい」

 エセルがたいまつを振り回す。

 働きゲルは逃げ出し、俺がいる左翼へ戻ろうとする。

 女王ゲルは再び不愉快(ふゆかい)な声をあげて呼び戻そうとしたが、火が嫌いな働きゲルは炎の壁の突破を試みようとすらしなかった。

 冷静に考えれば、一塁ベースと二塁ベースの間まで回り道をすれば女王ゲルの元へ戻れるが、そこまでの知能は無いらしい。しばらくの間、左翼と遊撃の間をうろうろしていたが、血の匂いに負けたのか、俺のいる左翼へと戻って行く。

 そんな頼りない手下に愛想を()かしたのか、女王ゲルも声をあげるのを止め、マーカスとオリーヴ義姉さんとの戦いに集中する。

 これで女王ゲルと働きゲルを分断できた。

 作戦第二段階も成功!

 次はいよいよ女王ゲル退治だ。

 


読んで頂いてありがとうございます。

今回はいつもより短い話になりましたので、次回はなるべく早く更新するつもりです。

これからもよろしくよろしくお願いします。


※追記…タイトルを「駆除作戦!前編」から「駆除作戦!」に変更しました。

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