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フェイカー  作者: 那上畑 潤
Because, you don’t understand yourself
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正化と平成の比較

 具体的に言うと、平成の世と現在の正化の世で、起きていること、起きていないことを比較した。


 まず、ACTの発見。


 それから、日本限定になるが、オイルショック。


 正化の世では、ACTが発見されたせいか、オイルショックが起きていない。


 と言うのも、ACTを発見したことが原因かどうかはわからないが、藻類から石油を商業ベースで生産する体制を、正化の日本は確立しているのだ。


 1900年代のはじめに、藻類から石油を生産する技術を発見し、30年代前半には商業ベースで生産をはじめる、と入院中に白鷺さんとの社会科の復習で習った。


 石油が独自に手に入るから、太平洋戦争も正化の世では起こっていない。


 その割には、韓国や中国、台湾の土地に手を出していないのはかなり奇妙に思えたが……現在の日本の領土は本州に北海道、四国、九州、沖縄といった『平成』の日本の領土に、北方領土と樺太を加えたものだ。


 だからなのか、現在の『正化』の日経平均株価は48000円台と言う、べらぼうな価格になっている……バブルが、1度も弾けていないのだ。


 平成のバブル崩壊の理由として考えられているのは、不動産融資総量規制と消費税の導入が有力な説だ。


 簡単に言うと、不動産を買うための資金が借りづらくなり、そこに消費税の導入が追い打ちをかけることでお金の巡りが悪化し、バブルが弾けた、と言われている。


 調べてみると正化の世では、1989年に消費税は導入されていない。


 さらに、不動産融資総量規制も行われていなかった。


 しかし新聞に出ていた限りでは、1997年の4月から、不動産融資総量規制に似た法案と消費税の導入が行われる予定……という話を、『平成』の世界の事は秘匿しつつ、ゆりっぺに話した。


「1995年あたりから、日経平均が48000円前後からそれほど上がりもしなければ、落ちてもいないことを考えると、株を空売りすれば大いに儲かるんじゃないかと思う」


「……伊達に頭の中身が30代な訳じゃないのね。アンタ、本当の身分は諜報員じゃなくて、経済学者だったりする?」


 世界線の違う未来を知っているだけです、とは言えない。


「もちろん、絶対正しいとは言い切れない。でも、日経平均がこれ以上上がる理由は、俺の集めた情報の限りでは出てこないから、損をする率は低い。ゆりっぺ自身は未成年だから株取引できないだろうけど、人を使うとか、何らかの方法で有効活用は出来るだろう?」


 ゆりっぺは、先程から俺を見ていない。天井を見上げて、どこの株を売却して元手を確保するか、とか、ゴールドを売り払うべきか、とブツブツ呟いている。


「ん~~~、でも、絶対そうなる、って訳じゃないのよね?」

「株で『絶対勝てる』なんて言う奴が居たら、まず間違いなくソイツは詐欺師か、インサイダー取引で法律を破っているよ」


 肩を竦めてそう返すと、ゆりっぺは腕を組んでうーうーと唸り始める。

 あと、一押しかな。


「まぁ、この情報だけじゃ株価が上がった時のリスクがあるから、リスクを出来る限り下げる方法と、日経平均が値動きしなかった時にどういう株に注目すべきか、ってのも考えているんだけど」


 クワッと両目を見開いて、俺との距離を一足でゼロにするゆりっぺ。


「それって、信憑性はあるの?」

「何度も言っているけど、絶対とは言えない。何せ、株の値動きが昔と今とでは違うから。でもさっき言った方法と、この方法を組み合わせれば、結構な稼ぎになる」


 ウソは言っていない。

 

 平成の世で、リーマンショックの時に空売りを行い、底値の時に株を買い戻し、アベノミクスでガッツリ株価が上がった時に売り払えたおかげで、結構な貯金が出来た。


 ゆりっぺは左目だけでじ~と30秒ほど俺を凝視していたが、唐突にガックリと肩を落とした。


「チッ、本当にウソ言ってない……良いわ。その代価、受け取る。で、アンタはあたしに、その情報の代価に何を求めるの?」

「俺はACTをどうにかして使いたいんだが、現状では生体コードを繋ぐ事すら出来ない。どうすればACTを使えると思う?」


 ゆりっぺはガックリと肩を落とした状態から、さらに脱力したように手で顔を覆った。


「あのねぇ、どうやってACTを使うかは、アンタ、もう結論出しているんでしょ? 他の人の力が借りられる時には、他の人に生体コードを繋いでもらって、ACTを発動しなさいな。実戦形式のテストみたいな環境下なら、相手がACTを発動した余波を利用して生体コードを繋ぐつもりなんでしょ?」


「それはそうなんだが……なんか、もっと良い方法、あったりしないか? この方法だと全然成功しないんだ」


「そもそもアンタのように、生体コードが繋げないのにACTを発動しようとする人間を、アタシは初めて見たわよ。良い方法どころか、そもそも考えたことすらないんだけど?」


 呆れたように、あるいはお手上げと言いたいのか、両手を挙げて肩を竦められた。

 クソ、正論だ。


「そうだよな。相手がACTを発動した余波を利用して生体コードを繋ぐなんて、そもそも」


 ん? アレ? ちょっと待った。


「どうしたのよ? いきなり黙り込んで」


 まぁ、言うだけならタダだ。


「なぁゆりっぺ。ACTを発動した余波を利用して生体コードを繋ぐのなら、こんな方法はアリか?」

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