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フェイカー  作者: 那上畑 潤
Because, you don’t understand yourself
20/117

ジャンケンによるACT予測

 ブツブツ言いながらも俺のうなじに生体コードを接続させ、自身のOBと連結するゆりっぺは、基本的に人が良いのだろう。


 ホッとした瞬間に年甲斐もなくイジリ倒してしまったから、今後は気を付けよう。


「で、どうかな? ACTを発動させるのに必要なスイッチが壊れている、って医者の話だけど、やっぱそうなのか?」


「スイッチは壊れている、と言っても良いのかもしれないけど……」


 ゆりっぺはうーんと唸りながら、自身のOBを数度操作する。


「確かに、脳の血管にちょっとした損傷があるし、それをコイルで塞いでいる。血管が破れた時のダメージでスイッチも壊れた、って考えるのは当然と言えば当然だけど……」


「だけど、何か気になるのか?」


 問いかけには答えず、ゆりっぺは彼女自身のOBにもう一つ生体コードを繋げ、それをPCに接続した。


 PCを立ち上げてしばらくすると、PCのスクリーンにCTらしき映像が映し出された。


「これ、あんたの脳の情報を読み取って、一定の角度からスライスした感じで、MRI風に再現した映像よ」


 A、B、C、Dと4つの画像を見せられた。


「で、こっちがアタシの脳」


 同じく4つの画像が出てくるが……脳の隙間は、どの画像を比較しても、明らかに俺の方が大きいし、多い。


「やっぱりアンタ、どこかの諜報員でしょう? そうでもなければ、こんな30代としか思えない脳の画像なんて出てくる訳がないわよ」


「ゆりっぺから見て、俺の脳は30代の脳なんだな?」


「……な、何よ、そんな顔したって、事実は動かせないわよ。貴方の脳は、間違いなく、30代。どんなに若く見積もっても20台後半の脳よ。整形して若作りして、白髪を黒く染めたって、脳は偽れないんだから」


 ゆりっぺはウソが上手いタイプでは無いから、感じたことをそのまま口にしているのだろうが……これは、俺にとっては重要な情報だな。


 耳まで真っ赤にして両手をブンブン振って否定するような、あの直情径行がゆりっぺの演技だと言うなら、もう白旗を上げるしかない。


「ちなみに俺の脳を、津田さんや酒井さんが見たら、どういうリアクションをすると思う? やっぱり30代の脳だってビックリするんだろうか?」


「あ、それは無理」


「ん? なんでだ?」


「だって、アタシのACTって、情報の把握に特化しているから」


 情報の把握に特化?


「まぁ、見た方が早いかな。ちょっと、アタシとジャンケンして」

「ジャンケンって……あのジャンケン?」

「それ以外ジャンケンって何があるのよ? そうね、20回くらいやってみましょう」


 20回? そんなにやってどうする気だ?


「はいはい、何考えてると思うでしょうけど、論より証拠よ、はいじゃーんけーん」


 俺グー。ゆりっぺチョキ。


「はい続けて続けて、じゃーんけーん」


 おい、俺勝ったのに、続けるのかよ?!


 俺グー。ゆりっぺパー。


 続けて、俺チョキ、ゆりっぺチョキ、俺パー、ゆりっぺグー。


「おいこれに何の意味が」


「今のところ、あたしの1勝2敗1引き分けになるけど……ここからあたし、あんたに残り16回、全部勝つって予言しとくわ」


「はははは、んなバカ言うなよっ、と!」


 俺チョキ、ゆりっぺグー、俺チョキ、ゆりっぺグー、俺グー、ゆりっぺパー、俺チョキ、ゆりっぺグー、俺グー、ゆりっぺパー……


「おいおいおい、なんだこれ?」

「ほーら、次いくわよ次」


 やってもやっても、ことごとく負けるのはどうしてだ?


 20回目、俺チョキ、ゆりっぺグー。


「アンタ、頑固ねえ……7回も連続でチョキ出すなんて」


「おい、これはどういうタネがあるんだよ? 16回も連続で負けるなんて、確率に直せばいくらだ?」

「2分1の16乗だから、6万5536分の1の確率ね」


 つまり?


「テレパシーでも使えるのか、ゆりっぺ?」


「……あんた、さっきのアタシの話、聞いてた? アタシのACTは情報の把握に特化してるって言ったでしょ」


 ゆりっぺはため息をついているが、情報の把握って何だよ?


「つまり、アンタが次、グーを出すか、チョキを出すか、パーを出すか、アタシはアンタの動作とか、息遣いとか、目線とか、そういった様々な情報を、アカシックレコードに照らし合わせた上で予測したのよ」


「おい、待て。なんだそれは? それってもう予知のレベルなんじゃないか」


「不確定な要素が入り込まない限りはね。例えば、じゃんけんやっている最中に、アンタが他の誰かに声をかけられた事で、反射的に出す手が変わったりすれば、アタシの予測は外れる……まぁ、大概は傍にいる誰かがどう声をかけるかとかも予測するから、万に一つくらいしか、それでも外れないけど」


「じゃあ、ゆりっぺのACTは予知に限りなく近い予測ってことか?」


「短期的な、って一言がつくけどね」


 ……こりゃ、1対1の対戦形式で戦う試験では、相当強い能力だわ。


 どう予測しても回避出来ない攻撃を叩きこむしか、勝てそうにない。

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