第305話 天空城探索のメンバーを検討しよう
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「え・・・? 異世界転生者だけって・・・?」
「ん? だって、やっぱり天空の城にロマンを感じるのは異世界転生者じゃない?」
俺の疑問に屈託のない笑顔で答えるアビィ君
「ん、私もそう思う」
「おまーいつの間に屋敷に入り込んでんだよっ!?」
いきなり口を挟んできたのはフカシのナツ。
お前何で俺の家にいるんだよっ!?
「いや、フツーに屋敷の玄関から」
「ちゃんとしてたっ!?」
せめて来客ですとか言えよ、セバス。
多分俺とはツーカーとか適当なこと言ってセバスの案内より早く屋敷に入り込んだんだろうけど。
「あ、旦那様。国王様より旦那様の護衛を依頼されたというナツ様がお越しになられました」
「シレッとウソつくな!」
俺はフカシのナツを睨む。
「あながちウソではない。上司のグウェインからはきっと調査隊結成で無茶するから、目を離すなって言われてるし」
ぐむっ! なんで目つけられてるのよ、俺。
「なるほど、彼女も転生者なんだ。ならメンバーに入ってもらったらいいじゃない」
いやアビィ君、君もう行く気満々ですね!?
「あなた、どこへ行くお話ですの?」
「なんの調査?」
カッシーナが訪ねてくる。サリーナも興味津々といった感じだ。
「うーん、しゃべってもいいものか・・・でも国王様から秘密裏にとか極秘事項とか言われてはいなかったか・・・」
「まあ、分かったところでそこに迎える人間は極々限られているだろうからね」
俺のちょっとした葛藤にアビィ君が暗に問題ないんじゃないと伝えてくれる。
「うん、ワーレンハイド国王から呼ばれて王城に会議に行ったわけなんだけど、なんでも空に浮かぶ城が発見されたんだって」
「お空に・・・」
「城?」
カッシーナとサリーナが首を傾げる。
「うん、その天空の城を調査するお仕事を請け負うことになってね・・・」
俺の説明にカッシーナが首を傾げたままちょっと胡散臭そうにジト目を向けてくる。
「お空に城が浮かんでいるとか・・・本当ですか?」
「それって絶対お宝あるよね!ボクも行きたいな!」
ほぼ信用してません見たいな目つきのカッシーナと完全に信じ込んで行く気満々のサリーナ。対照的だね。
「だが、天空に浮かぶ城がどんなところかわからんからな。奥さんズのみんなを最初に連れて行くことはできないよ」
「えーなんで!?」
「我が槍は御屋形様の矛なり。離れる気はありませんぞ」
文句をいうサリーナの後ろにロザリーナもやって来た。
「いや、もちろん天空に浮かぶ城の調査が終わって安全が確認されればみんな連れて行くから・・・。みんなで観光しようよ」
「ですから、そんなお城が空に浮かんでいるなんて信じられないのですが」
「うわーお城の観光いいねー」
「しかし、調査時に御屋形様のみに危険が及ぶかもしれません、その時のために私も常におそばに仕えさせていただければ」
三者三様の反応に苦笑する。
買い物に出かけているらしいフィレオンティーナとアナスタシアも戻ってくれば行きたいと言い出すだろう。フィレオンティーナの実力なら戦力になるし、アナスタシアなら天空のお城でデートなんて素敵と言い出すに違いない。
だが、絶対危険な罠とか防御システムとかあるよな。
「まあ、まずはどこにあるのかもわからないし、場所の調査からかな・・・」
そうつぶやいたとき、ヒヨコから長距離念話が入る。
『ボス! 聞こえますでしょうか?』
「おう、聞こえるぞ」
俺は声に出してしゃべる。念話は心で念じることによりだまって通信ができるが、こうしてしゃべる言葉を送ることもできる。
『城塞都市フェルベーン担当です。護衛対象の吉田氏に危機が迫っております!』
「なんだって!?」
思わず食卓から立ち上がる。
『路地裏でどなたかをかばってごろつきに囲まれております』
「すぐに行く!」
「ど、どうしたのですか!?」
カッシーナが俺に問いかけてくるが、説明している暇はない。
だが、フカシのナツやアビィ君の前で転移するわけにもいかん。
「知り合いがピンチのようだ。ちょっと出てくる」
そう言うと食堂を出た俺はそのまま転移した。
「てめぇら、寄ってたかってどういう了見だ!」
片手に買い物袋を提げて、片手になぜかスリコギを武器のように構える吉田のオッサンがいた。
吉田泰三。異世界転生・・・というか、異世界転移といった方がいいかもしれない。
なぜか気づいたら人気のない店に倒れていたというオッサンだ。
このオッサン、女神から複数のチート能力をもらっている。
スキル『米俵』ではなんと米を出せる。そしてスキル『調味料』では醤油に味噌といった調味料が出せるのだ。ありがたいことにアローベ商会独占で買わせてもらっている。
オッサンに結構な金貨を払っているが、それでもアローベ商会のもうけは相当なもんだ。ありがたい限り。
「ソイツはウチの奴隷だよ! 逃げ出したから俺たちがヤキ入れてやってんだよ!」
「オッサンの出る幕じゃねーよ!」
「ぶっ殺されたくなかったら引っ込んでな!」
六人のゴロツキに凄まれている吉田のオッサン。その後ろにはかなり大柄な男がうずくまっている。相当ケガをしているようだ。
「だからって見過ごせねーんだよ!弱い者イジメはな!」
スリコギを構えてうずくまる大男の前に立ちはだかる吉田のオッサン。
「じゃあ痛い目見てもらおうか!」
「身ぐるみはいじまーぜ」
「こんなオッサンが死んでも誰も気づきゃしねーだろ」
「イヤ、どっちかって言うと、お前らゴロツキが路地裏で死んでても誰も気にとめねーんじゃね?」
俺は空から声をかける。
「な、なんだ、宙に浮いてるぞ・・・」
「や、ヤベー奴か?」
わかりやすく浮足立つゴロツキども。
俺はオッサンの横に降り立つ。
「おお、矢部君か! 味噌と醤油なら二日前に君の商会に納品してしまったから今は在庫がないぞ?」
「真面目か!」
俺は吉田のオッサンに言葉でツッコむ。
そして、後ろでうずくまる大男を見る。
手の甲を見るに、奴隷紋が見当たらない。
奴隷契約は魔法によるものだ。奴隷紋を見ればわずかに魔力を感じることができる。リーナの手の甲にある奴隷紋がそうだ。
「お前ら、奴隷って、正式な奴隷契約を結んだちゃんとした商会の連中じゃねーな。なら容赦しなくていいか」
両手の拳をボキボキ鳴ら・・・せないからその仕草だけ。
「チッ・・・覚えてろよ!」
あら、あっさりと逃げていくゴロツキども。やっぱ空に浮いているとヤバイ奴って思われるのかしらん。
「矢部君は宙に浮けるんだな・・・」
「それどころか、空に浮かぶ城の調査に行くんで協力してくれません?」
「空に浮かぶ城?」
そう言って吉田のオッサンが首を傾げるので、説明しようと思ったのだが、そう言えばけが人をかばっていたんだったと思い出し、うずくまる大男を見る。
「よう、大丈夫か?」
「ふう、助かっただよ。おら、喧嘩は苦手だもんで」
そう言って大男が上半身を起こす。
殴られたり蹴られたりしているようだが、汚れているだけであまりケガらしいケガがないようだ。結構タフ? それに、かぶっていたボロボロの帽子が起き上がった時に落ちた。
「え?」
「え?」
俺と吉田のオッサンが同時に声を上げる。
大男の額からは一本の小さな角が生えていた。
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