第304話 天空城への対策を考えよう
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「ウマ―――ッ! コッレ、ウマ―――ッ!」
屋敷に帰ってきた俺は一息つこうとリビングに向かおうとした。
だが、食堂からえらい嬌声が聞こえて来たので、何があったかと覗いてみたら、居候のシーナが三段重ねのホットケーキにパクついて感動していた。
「ウマウマでしゅ!」
「キュキュ――――!」
「ズゴズゴ――――!」
ついでという事なのか、シーナの隣に座ってリーナとジョージ、ジンベーの神獣コンビもホットケーキを嬉しそうに食べていた。
メイドが作ったのか、ニコニコして給仕している。
まあいいのだが、このシーナには奴隷として買われたという自覚があるんだろうか?
ま、無くてもいいんだけどさ。
「おかわり――――!」
「でしゅでしゅ――――!」
「キュキュ――――!」
「ズゴズゴ――――!」
「まだ食うんかい!?」
俺のツッコミに俺が帰ってきたことを認識したリーナと神獣たちが俺に突っ込んでくる。
ツッコミ返しか?
「ふおおっ! ご主人しゃまでしゅ―――!」
だから真正面からトツゲキしてきて股間近くに顔を埋めてグリグリするのはやめなさい、大変危険です。
そして神獣たちよ、俺の頭にのってヒレでペチペチするのもやめてくれ、地味に痛いから。
それにしても、シーナは元気だな。自分が命狙われているって自覚あるのかね・・・、いや、ないな。
「あなたー、騎士団の皆様からお礼のお菓子が届きましたよー」
カッシーナが廊下の向こうからお菓子の箱を持ってやってくる。
メイドに任せておけずに自分で運んでいるのは微笑ましいな。
王族としての感覚が薄れて一般感覚が身について来ているのか、ただお菓子が食べたいだけなのかはわからんが。
「お、どんなお菓子?」
「楽しみですね」
サリーナにルシーナもカッシーナの後についてきた。
お菓子狙いかな?
「わざわざ律義にお返しをもってきてくれたのかな?」
「そうみたいですね、あなたの方から呼んでお食事やお酒をふるまったのだから、恐縮されてたみたいよ?」
ああ、さすがに玄関にカッシーナが出ていったわけじゃないか。メイドさんが受け取ったのをわざわざ持ってきてくれたのね。奥さんっぽい。
実は、前日王国騎士団の副団長ダイムラーを含む二十名の騎士たちに夜中に屋敷に来てもらった。なぜそんなことをしたかというと、シーナの死亡を偽装するためだ。
リセル・ローフィリア神聖国の連中が、どんな理由か知らんがシーナを狙っていることは明白だった。しかも相手はとてつもなくしつこそうだった。挙句、話し合いの前に襲撃してきたからな。全く持ってとんでもない連中だ。タチが悪い。
そんなわけで、さっさとあきらめてもらうために、シーナには死んでもらうことにした。
その説明をしたのだが、シーナは
「なんですかっ!? 奴隷として買ったばっかでもう廃棄ですかっ!? ちょっとくらい味見してみてもいいじゃないですか! 私はそんなに食費かからないですよ?!?」
とナナメ上のキレ方をして困らせた。
味見って何だよ。そしてお前は食費がかかりそうだよ。ホットケーキ何枚食べてんだよ。
まあ、夜中に狼牙族の厩舎に入ってもらって朝まで宴会してもらった。
そうして朝まで姿を隠してもらっている間にスライム細胞で作った偽騎士たちに馬車を引かせる偽馬、そして偽シーナを用意。
偉そうにも「似てませんね?」などとシーナが抜かしたので、「そんなに文句あるなら取り込んで型取ってやるけど?」って脅したら猛ダッシュで逃げやがった。いい性格してるな、アイツ。
そういうわけで、俺のスライム細胞で作った偽シーナ護衛偽騎士隊は夜中に王都を出発。尤も襲撃しやすく、かつ馬車を処分しやすい断崖の峠越えルートを選択。一番おいしいところで襲ってきた敵をある程度蹴散らしながら馬車を暴走させ、崖から転落、シーナが死んだように偽装した。谷底は深く簡単に降りて捜索できない場所を最初からチェック。馬車だけは本物だから、馬車の中に破れた服の切れ端とか入れておいて、スライム細胞だけは回収。無事シーナはあの世へ旅立ったわけだ。うん。
「なんですか? また良からぬ事を考えている目で私を見てますね!?」
フォークを咥えたまま俺をジトッと睨むシーナ。
「いや、死人が元気だなーって」
「いや、死んでませんからね!?」
今度はフォークを振り回す。リーナの教育に悪いからやめてもらいたい。
「や、ボクもぜひご相伴に預かりたいね」
さらに食堂にやって来たのはガーデンバール王国の伯爵、アビィ・フォン・スゲート氏。というか加藤君。
「甘味は貴重だよね」
そう言うと食卓につく。
「じゃあごちそうしようか。アビィ卿にもホットケーキを」
「はい」
メイドさんにアビィ君のホットケーキを頼むと、アビィ君の前に座る。
「それで、メンバーはどうするつもりだい?」
「うーん・・・」
俺は先ほどの会議を思い出す。
「それで、我がバルバロイ王国に任せてもらえるとは言え、どうしたもんかのう」
ワーレンハイド国王は顎をさする。
「問題は二つあります」
俺は手を挙げて発言した。
「どのような?」
宰相のルベルクの問いに俺は答える。
「一つはその天空に浮かぶ城の場所をどのように特定するか」
「ふむ、その辺りは各国から観測者を出してもらい、情報を共有していくしかないと思うが」
「二つ目はどうやって空飛ぶ城に向かうかです」
「ふーむ、それは確かに問題だな」
「私は空を飛ぶこともできますが、一緒に連れて行けるのは数名でしょうね」
羽付きスライムに変身して運搬用のかごでミノ娘たちを往復で運んだこともあるけど、あまり詰め込むと環境が悪くなる。それに高度の問題もあるな。どれくらいの高さにあの城が飛んでいるか・・・。
「では、ヤーベ卿に人選を任せることにしよう」
「えっ!?」
やべー、ワーレンハイド国王俺に丸投げしやがった!? この前の西方大同盟を丸投げした意趣返しか?
「ではよろしく頼みますぞ、ヤーベ卿」
「アニキが行くなら俺も・・・」
「なりませんぞ、バーゼル国王にはやることが」
「ヤーベ、お土産よろしくね~」
宰相のルベルク、バルバロイ王国のバーゼル国王にガレンシア軍務卿、グランスィード帝国の女帝ノーワロディ。
好き放題言われてしまったが、俺がメンバー決めるのかよ・・・。
「会議で君に丸投げされていたわけだけど」
「メンバーなぁ」
何の話だろうと奥さんズの面々が俺の方を興味津々で見ている。だが、天空の城が実際どのようなモノかわからん以上、安易に奥さんズを連れて行くのは危険だ。何かあった時に守り切れるかわからん。
「メンバーさ、異世界転生者で行ってみないかい?」
「はい?」
俺はアビィ君が何を言っているのかわからずに首を傾げた。
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