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閑話52 リセル・ローフィリア神聖国の円卓会議

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「なんだとっ!!」


円卓の一番奥に座っていた一番豪華なローブを着た男が声を荒げた。


「ワシは女を連れて来いと言ったんじゃ!殺してどうする!」


そう言うとワインを飲んでいた金属グラスを報告した男に投げつけた。

幸いにもそのグラスは円卓の前に跪いて報告していた男にあたることはなく、男を飛び越えて床に転がると絨毯にワインのシミを作った。


「ですが、あの女がどのような秘密を握っていても死んでしまえばしゃべれないですから・・・」


襲撃を指揮したリーダーは自分が教皇に直接指示された女を連れてくるというミッションをクリアできなかったため、女が馬車ごと崖から落ちて死んだという結果だけを報告していた。リーダーはなぜあの女を連れて来いと言われたのか、その理由は説明されていなかった。

そのため、きっとこの女がリセル・ローフィリア神聖国における司祭か枢機卿の裏の秘密でも見たか聞いたかしてしまった上、脱走でもしたのだろうと想像していた。であれば、死んで口が開けなくなれば問題ないだろうと引き上げて来たのだった。


「たわけっ!! ワシは女を連れて来いと言ったんじゃ!」


ついに円卓から立ち上がり杖を手にする。このまま誰も止めなければリーダーを打ち据えることは間違いない。ヘタをすれば殺しかねないだろう。


「まあまあ、教皇様。落ち着かれてはいかがです?」


円卓には教皇と呼ばれた男の他に六名の枢機卿が座っていた。


「スカーム!不敬ですよ!教皇様に意見するおつもりですか?」


スカームと呼ばれた男は教皇から席を一つ離れた右側に座っていた。

不敬だと声を荒げた男は教皇のすぐ左隣に座っていた。


「コンチャク、控えよ」


「はっ!」


教皇の副官とも呼ばれる、コンチャック・シギー枢機卿はまさしく教皇のイエスマンであった。


「スカーム枢機卿、あの女を捕まえられなかったら、例の秘密を聞き出せないではないか」


「ですが、あの女が死んだのならば、少なくともあの情報が外に漏れる心配はなくなりますよ」


睨むように問いかける教皇に涼やかな笑みを浮かべて答えるスカーム枢機卿。


「じゃが、ワシらもあの女から秘密を聞き出せぬではないか!」


円卓を叩き、怒りを露にする教皇。だが、スカーム枢機卿はその怒りを受け流すように再び笑みを浮かべる。


「ほぼほぼ失われていたと思われた資料も見つかっておりますし、ほとんどの問題はクリアしておりますよ」


「な、なんじゃと!?」


「いい加減な事を言うと許しませんよ!」


驚く教皇に怒りを滲ませるコンチャック・シギー枢機卿。

だが、スカーム枢機卿は薄ら笑いを浮かべる。


「別にいい加減な事ではありませんよ。すでに情報の解析は終わらせております。それにリセル・ローフィリア神聖国の技術の粋を集めた結晶でもある『飛空艇』が三隻完成しましたよね? ドルーガ枢機卿」


「・・・うむ、いつでも出航する準備はできておる」


ローブを持ち上げるほどのイカツイ筋肉を持つドルーガ枢機卿が腕を組んだまま頷く。


「まさか!<古代魔法科学時代(インダストリア)>の<失われし魔法技術(ロスト・テクノロジー)>を復活させたというのですか!?」


驚愕の表情を浮かべるコンチャック・シギー枢機卿。


「いえいえ、伝説の魔導戦艦のようなそこまでの能力はありませんよ。ただ、空を飛ぶ船・・・だとでも思っていただければ」


腕組しながら饒舌にスカーム枢機卿は説明する。


「まさか・・・空を飛ぶ船が本当に完成するとは・・・」


別の枢機卿も驚きの表情を浮かべる。

だが、教皇は愉悦の表情に変わる。


「そうか、よくやった! それではついに向かえるのだな!『天空城ウラーノス』へ!」


よだれを垂らさんばかりに口をゆがめて教皇は声を上げる。


「おめでとうございます、教皇様」


「グフフフフ・・・、これでワシが『天空城ウラーノス』を手に入れれば、まさしくこの大陸を制覇することになるのぅ!」


「その通りにございます」


教皇の大陸征服宣言に肯定の意を示すコンチャック・シギー枢機卿。

そして腕組みをしながら目をつぶったままのドルーガ枢機卿。

その他の二人もそれぞれ教皇への支持を示す。


その様子をスカーム枢機卿は目を細めて見つめる。


(くっくっく・・・バカどもが。下賤の連中が調子に乗るのも今の内だ)


そう心であざ笑うと、ローブの合わせ部から胸に手を入れる。

そして首からかけたペンダントに手をやる。

わずかにチャリ、と金属音が鳴った。


(あの女からこの「天空人の証」であるペンダントを奪えたのはまさに僥倖だった。すべてはこの俺に向かって世界が動いている! 『天空城ウラーノス』を手に入れるのはこの私だ。この王家正当継承者であるスカーム・デュ・トゥルース・テラ・ウラーノスがな!)


ローブの中でペンダントを握りしめながら、スカーム枢機卿は目に黒い炎を宿すのであった。


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[一言] 最終的にバ◯スで終わりそうな城だな
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