第302話 真夜中の脱出劇は闇夜にまぎれて行おう
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また、緊急事態宣言が出されるなど各地で外出自粛要請が出ております。皆様も不要不急の外出などはお控えいただき、この機にゆっくりとなろう小説にどっぷりつかってみてはいかがでしょうか?
私も次話につきましては今夜日が変わってすぐ投稿できるよう頑張りたいと思います。
皆様力を合わせましてこの難局を乗り切っていきましょう!
夜半。
王都に夜の帳が降り、静寂が闇に溶け込んだ頃。
バルバロイ王国王都バーロンの貴族街は大通りにある程度の間隔で街灯がある。
魔石を使ったシステムで、一定距離ごとに設置されている。
オレンジの光を放つ街灯は暗闇の大通りを淡く照らし出して王都の安全に一役買っている。
だが、その街灯も屋敷の前までは設置されていない。
そして、街灯の光が届かない暗闇の中をすべるように移動してきた二十名近くの騎士が屋敷の前に姿を現す。一台の馬車を伴って。
「ご苦労さん、悪いね」
「いえ、これも仕事ですよ」
俺の挨拶の言葉に答えてくれたのは王国騎士団副団長のダイムラーであった。
「王国の仕事ではなく俺個人のお願いをよく聞いてくれたね?」
「いやいや、ヤーベ卿の今までの王国への貢献を考えたら、これくらいのご依頼、なんてことはないですよ」
暗闇の中、お互い笑いながら会話する俺とダイムラー。
もちろんダイムラーの独断ではない。騎士団長のグラシアを通じて国王陛下に確認を取っている。
そんなわけで早速騎士たちを屋敷の敷地内に案内する。
「とりあえずそこの厩舎の方で準備しよう」
俺はいつも狼牙族が休んでいる厩舎に騎士たちを案内する。用意してもらった馬車も厩舎内に入れてもらった。
「さて、準備OKだな」
馬車を屋敷の玄関前に移動させる。
玄関を開けて出てきたのは灰色のローブを頭までかぶった人物。
「シーナ、気を付けてな」
馬車に乗り込む前に俺は一言声をかける。
そして馬車に乗り込むのを確認すると馬車の扉を閉めた。
「さあ、頼むぞ。気を付けて行ってくれ」
騎士達は無言で出発すると馬車も続いて暗闇の中屋敷を滑るように出ていく。
俺はその様子をジッと見送った。
闇夜にまぎれた騎士たち一行は王都を封鎖する大門に到着する。
通常は夜間の王都大門は封鎖され通ることはできないのだが、特別に門は開けられ、騎士たちは馬車を囲みながら王都を離脱していった。
騎士達の行軍は続く。
できるだけ急いでいるのか、一般的な馬車の移動よりは早いスピードで移動していた。
そして行軍数日。
一行は城塞都市フェルベーンへ向かう北ルートを移動しているのか、山岳地帯へ差し掛かった。
その峠越えの細い山道を進んでいた騎士たち一行の前に、その進行を遮るように黒ずくめの連中が姿を現す。
「よう、馬車の中の女を渡せ」
一行のリーダーらしき男が剣を抜き、騎士たちに声をかける。
だが、騎士たちは無言で持っていた槍を構える。
「バカが! 俺たちがお前たちを囲んでいるのがわからねえのか!」
馬車の前後に十名の騎士たちがついて移動していた一行。合計二十名の騎士たちに対し、黒ずくめの襲撃者は百人以上で取り囲んでいた。
だが、再三の要求にもかからわず、騎士たちは槍を構えたまま動かない。
「ちっ・・・! 殺せ!騎士たちを皆殺しにしろ! 女だけ捕まえればいい!」
一斉に躍りかかる黒づくめの襲撃者。だが騎士たちも果敢に槍を構え迎撃に出る。
すぐに数人の襲撃者が突き倒され、切り伏せられる。
「複数人でかかれ!背後を襲え!」
リーダーの指示に黒づくめの襲撃者は散開し、騎士に複数で襲い掛かる。
手練れの騎士たちと言えど、数の暴力には抗えず、一人、また一人と襲撃者の剣の攻撃を受け、力尽きていく。
「後少しだ!馬車を襲え!」
そのリーダーの掛け声を聞いた瞬間、馬車につながれていた二頭の馬が嘶き、暴れだす。
「バカ野郎!馬車を抑えろ!御者を殺せ!」
リーダーは焦って怒鳴り声をあげるが、暴れだした馬は加速しだし、馬車を引いて黒ずくめの襲撃者の包囲網を突破した。
「止めろ!馬車を逃がすな!追え!」
リーダーにはこのままターゲットに逃げられて自分たちが粛清されるという最悪の展開が頭の中に浮かび上がった。
だが、事態は想定外の様子を見せる。
暴走した馬車は狭い山道を崖の方へ寄っていき、そのまま断崖から落ちてしまったのだ。巻き込まれるように数人の騎士も一緒に落ちていく。
「ああっ!しまった!」
馬車に乗っている女の確保を命じられてきたのに、馬車がその女を乗せたまま断崖から転落してしまったのだ。
慌てて崖から下を覗くが、かなり下の方で派手な音を立てて馬車が壊れる音と、馬車の中でランタンを使用していたのか、炎が燃え上がる様子が見えた。
「チッ・・・しまったな。だが、あれでは万が一にも生きてはいまい・・・。おい、引き上げるぞ!」
リーダーの声に黒ずくめの襲撃者たちはすばやく集まり、闇に消えていく。
狭い峠道に残されたのは討ち取られた黒ずくめの襲撃者達の死体と倒れた騎士達だけだった。
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