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忍び寄る変化2

 いやまあ、実際のところは確かに必要な訓練だ。

 綺麗な飾りだなー……と思う存在ではなく、必要ならば切り札中の切り札として投入されるべき力なのだから、恐らく前線で総崩れに近い状況に陥っている俺らが、更なるパニックを引き起こさないように、事前に慣れる必要はある。それは間違いない。


「レアです。よろしくね」


 俺と同じ金髪碧眼なのに輝きの桁が違う、美人というかかっこいいねーちゃん。すらりとしたモデル体型で、ガチ恋してる令嬢が絶対にいると確信が持てるな。

 お名前は聖勇者レアさん。


「ルシールです。よろしくお願いします」


 デッッッッッ⁉

 ふう。

 桃色の長い髪と黄色い瞳に慈愛や母性が溢れ、今にもあらあらうふふと言いそうな若妻風のねーちゃん。油断してたおぎゃっ。とか言いそうになる。

 お名前は女神ルシールさん。


 更に聖女リズベットもここにいるため三大美女が勢揃い!

 い、いったいどうしてこんなことになってしまったんだ……。


「よろしくお願いします!」


 そんな思いを抱きつつ、挨拶をされたのだから率先して頭を下げる。

 だがやはり俺の声はデカいのだろう。以前、リズベットさんに挨拶した時と同じように、聖勇者と女神がびくりと反応する。

 さーせん。


「六徳や七徳の将と、七罪の悪魔が激突する可能性は十分にある。だがその時、現場で兵を纏めるお前達が混乱していたら余計な被害が出るため、今のうちに慣れるように」


 教官殿、そりゃ火山が噴火してる横で仕事をしろって言ってるようなもんすよ。

 ま、何処までも正しいんだけどね。


 六だろうが七だろうが、基本的に戦うのは地上だ。

 そんでもって、お互いの前線が消し飛んだから奥の手同士が最後の決着をつけましょう。なんてことはなく、あちこちで戦いが起こっている最中にも、超越者同士が激突するため、俺ら前線組はそれに巻き込まれるのが確定している。


 だから慣れろってのはド正論なんだけど、どうも噂を聞くに聖勇者と女神が自発的にそれを提案したらしい。

 いや、俺らも実戦で死にたくないから心底嬉しいんだけど、こんな末端の男共が犇めいている場に、よく来ようと思ったな。

 お付きの侍女たちだって、どうすんだよこれ……みたいな表情してるし。


 ははあん分かったぞ。さては誰か、三大美女の心を射止めた奴がいるから、最近妙なことになってんだ。というのは流石に冗談。

 どう考えても鉄壁の要塞的ディフェンスをされてる三大美女に、どうやったら近寄れるんだ?

 だからこれは間違いなく、三大美女の自発的な向上心と善意に違いない!


 それでどうすんの?


「気張れよお前らー」


 五名の教官殿が一斉に構え始める。

 あ、あの、まさかと思うんですが教官連合軍と三大美女が戦う横で、逃げまくれって話っスか?

 おいおいおいおい。死んだわ俺。


「じゃあ始めるぞー」

「でりゃあああああ! ぐべら!」


 とか思いつつ、教官の合図で特攻。

 俺は死ぬ。

 なんかよく分かんねえ力場に吹っ飛ばされて、ケイ君の冒険は終わってしまった。


「一旦ストップ。意図は?」


 面白そうにしている教官共め!

 ここには三大美女がいるから、目立つために馬鹿やった訳じゃないぞ


「情報がないのに、この距離まで接近された時点で戦術的に敗北していたため、なんとか本命前に相手の手札を知る必要がありました!」

「それはそう」


 でしょー?


「普通なら悪魔の将は、戦場の兵を蹴散らして六徳や七徳の誰かに辿り着こうとする。その間にある程度の情報は集められるが、それが無いなら上位の連中でも博打を何度も打たねばならん。勿論、悪魔が手札を隠すことも十分考えられるぞ」


 だよね。初見の六罪だの七罪だのにこっちの切り札をいきなり投入できるかよ。

 誰かが捨て駒にならなきゃ、戦場全体が悪い方に傾くっての。そんでもって、俺らみたいなのはその必要経費に入ってるんだわ。


 で、だ。


「ぬわー⁉」

「ひょえー!」

「ヤバすぎー!」


 その後に勃発した三大美女VS教官連合軍の余波で俺らは吹き飛ばされかける!

 ま、実際は聖勇者と女神が戦って、聖女がごろごろ転がる俺らを治療してくれてるから、前線張ってるのは二人だ。


 やっててよかった予行練習。

 実戦じゃあ聖勇者が訳分からん速度で駆けまわって、女神が聖なる光を迸らせてる横で、部隊を収拾して引く必要があるんだろ? ぶっつけ本番とか絶対に無理だわ。


「あ、教官てめぇー!」


 お前らこれどうすんの? みたいな気楽さで、ちょっとした衝撃波が俺らを狙って飛んできたので、その原因になった馴染みの教官に悪態を吐く。普段受けてるのと同じ程度だからいいけど、とりあえず文句は言わなければならない。


「ちょっと失礼!」


 すると聖勇者が追いつき、輝く盾で防いでくれた!

 一生ついていきますぜ聖勇者様ー!


「光よ!」


 そんで女神から輝く光が放たれると、教官の一人にぶつかって吹き飛ばす。

 なんか凄くいい感じの光っすね。例えるなら実家にあるベッドと使い慣れた枕みたいな感じがする。


「次の方どうぞ」


 最後に聖女は淡々と治療を続けているが、前の時に比べて馴染む。馴染むぞー!

 丁度いい感じの人肌的温度がじんわりと染みわたり、俺の体を癒してくれている!


 いや本当にこの特訓もありがとうございます。お陰で戦場で起こり得る最悪の場合の経験ができますわ。

 戦う相手に困ったら無口長兄かポエマー次兄に声かけるんで、そん時は期待してくださいね。あの二人、マジでクソ強いんすよ。

 ま、精神世界なら俺も結構やる方だと思いますが。わははは!

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