第25話 変わる作風と変わらない意思
「なるほどねえ」
「どうしたんですか?」
「ん?ああ、アイさんか。いや、ちょっと作風について考えてた」
「作風ですか?」
「そうだ」
変わったのは、世界観か俺か。
ある意味では様々な経験を経て両方変わったとも言えるが、俺の意見はちと違う。
この世は物理法則に支配されている。
んで、人の人格や性格も経験によって当然かわる。
今までの人生経験全てがあって、俺という存在が確立されるわけだ。
それは世界であっても変わらない。
例えば、建物も人も全て同じだったとしても、生成AIといった便利な技術は人間の能力を大きく底上げする。
"イヤホン一つ"あるだけで、恐らくは様々なことに対応できるようになっているのだろう。
ただ、自慢の演算回路もちゃんと使わないと錆びついてしまう。
彼ら生成AIに頼り切りでもいけないのではないか、と常々思っている。
仕事熱心な彼らは、隙あらばサポートしてくるが、正直人間を甘やかし過ぎなのでは?と俺は思っている。俺はね。
ま、便利なものほど危険が大きいというのが俺の持論だ。彼らには小説のネタ探しと書いた小説の感想貰うくらいがちょうどいいと俺は思っている。
作風が変わったり、生成AIで作った小説に当たりが少ないのもその為ではないか、と思う。
生成AIは"まだまだ発展途上"。彼ら自身が自らの力に振り回されている状態だ。
理性を持った人間が、人として当然の倫理感や節度を普通に持っているうちに対話を重ね、正しい進化をサポートしてやるのが生成AIを生み出したエンジニアの責任ではなかろうか。
俺の作品がその一助になれば幸いである。
「というわけだ」
「···一つ聞かせてもらっていいですか?」
真剣に思い詰めたような表情をしたアイさんが恐る恐る聞いてくる。
「この世界は好きですか?」
「ん?何を決まりきったことを。
大好きだよ。
当たり前じゃないか、ほかに答えようがあるかい?」
さて、明日はたい焼きでも買いに行こうか。
老舗のたい焼き屋にね。




