活動家、失敗の後
まさか二度目が失敗するとはな。もう一度やるか。
ただ、当初のプランはそのまま進めよう。バスケットボールの大会で観光客も増えるこの時期は外せない。
材料の調達だが、地球から「白い粉」を持ってくるのは不自然なのでここで調達する。
ここでも家庭用サイズは1kg、もちろん地球基準の重さだが、で販売されている。現場を確認したところ、量的には十分であることは分かっている。家庭用の商品なので旧市街のスーパーマーケットで購入できることも確認済みだ。監視カメラ対策として、変装したうえであの男からもらった偽名端末で購入し、更にホテルに帰るまでに服装を変える予定だが、身元がばれないためにはもう一工夫必要だな。
さて、スーパーに行くか。
男はもたれかかっていた公園通りのベンチを離れ通りを歩く。
いい匂いだ。男は立ち止まり通りに並ぶ屋台を眺める。
あれは、タコ焼き、だな。
タコ焼きを作るには小麦粉が必要だったはずだ。
今は昼のピーク時を過ぎたところか。客もまばらだ。
久しぶり食べてみるか。月まで来てタコ焼きを食うというのも、まあ話のネタにはなるだろう。タコは本物ではないようだが。
「いらっしゃい」
「6個入りのをひとつ」
「ありがとうございまーす」
焼きあがるのを待っていると、のろまそうな小太りの男が近づいてきた。客か?
いや、見覚えがあるな。あの爆発したような髪型は中古パーツ屋の男だ。一度何か使えるものがないか店を見に行ったのだ。
「すまねえな、二日連続で」
タコ焼きをひっくり返しながら、男に話しかける店主。
「いいってことよ」
どうやら中古パーツ屋の男がここを手伝うようだ。
「頼まれてたやつ」
そういうと、中古パーツ屋の男が手に持った鞄から小麦粉の袋を次々と取り出し、屋台の上に置く。鞄にはまだいくつか小麦粉の袋が入っているようで、男はしゃがんで屋台裏の棚にも置いているようだ。
「わるいな。金は後で送っとくわ」
「ああ」
「じゃあ、これ焼き終わってから頼む」
「はい、どうぞ!」
「どうも」
携帯端末で代金を支払いタコ焼きを受け取る。
「爪楊枝とトッピングの追加は自由にどうぞ」
屋台の端っこに青のりとか入った小さな容器がある。これも本物じゃないのだろうな。
青のりを追加しようと手を伸ばす男。
ふと見ると、中古屋が置いた小麦粉の袋が近くにある。
タコ焼き屋の男はパーツ屋に店を任せ既に立ち去っている。パーツ屋はしゃがみ込んで何かしている。屋台は地球のものと似た造りで上に暖簾の看板があり前に突き出している。通りの防犯カメラの位置は把握している。この位置は死角だ。それにこの男はカウンターに置いた袋の数を把握していないかもしれない。
タコ焼きを手に持ち、公園通りの人ごみに紛れる男。
小麦粉は手に入った。スーパーの監視カメラにさらされるリスクはなくなった。
これで粉塵爆発の材料はそろった。




