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隠れてスマホでゲームをやる 伊佐卓也の場合
ゴールデンウィークの、某緑と白のロゴのコンビニ・チェーン店。
自動ドアが開くと、雨特有の、生臭さとつめたささを帯びた空気が、部屋の暖房でぬるくなり、ますます嫌な感じが膨れ上がった。
あーあ。
暇だな。
こんな時、伊佐卓也はとっておきの方法を用意しているのだ。
スマホを起動させ、某動画アプリを見る。ドッキリのやつだ。
さぁ、引っかかるぞ――
伊佐は覚悟を固めた。右手のスマホが揺れ始める。自分の手の揺れだ。
「魔法、発動!」
伊佐は時を止めた。
そして動画を堪能する。
あ、落とし穴に落ちる――
あれ?
画面が固まり、やがて真っ黒になった。
止まっていた時間が動き出す。
充電が切れたのだ。
そう理解するまであまり時間はかからなかった。